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地獄絵図、ならぬ恥骨絵図

 子どもって、身体の使い方分かってないじゃないですか。
 嫌なことがあったからって、いきなり

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背筋ビーーーーン!!ってして、色んなとこに頭ぶつけたり。


 嬉しい!楽しい!大好き!ガンッ!!!

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って母の胸に頭蓋を打ち付けたり。


 母の腹に全体重で座り込んできて、母を「ウッ」と唸らせたり。

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 そんで母が

「痛い!痛いよ娘ちゃん!ねえ」

と訴えるのをじっと見つめ、

「ねえ。ごめんなさいは?なでなでは?」

と言われると、

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こんなきゃわいい顔を至近距離にもってきて、きゃわいすぎるおててで母の頭をなでなでしてくれる。


 そんなことされちゃったら、母は、「ハア…許す…!好き…!」となって、また身の回りの世話にいそしんじゃうわけです。

 …ん?
 ちょっと待って。これDVと同じ構造じゃね?

 そう。痛い目に遭わされた後、優しく撫でられ、この人には私しかいないんだわと思って関係を維持してしまう。

 …なるほどそういうことか。
 全ては子育てのため、ひいては子孫繁栄のため。
 DNAに組み込まれた適応力なのかも知れない。

 だって本当に娘には悪気なんてないし、娘にはある意味で私しかいないし、娘の成長の可能性は無限大だし。

 これからも幾度となく娘に対して
「ハア…許す…!好き…!」
を繰り返していくのだろう。
(※もちろん教育の過程で)

 …という話を、ここ最近書こうと思ってなかなか書けずにいた。
 それは、簡単な理由から。

 絵がムズい。

 そう、プロレス技みたいな絵ばっかりでムズいんです。

 ここまでの絵もなかなか酷い仕上がりなんですが、本当はもう一つ描きたいシーンがあって。

 それは、娘が私の恥骨に頭蓋を振り下ろすシーン

 それはもう、本当に痛くて、いちおう女だから外付けハードがついてるわけでもないのに、しばらく股間を押さえて呻いた。ヒビ入ったんちゃうかコレと思ったくらい。

 あれから5日が経ったけど、まだ痛い。のしかかる娘の肘なんかが当たったら、呻きながら娘の位置をずらしたりする。

 と、私としてはなかなか衝撃的な出来事だった、恥骨事件。せっかくだし絵日記にしたいのに、なんせ難しくてうまく描けない。
 以下、私の苦闘ぶりです。

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 まず下描き。
 おっ、描けそうか…?
 動きを表現するの難しいな。
 でも、「ぶつかってる感」だけはちゃんと出したい。
 だってもの凄く痛かったから。

 よしちゃんと描いてみよう。

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 …ん?

 なんだろう。

 なんだろうこれ、怪奇現象?
 幽体離脱?

 そしてここからドツボに嵌る私。
 下描きのような絵を延々描き直す。

 あーもうわからん。

 わからんくなってきた。

 よし、私目線で上から描こう。 

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なんやこれ。

もうやる気ないやないか。
娘の足どないなっとんのや。
丸に川の字を、誰が頭やと思ってくれるんや。

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 というわけで、完全に迷子になった私。

 やる気を失くして筆を放り投げました。

 もうあの恥骨事件は絵日記にされることはないのだろう。永遠に。

 そう思われていた。

 しかし私は、サラさんのこんな記事を発見する。

 すごい。めっちゃ分かりやすい。

 成仏しきらなかった私の恥骨事件も、もしかしたらサラさんの手を借りて成仏させられるかも知れない。

 と、いうわけで #おえかき教室  を付けてみます。
 サラさん、もし題材的に微妙だったらスルーしてくださいね。だって恥骨だし。

 そんなわけで今なお痛む恥骨。
 今日も娘は、ソファで寝そべる私の上にのしかかる。

(そもそもあなたが寝そべらなければ、娘さんにのしかかられたりしないのでは?という、ごもっともかつ私に響かないご意見は、ありがたく頂戴しご意見箱ごと処分します)

 恥骨が傷んでいるからだろうか。
 ふと、恥骨に娘の鼓動を感じた。

 力強く、私よりも速く、脈打っている。

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 そして思い出した。

 この心臓をエコーで見た日を。

 ぴこぴこ動くその心拍を、検診ごとに確認するまで、ずっと不安だった日々を。

 出産時、発熱した私と呼応するかのように、早鐘を打って医師に心配された娘の鼓動を。

 心臓の壁にごく小さな穴が空いていますと医師に報告された、産後の朝のぼやけた病室を。

 経過観察で、大丈夫そうですねと言われて胸をなでおろしたあの日を。

 いまここで、私の上で脈打っているのは、紛れもなくあの日の娘の心臓だ。

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 大きくなったね。

 


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坂 るいす
いつもありがとうのかたも、はじめましてのかたも、お読みいただきありがとうございます。 数多の情報の中で、大切な時間を割いて読んでくださったこと、とてもとても嬉しいです。 あなたの今日が良い日でありますように!!