見出し画像

3.13プロレスリングノア横浜武道館大会〜壁は高すぎるくらいがちょうどいい〜

トップ画像は@shun064さんの作品です。

3月13日に行われたプロレスリングノアの横浜武道館大会。武藤敬司の負傷によるベルト返上に伴うGHCタッグ王者決定トーナメントを中心に据え、そこにGHCジュニアの防衛戦やGHCジュニアタッグの前哨戦など様々なカードが組まれました。

タイトルマッチだけ抜粋するとメインのGHCタッグは杉浦貴&鈴木秀樹組が清宮海斗&稲葉大樹組に勝利。GHCジュニアは挑戦者Eitaが王者原田大輔に勝利。タイトルマッチ以外まで見渡すと鈴木鼓太郎がYO-HEYに勝利など。いわゆる正規軍が外敵や上の世代に敗れた試合が多かったことが印象的ですすね。結果だけ見ると「正規軍(下世代)が結果を出せていない」「ベテランや外敵ばかりが元気」。そうした印象を与えかねない部分はあります。そもそもGHCヘビー級王者時代がベテランの藤田和之ですし。

ですがしっかり試合を見ると「ベテランや外敵が偶発的に勝利した試合」はありません。GHCタッグは1日2試合という過酷なトーナメントですが杉浦のコンディションは清宮&稲葉に負けず、むしろ勝っていたように思いました。そこに加えて鈴木秀樹の怖さと圧力。また反則攻撃のイメージが強かったペロスデルマールデハポンのEitaは原田必殺の片山ジャーマンを返し。巧みな腕殺しでギブアップ奪う。鈴木鼓太郎は正攻法でYO=HEYを徹底的に痛めつけての完勝。どの試合もシンプルに「強い方が勝利した」という印象を私は持ちました。

ノアがこれから拡大していくためには若い世代の躍動は不可欠です。若さの持つ勢い。そして正規軍の選手が持つ光。そうしたものは今後のノアにとっての鍵です。しかしそれだけで良いのでしょうか?そもそも若い世代や団体内選手の活躍のみで団体が栄えるケースの方が異例でしょう。同じ枠の中で戦いを続けても純度こそ向上しますが、外への伝達は鈍くなります。そして若い世代が簡単に頂点に立つ姿ではファンの共感を集めにくいこともあります。

だからこそ彼らの対角に立つ選手(ベテランや外敵など)の活躍が不可欠だと私は感じます。そうした視点で見ると3月13日横浜武道館大会は「壁となるべき選手が存在感を強く発揮した」と考えることができます。誰でも越えられる低い壁を乗り越えたとしても。そこに大きな感動はありません。高くそびえ立つ。打ち破ることも乗り越えることも簡単ではない壁だからこそ。それを超えるときのカタルシスは計り知れません。今のノアは外敵に蹂躙されているわけでも。ベテランが下の世代に蓋をしているわけでもありません。「自分をアピールしたいなら強くなれ」「俺たちを越えてみろ」。彼らの試合はそんな言葉を語っているように私は感じました。壁は高すぎるくらいがちょうどいいのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?