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5年目の東京コミュニティスクール(TCS)を振り返りながら考察する

最近、東京コミュニティスクール(TCS)でもMEESでも新入生の皆様に、このnote を読んでました!と言われることが多くなってきました!ほとんど更新はしていないのにありがたいことです。

そんな中、妻から「そろそろこのnoteの情報も古くなってきてるからアップデートしたら?」とツッコミが入ったので、何年か通って見えてきたそれぞれの学校の特徴や、学びのスタイル、向いているキッズみたいなところについて改めて自分なりに書いてみようと思います。

今回は、長男の通っている学校である、東京コミュニティスクール(TCS)についてです。


東京コミュニティスクール(TCS)の5年目の感想

長男がTCSの5年目になり、もうすぐ卒業も見えてくる時期になりました。当初は探求型の学びといったところやテーマ学習といったところに強く注目していたものの、今となってTCSの本質的な良さはまた別のところにあるのかもしれないと思い始めました。


深い人間関係の学び

TCSは、1学年最大9名。学校全体の人数がMAXでも54名というマイクロスクール(少人数制スクール)です。そのため、学校説明会でもよく聞かれるらしい質問が、「人数が少ないと社会性が育まれないのではないか?」というものです。

しかしながら、5年間通う中で思うのは、これは全くの逆だということです。

そもそもTCSでは、学校全体がファミリーのような関係になるため、同学年だけでなく、上の学年にも下の学年にも友達はたくさんできます。通常の学校では1クラスは30名ほどと過ごす毎日ですが、TCSでは約50名が顔見知りのような形になります。

複学年の学び(学びを上や下の学年と共にする学び)の中で、年上にも年下にも気の合う友達を見つけ、5年生の長男は、今も中学2年の先輩と遊んだり、6年生や4年生とも遊ぶ日常です。

また、1クラス9名という単位での日々は、「ウマが合わない人とも、確実に関わっていく」という性質を持ちます。「なんであの子はいつもこうなんだ…!」といった状況でも、単純に距離を置くには9人という単位は身近すぎます。

結果、子どもたちは、それぞれのキッズの長所や短所を理解しながら、そして自分の長所や短所を理解しながら、相互理解が確実に進んでいくことになります。そのため、2年生〜4年生くらいではキッズ同士がぶつかり合う姿がよく見られます。(そして、その衝突からも学びを引き出すのがTCSスタイルです。)

そして程度の差はあれ多くの場合、5年生や6年生になる頃には、良いところも悪いところも含めて、周りの同級生をまるっと受け入れることができるようになっています。

2年生や3年生といった頃は、そうした小さな衝突が親としては不安になるところではありましたが、5年生になっての大人のような相互理解を見ると、あれは必要な衝突だったんだなあということが感じられます。

近年、人と深い関わりができなくなっている人が多くなり、結果退職代行のようにコミュニケーションをワンクリックで終わらせたりするということが問題になることがありますが、「近すぎる距離感を経て、いいところに自分の居場所を見つける」といったことは、TCSで身に付く力の一つなのではないかと思っています。


体験から学びを引き出す、長期目線のスタッフ(先生)のサポート

もう一つ言えるのは、スタッフ(いわゆる先生)の方たちの、見守り力の高さです。

「人格が小学校の6年間で人間が完成するわけがない」という考えから、とても長期的に一人一人の課題を見守っていてくれるところが、特筆すべき点だなあと思っています。

スタッフは、各キッズ個人の成長課題に対して、学びになりそうな機会をじっと待っています。小学生に(大人もそうですが)論理的にフィードバックしたところで、そこまで学びが深まるわけではないので、

個人の課題に対して学びがありそうな経験の機会をスタッフは待ってくれています。そこで、3泊4日のサマーキャンプであったり、TCSフェスタであったり、スキーキャンプであったりと、さまざまなアウトドアや課外活動が生きてきます。

普段机の上だけでは学びづらい、勇気を出す経験や、自分勝手に動いてしまいうまくやれない経験思い切ってやってみたら楽しかった経験など、さまざまな体験活動の中でスタッフはその子の学びが起きそうな場面でしっかりと関わりを持ってくれます。

机上や口頭ではなく、体験から学びを引き出す。学校でのそれぞれのアクティビティの後には、必ずリフレクション(振り返り)の時間があり、体験から学びを引き出すという方針は一貫しています。

また、キッズの評価もクラス担任のスタッフだけでなく、学校にいる全てのスタッフが、一人一人のキッズの評価に関わってくれています。

長期的に複数のスタッフ目線でキッズの成長を見守り、時期をみてチャレンジを与えプッシュしてくれる。こうした環境がTCSの素晴らしさのもう一つだなあと感じています。


コミュニティの価値

うちの長男は結構マイペースで、長いものに巻かれることもないような性格ですが、家庭内でも「周りにあわせず、自分のやりたいことをやりたい」という場面がよく見られてきました。

こうした性質を持つ長男が、どうやって他人と深い関係を築いていけるようになるのか。TCSに通っていなければそういったことはもっと不安に思ったかもしれません。いまや、幼馴染といえるような深いクラスメートができたことはこれから先の彼の長い人生にとって、大きな財産になっていくだろうなあと感じています。

学校は、人の幸せを保証するわけではないからこそ、そのコミュニティとしての価値が、一人一人の生徒の人生に残っていくということが大切なんだなということを、TCSにキッズを通わせた親として感じています。

今年はいよいよ6年生になりますが、このTCSというコミュニティを親としても楽しみながら、長男の最後の一年の成長を見守っていきたいと思います。


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