HAYATAと吉岡世紀 7.16日本武道館プレビュー〜ノアジュニアの未来をかけて
トップ画像は@shun064さんの作品です。
プロレスリング・ノアの7.16日本武道館大会にはメインイベントのGHCヘビー級選手権(小島聡対拳王)以外にも多くの注目点があります。RVD参戦。GHCタッグ王座戦。さらには4.29両国で凄まじいインパクトを残したニンジャマックの再来日。そうした注目点がある中でセミに選ばれたカードはGHCジュニアヘビー級選手権試合。それが王者HAYATA対挑戦者吉岡世起の試合です。
2021年以降のノアの武道館大会のセミは21年2月、22年1月ともにGHCナショナル選手権試合でした。ノアのフラッグタイトルであるGHCヘビーの試合がメインなのは当然として、セミではその次に位置づけられるGHCナショナルの試合が組まれていました。しかし今回はGHCナショナルの試合はなし。GHCタッグも。さらにはあの武藤敬司引退ロードの初戦まであります。しかかしそれらを「押しのける形」でGHCジュニアの王座戦セミにが組まれました。
22年に入ってノアのジュニアは攻めの姿勢を貫いています。1月から始まったN Innovation(ジュニア主体の興行)を皮切りに、4月はジュニアのみで両国国技館で大会を開催しました。もちろん客入りでの苦戦などもありましたが、6月の新宿FACEでのN Innovationではついにチケット完売となるなど。少しずつジュニアの価値を高めてきました。比較的どっしりした展開の多いヘビーに対して、ノアジュニアはユニット再編成のスピード感も早く、常に変化を求めて進化し続けました。
そうしたスピード感のあるノアジュニアでも他の選手とは異なる空間を作っているのが現王者のHAYATAです。21年6月の戴冠から約半年で8回の防衛に成功。その後原田大輔に敗北しベルトを明け渡しますが、4.29両国でEitaを下してベルトを奪還。華麗な空中殺法に加えて地上戦でもロジカルなレスリングをこなす。現在のHAYATAはまさにハイブリッドレスラーに進化しました。
挑戦者の吉岡は21年の日本武道館大会でGHCジュニアのベルトを一発で奪取。ノア参戦でインパクトを残したかに見えましたが、初防衛に失敗後は中々シングル王座への挑戦機会に恵まれませんでした。タッグ王座の獲得こそ果たしますが、シングルプレーヤーとしての実績を積みづらい状態にありました。
そうしたシングル王座への渇望か?はたまた他の要因もあったのか?吉岡は今回スティンガーを脱退してまでHAYATAへの挑戦を叫びました。ユニット抗争が主題であるノアジュニアでユニットから外れる。今回の挑戦で王座を獲得できなければ主流から外れる可能性もあります。しかし吉岡はそうしたデメリットをかけてでもHAYATA戦を望みました。
緻密な試合運びで相手を追い詰めるのがHAYATAですが、そうしたHAYATAの計算を文字通り破壊できる手段。それは吉岡の打撃かもしれません。スピード感あふれる吉岡の打撃がHAYATAのテクニカルな戦略を破壊するのか?それとも「そうした吉岡の計算外の動き」すらHAYATAの中では計算づくなのか?
間違いなく面白くなる試合ですが、それ以上に二人に求められるのは「これぞノアジュニア」と観客に伝えることかもしれません。名のある選手を押しのけてセミに組まれたこのカードが。前評判を超えるハイクオリティな試合になれば。ノアジュニアのインパクトは観客の印象に強く残ります。そしてその先にはノアジュニアのさらなる明るい未来も見えるのではないでしょうか?大一番でノアジュニアの旗手となるのはHAYATAなのか?それとも吉岡なのか?セミに組まれたノアジュニアの未来にも注目したいです。