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Vol.7. 地域活動は人としての役目

高澤 英治さん
84歳。もみじ台まちづくり会議 副議長、もみじ台地区老人クラブ協議会 会長、もみじ台まちづくり会議フロアカーリング部 部会長。現役時代は国内大手ゼネコンで土木エンジニアリングのプロフェッショナルとして従事され、退職後は高等専門学校で土木の講師等を務められ、67歳からもみじ台の老人クラブに入会される。以来、町内会、自治連、まちづくり、地域保健福祉など幅広く地域事業に従事され、もみじ台の地域活動のキーパーソンとしてご活躍されている。もみじ台には、37歳のときにご家族で入居される。


もみじ台まちづくりビジョンについて

もみじ台は高齢化が進み、課題が多いまちです。お酒を飲めるところもない、ご飯食べるところもないので、学生が住みたいまちとは言えないかもしれません。課題の一つは、もみじ台は第一種地域専用住宅地域で制限が多かった。例えばアパートや商業施設を作ってはいけなかった。空きがある団地の敷地の中にも建物を建ててはいけない、団地の高さにも制限がかかっているのです。

もみじ台のまちづくり会議では、かなり前からこのもみじ台のまちをどうしようかと集まり考えてきました。まちづくり会議とは、まちづくりに取り組む地域組織のことです。もみじ台地区の現状や課題を住民目線の意見を取りまとめて札幌市に上げる役割をしています。もみじ台まちづくり会議では、メンバーが積極的に活動し、地域のビジョンをまとめました。それが「もみじ台まちづくりビジョン」です。時代とともに変わってきた人々の価値観や多様性を大切にしながら、さまざまな人が暮らし、移り住むことができる、活力ある地域をめざしたものです。

基本構想はもみじ台のエリアを三つに分けました。 「活力・共生ゾーン」は、駅に近く多様な働き方ができる場所です。「にぎわい・学びゾーン」では、商店が真ん中にあってにぎやかなエリアにと考えています。義務教育学校(小中一貫校)の新設などが盛り込まれています。そして、 「やすらぎ・安心ゾーン」では、住宅、医療・福祉の環境が充実し、高齢者等になっても住み続けられるまちをめざしています。全体として、新たな交流が生まれて賑わいが溢れるまちにできればと思っています。

まとめたビジョンは、札幌市に提言し、現在札幌市の方で、新しいこのエリアのまちづくりに活かしてもらっています。ただ、それぞれの住民の意見をしっかり聞いていくことが重要だと思っています。地域からは、熊の沢公園の展望が素晴らしいので住民が残してほしい、このエリアに企業の誘致をしたいなど要望が上がってきたりしています。

熊の沢川の桜並木への想い
まちづくり会議では、熊の沢川の桜並木の造設も思い出深いものです。自治連、老人クラブが一体となって札幌市に提案を行って実ったものです。私は、八重桜にこだわりました。綺麗で、そして、桜を見れる期間が長いからです。この事業もこれからも続いていくと思いますが、私はこの熊の沢のエリアにお店もできるようにすると賑いがうまれていいのではと夢見ています。

個人情報と地域連携
もみじ台過去50年で、人口のピークのときが2万7千人で、今は1万3千人と半分以下になっています。そして、もみじ台1万3千人のうち高齢化率は51%以上で、70歳以上の人口が5、700人となっています。もみじ台に住んでいる人は半分ぐらい70歳以上になるんです。そして、もみじ台の高齢者率の50%のうち、30%が独居で20%は高齢者夫婦。もみじ台全体で少なくとも年間30件、孤独死・孤立死があり、これが問題なのです。
そして、孤独、孤立の対策として、地域の見守りということをしているが、
今は住所や名前を隠している人や行政では個人情報ということで情報が共有されなくなっています。地域でどのような方々が住んでいるかを地域の人たちが把握することが難しいのが実情なんです。そういうことで孤立死や孤独死の問題が増えると考えています。

今は個人情報を隠すことで危ないことに巻き込まれないと考えられていますが、このような問題があるので、私の老人クラブでは個人情報をある程度共有するようにしているんです。なぜなら、助けることができないから。具合悪いなら他の人が見に来てくれる。新聞がたまってくれば孤立死と判断をすることができる。このような孤立死をさせないために、地域同士でコミュニケーションとらないといけない。昔のこのあたりでは、向こう三軒両隣には隠すことは全くなかったんですよね。葬儀があったなら、周りが手伝っていた。餅をついたなら隣近所に配っていました。いつから変わったのか。時代は変わったと感じています。そして、変わっていくものだと思っています。

使命としての地域活動
この地域の高齢化の課題解決に、私達の老人クラブでは、チームボランティアと組織をつくって活動を始めたんです。その当時は、電球交換や除雪などを無料で地域の元気の方が地域の方を助けることが目的です。私としては、もみじ台の東西南北にこのチームボランティアを組織化して、お互いの地区が支え合うまでしたかったのですが、なかなかそこまでできませんでした。それは、元気だったボランティアの方々も高齢化してきて、なかなか他地域への遠征までいかないのです。このチームボランティアは、今では14−15名になっていますが、活動は継続しています。内容は、高齢者施設にいってカラオケ歌ったり、御飯作ったりする慰問活動が多いです。そして、折り紙教室の支援を行いながら、折り紙を厚別の社会福祉協議会が行っている、独居老人支援などにお役にたててもらっています。

私にとっての地域活動は、地域愛でも、家族愛でもなく、やってあげるものではなく、「人の役目」だと思うんです。まちづくりをおざなりにしたら次世代に繋がっていかない。街を存続させていきたい。国も存続させていきたいと考えています。2100年になると日本の人口自体が半分になる予想があります。その中で、もみじ台の街を存続させるために自身の役目をおざなりにせず現状を動かすために一日一日を大切に動くことを意識しています。

※参考:もみじ台まちづくりビジョン(最終版)

https://www.city.sapporo.jp/atsubetsu/machi/momijidai/documents/r4momijidai_machivision.pdf

※熊の沢川の八重桜


ステューデントアンバサダー編集後記 
中澤 慎之介(札幌学院大学 経済学部 経済学科 4年)
高澤さんと大学生とどのようにかかわっていきたいのかを話したときに大学生は4年でいなくなる。なので、地域に定住してくれる人近くの高校に通っている人に地域活動に参加してほしいと話していた。私は取材を通じてもみじ台と青葉に関わりました。私はこのような地域の魅力をもっと引き出すために積極的に地域活動に参加して、地域に定住している人たちと地域を繋げられるような架け橋になれればいいと感じました。

そして、今回の取材で高澤さんの街づくりの地域活動の使命感が伝わりました。話している雰囲気や統計を用いた細かな数字、もみじ台の現状の数字を用いて話してくれました。その中で、趣味の詩吟や若い世代との交流BBQ、老人会の行事について楽しく語ってくれたので本当に地域活動を楽しみながら行っていて、そのような遺伝子ももみじ台に引き継がれていったら私もうれしいですし魅力的な街として存続することができると思いました。

もみ・あお FACES ディレクター 山屋 恵嗣
私達の「新・さっぽろモデル」で、もみじ台に関わらせていただき、地域活動をされる様々な方たち、包括支援センター、介護予防センターなど地域福祉団体とお話をさせていただく中で、必ずといっていいほど高澤さんのお名前を伺いました。高澤さんは、もみじ台愛が溢れていて、もみじ台のことならなんでも知っていているような方です。いつも驚かされるのは、常に、もみじ台の人口、高齢化などの状況を数字でアップデートされています。
面倒見がよくて、人を大切にして、前に向かうときは背中で語ってくれるようなちょっと昭和なリーダーというかっこよさを感じる方です。

今回のインタビューでは、私も高澤さんに聞きたかったことを聞けました。それは、何が、高澤さんをもみじ台のために突き動かしているのかです。中澤くんの記事にもありますが、「子どもや、家族のためとかではなく、国、まちを存続させたり、いい街にしていくのは、人の使命と思っている。」とおっしゃられました。そして、まちづくり会議など次世代の方々に参加を促しているとのことでした。

「時代は変わるし、考え方もかわっていくのだろう!」と、その言葉は、とても前向きに託しているかのように響きました。今回のインタビューは、自分自身が街に何ができるのか?改めて問う機会であり、私も含めた次世代がしっかり取り組んでいくことと改めて認識しました。

以上

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