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デュアルモメンタム投資|バックテストと過去の実績 #2

前回の記事では、デュアルモメンタム投資の歴史とモメンタムの概要について記載しましたが、今回の記事ではデュアルモメンタムのバックテスト実施し、過去の実績よりその有用性を理解して貰えればと思います。

デュアルモメンタムのシミュレーションは、「Portfolio Visualizer」というサイトの利用が便利です。過去は無料でほぼ全ての機能を利用できた期間もあった様ですが、現在の無料プランでは過去10年分の株価データの利用とシグナルなどの確認が制限されています。
しかし、デュアルモメンタムの理解を深める為にシミュレーションを実施してみるという観点では無料の範囲でも十分に活用出来ますので、是非、実際に利用して理解を深めてみて下さい。

尚、今回の記事ではめちゃくちゃ解り易くする為に、皆さんが知っているであろうS&P500(SPY)と、Nasdaq100(QQQ)、金(GLD) のETFを利用したシミュレーション結果を記載していますので、ご了承下さいませ。

デュアルモメンタムを利用したシミュレーションの結果(グラフ)

デュアルモメンタム シミュレーションの結果(SPY / QQQ / GLD)

今回のシミュレーション結果のグラフでは、以下を前提とした結果です。

  1. 絶対モメンタムにS&P500(SPY)を利用して上昇局面か、下落局面かを判定

  2. 上昇局面では、相対モメンタムとしてS&P500(SPY)とNasdaq100(QQQ)のパフォーマンス(モメンタムが強い)方のETFを選択

  3. 下落局面では、S&P500(SPY)と相関性の低い金(GLD)のETFを選択

株式における相関性(相関係数)とは、2つ以上の株式(または資産)の価格変動の間に見られる関係性を示す統計的な指標です。これは、株式Aと株式Bの価格がどの程度同じ方向に動くか、または逆方向に動くかを測るものです。
相関性の具体的な値と意味>
+1の相関(完全正の相関):株式Aと株式Bが完全に同じ方向に動く。Aが上昇すればBも上昇し、Aが下がればBも下がる。
0の相関(無相関):株式Aと株式Bの間に明確な関係がない。Aの動きがBに影響を与えない。
-1の相関(完全負の相関):株式Aと株式Bが完全に逆方向に動く。Aが上昇すればBは下落し、Aが下がればBは上がる。

青がデュアルモメンタムのモデル、緑がS&P500(SPY)となりますが、デュアルモメンタムの方が資産が増えている事を確認出来るかと思います。

ちなみに、相関関係については別の記事で解説していますのが、今はそうなんだね。くらいで大丈夫です。

でも、これだけでは資産が増えている事だけしか解らないので、次にドローダウンやリスクを数字面からその結果を確認していきましょう。

デュアルモメンタムのメリットは何か?

デュアルモメンタムのパフォーマンスサマリ S&P500比較

このシミュレーションでは一般的に認知されているものとして、ルックバック期間を12ヶ月、直近の一ヶ月を除外(ノイズ対策)とした結果です。

よく解らない言葉が並んでいますが、今回説明する項目のみ簡単に解説します。

  1. Start Balance:初期投資額

  2. End Balance:最終資金

  3. Annualized Return (CAGR):年平均成長率

  4. Standard Deviation:標準偏差(以降、Stdev)

  5. Maximum Drawdown:最大下落幅(以降、DD)

一旦、これくらいで良いかな。尚、標準偏差(Stdev)は、株式におけるリスクと言われるもので、上下に対するバラツキの事だと認識しておいて下さい。

今回のシミュレーション結果から解る事は、最終的な資金はS&P500よりも圧倒的に良い結果なのにも関わらず、DDが改善されている点です。
また、Worst Yearが低い為、下落後のリカバリが早かった可能性が解って貰えるかと思います。(実際には確認しておく必要がありますが今回は割愛)

続いて、Nasdaq100(QQQ)との比較結果を確認してみましょう。

デュアルモメンタムのパフォーマンスサマリ Nasdaq100比較

CAGR:Nasdaq100には劣るものの良好なリターン
Stdev:改善
Worst Year:Nasdaq100よりも圧倒的に低い
DD:改善

この結果より、S&P500を保有しているだけの時と比較し、Nasdaq100よりもリスクやDDを改善しながらも、より良いパフォーマンスを得られている(メリット)事を解って貰えたかと思います。

デュアルモメンタムにもデメリットはある

上記の結果ではメリットだらけの様に思えてしまいますが、デュアルモメンタムにもハッキリとしたデメリットが存在します。

それは、定期的にETFを入れ替える必要があり、取引に関わる手数料と利益確定をする必要がある為、その都度、手数料と税金を取られてしまう点です。
こればかりは避けようがない為に、実際のトレードに取り入れる為には、手数料や税金を考慮した以上の良好な結果を目指す必要があります。

尚、手数料に関しては、特定の証券会社を活用する事でコストを抑える事が可能です。moomoo証券もその1つとなり紹介リンクを記載しておきますので、良ければ活用下さい。(記事記載時点ではキャンペーン中の様です。)

また、このロジックが未来永劫続くとは限らないといった点も理解しておく必要があるでしょう。

主要な米国株ETFのリスト

デュアルモメンタムのシミュレーションを実施するに辺り、どの様なETFがあるのか解らない方もいるかと思いましたので、以下の記事で紹介しています。

まとめ

今回の記事でデュアルモメンタムを活用したバックテストの結果を見て貰う事で、基本的な考え方とその有用性を実感して貰えたかと思います。

但し、今回のパフォーマンスの結果は始まりに過ぎません。より良いパフォーマンスを求め理解を工夫をしていく事で、圧倒的なリターンを得る事が出来るかも知れません。

尚、次回の記事では、Portfolio Visualizerの使い方について解説していますので、是非、読んでみて下さいね。

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