【架空小説#7】風鈴の秘密
夏の風が窓辺の風鈴を揺らしたとき、
私は小さな声を聞いた。
「帰ってきて」と誰かが囁くように。
家には僕一人のはずだったが、
その声は明らかに誰かのもので、
どこか懐かしさを感じた。
風鈴は、昔母が大事にしていたもので、
ずっと窓辺に飾られているものだ。
その音が、
時折遠い記憶を呼び起こすようだった。
風鈴の音色が、
忘れかけていた誰かとの時間や言葉を、
そっと蘇らせてくれる。
この夏の風と共に届く「帰ってきて」という声は、
もしかすると今も私を見守っている
誰かの想いなのかもしれない。
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