ある日のデート録
交際記念日は、朝から街で待ち合わせて、買い物や散策を楽しんだ。歩行者天国でスキップして、有頂天を体現した。
夜は洒落たレストランでコースを食べて、これまでに一緒に食べたもので一番美味しかったものを発表しあったりした。
食べ物を食べながら、食べ物の話をする私たちは正真正銘の食いしん坊である。
微睡みながら食べるウーバーも、背筋を伸ばしながら食べるディナーも、等しく大切な思い出だ。
「何を食べるか」じゃなくて「誰と食べるか」だよね、なんて言い回された表現に落ち着き、笑い合った
程よく酔いが回った状態で、私たちは肌を重ね、余韻に浸りながら語り合った。
大事な話を事後にしてしまうのは、よくない癖である。
すると、お互いが手紙を書いて持ってきていることが発覚した。
私は節目のタイミングで彼に手紙を渡してきたが、この度、彼も手紙デビューを果たしたのである。私を想い、筆を取ってくれた事実が愛おしく、涙が溢れた。
彼に見せる初めての涙は、嬉し涙だった。これからも、見せる涙は嬉しさによるものでありたい。
手紙には、私と出会えてからの変化が記されていた。人生が明るくなった、価値観が変わった。真っ直ぐに向き合い、大切にし続けてくれていることを改めて実感させられた。
彼とは出会って一年が経ち、付き合って半年になろうとしている。こんなにも穏やかで温かい感情を教えてくれたことに心から感謝している。
一緒に過ごせる時間を、これからも大切にしたい