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デュアルモメンタム投資|相関係数の実用編 #13
デュアルモメンタムでは、相関係数の低い複数のモデルを組み合わせる事で、モデル毎の弱点を補いパフォーマンスを改善させる効果が期待できます。
具体的にはSharpe Ratio(シャープレシオ)を高くする効果が見込めますが、それは何故かの解説と実際に2つの銘柄を利用したシミュレーションを実施して行きます。
相関係数の理解を深めデュアルモメンタムのパフォーマンスの改善を目指していきましょう。
シャープレシオとは何か?
先ずはシャープレシオの計算式を確認しておきましょう。
✅シャープレシオ=CAGR(年平均成長率)/Stdev(標準偏差)
シンプルに考えてみましょう。
例えば、CAGRが一定だとした場合、標準偏差が低くなればシャープレシオが高くなる事が上記の式から理解して貰えるかと思います。
<標準偏差>
標準偏差とはリスクの事で、平均からどれだけバラけているかとなります。
標準偏差が小さい:データが平均値周辺に集まっている(ばらつきが少ない)。
標準偏差が大きい:データが平均値から遠く、広範囲に分布している(ばらつきが多い)。
相関係数の低いモデルの組み合わせイメージ
![](https://assets.st-note.com/img/1730383712-ZmpxzhfWbkowVY8P4HGEuBXA.png?width=1200)
上記は相関係数の低い銘柄同士の株価のイメージです。
相関係数が低い株式同士(青チャート、赤チャート)を組み合わせると、リスク(バラツキ、標準偏差が下がる)事になりますので、ポートフォリオが改善される可能性があると言う事をイメージ出来るかと思います。
<相関係数>
+1:完全な正の相関(片方が増加するともう片方も必ず増加)。
0:相関なし(変数間に特定の関係性は見られない)。
-1:完全な負の相関(片方が増加するともう片方が必ず減少)。
![](https://assets.st-note.com/img/1730384033-Ias1QGt8hHnPAKgmue2jCVZF.png?width=1200)
続いては、相関係数が低く、リターンの異なる銘柄同士のイメージ図ですが、この両方を一定の割合で混ぜた場合、バラツキが減り安定しますし、ドローダウンも改善する事がイメージ出来るかと思います。
但し、リターンの高いもの、低いものを混ぜる事にはなりますので、リターンは必ずしも高くなるとか限らず、場合によっては低くなる事もあります。
理想はCAGRが高く、相関が低いものを見つけて一定の割合で混ぜれるかという事にはなりますが、相関係数が低いものの場合、だいたい片方のリターンが低いものが殆どだと思いますので、複数の異なる相関係数となるモデルを一定の割合で混ぜながら調整するのが良いでしょう。
実際に相関関係の低い2銘柄を一定の比率で混ぜてみる
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それでは相関係数の関係性の低い株式2銘柄を一定の比率で混ぜてみましょう。
尚、相関係数の調べ方は以下の記事で紹介していますので、参考にして下さいね!
相関係数の低いSPYとGLDを混ぜてみた結果
先ほどの図より相関係数で、SPYが1とした場合、GLDは0.09で低い事が解るかと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1730385106-7aTY6qyKP1r980hMzmxfo5Vl.png?width=1200)
上記の図はportfolio visualizerでSPYとGLDを一定の比率で混ぜ合わせた結果で、リバランスは毎月で設定しています。
SPYの標準偏差(Stdev)は14.69%に対し、GLDは16.75%でGLDの方がリスクが高い銘柄となりますが、先に解説した通り相関係数が低い為にそれぞれを打ち消す効果が期待できますよね?
結果、一定の比率で混ぜた場合、Stdevが下がりバラツキが抑えられ、かつ、最大ドローダウンも改善した事が解るかと思います。
また、今回のケースではリターン(CAGR)も改善していますね。(こう言う結果は稀かも?)
シャープレシオを見て貰うと、リターンが高くなるケースのシャープレシオが最大となっていない事は解って貰えるかと思いますが、必ずしもシャープレシオの最大を求める必要はなく、皆さん自身のリスクとリターンの許容できるバランスで決めるのが良いかと思います。
但し、リスクについては過去データは参考になり易いと言われていますが、未来のリターンは解らないと理解しておく事が大切です。
portfolio visualizerの無料版では、Backtest Portfolio Asset Allocationにて、デュアルモメンタムのモデルを複数利用したシミュレーションの実施が出来ない為、2つの銘柄を利用したシミュレーションとしています。
尚、デュアルモメンタムの複数モデルでBacktest Portfolio Asset Allocationを実施したい場合、Proプランが必要です。
相関係数の低いデュアルモメンタムとTQQQを混ぜてみた結果
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続いてデュアルモメンタムで作成したサンプルモデルとTQQQのシャープレシオが最大となるパターンで検証をして行きます。
尚、デュアルモメンタムのサンプルモデルの詳細は非公開ですが、私が作成したモデルを一定比率で混ぜたらどうなるのかを確認し、デュアルモメンタムを活用する事で素晴らしいパフォーマンスが得られる可能性がある事を理解して貰おうかと思います。
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青のチャートがデュアルモメンタムのサンプルモデルとTQQQをシャープレシオ最大となる様な割合で合成したモデルですが、TQQQと比較しリスク(バラツキ)が抑えられている事が一目で理解して貰えるかと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1730389121-jAvXKhTznSgF61De9P0EMaUW.png?width=1200)
サンプルモデルとTQQQの相関係数は-0.19で、シャープレシオが最大となる比率を計算したところ、TQQQ:sample01=51%:49%でした。
こちらの比率で毎月リバランスとした場合、Stdev:29.31%、最大ドローダウン:-34.60%とTQQQより劇的に改善しています。
その分リターンは劣る事になりましたが、TQQQはリスクや最大ドローダウンが高く継続して保有していく事は困難だと思いますが、こちらのモデルであれば過去はシグナルが発生した際のトレードと月1回のリバランスを併用する事で現実的に運用可能なレベルとなった事が理解して貰えた筈です。
まとめ
今回の記事では相関係数の重要性をより具体的に複数銘柄の組み合わせや、デュアルモメンタムのモデルを組み合わせた検証結果を元として、理解して貰える内容であったと思います。
是非、複数のデュアルモメンタムのモデルなどを活用しリスクやドローダウンを抑えつつ、パフォーマンスの良い組み合わせを見つけて行きましょう!
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