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潮崎豪の300分6秒 第二章.3.29「潮崎選手は漢です」 VS藤田和之〜57分47秒
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※トップ画像はTwitterのフォローをさせて頂いている@TACK59089236さんの描いた絵です。
第一章.1.4「新しい景色は俺にしか創れない」 VS清宮海斗〜27分42秒
第二章.3.29「潮崎選手は漢です」 VS藤田和之〜57分47秒
第三章.6.14「これで負けたけどさ、俺次に進むよ」 VS齋藤彰俊〜29分22秒
第四章.8.5「 I am real noah」 VS丸藤正道〜30分56秒
第五章.8.10「正真正銘1番強いやつを決めようぜ!」 VS拳王〜60分00秒
第六章.11.22「出戻りチャンピオン!」VS中嶋勝彦〜42分35秒
第七章.12.6「I am noahは俺に勝ってから言え!」VS杉浦貴51分44秒
第二章.3.29「潮崎選手は漢です」 VS藤田和之〜57分47秒
2020年2月の後楽園ホールのタッグマッチで藤田和之は潮崎豪を絞め落とし、その勢いのままGHCヘビー級の次期挑戦者として名乗りをあげた。藤田は前年からノアに参戦。稲村愛輝や谷口周平を圧倒的な力で下し、徐々にノアを侵攻しつつあった。その藤田がついにGHCに挑戦である。炎のファイターのオーケストラバージョンで入場する藤田はまごうことなきアントニオ猪木直系の弟子だ。総合格闘技でも一時代を築いた怪物レスラーが、ノアを泥舟と罵りヒール感満載で潮崎に立ちはだかる。
当初この試合は3月8日に横浜文化体育館で行われる予定だった。前哨戦も無く一発勝負というノアで異質なタイトルマッチ。さらに新型コロナウイルスの影響で、横浜大会が中止となり、3月29日後楽園ホールに振替が発表。そこからさらにノアでは初の無観客試合として開催と、形式が二転三転することになった。「対戦相手」「経緯」と全てが規格外な大会。しかしそれ以上に規格外になったのは試合内容そのものだった。
GHCヘビーの防衛戦であれば万雷の拍手や声援が飛ぶ後楽園ホール。しかしこの日は無観客。静寂の中で入場する両者。季節外れの寒さが余計に静寂感を強める。いつも通りに味方リングアナのコールの後にゴングが鳴る。緊張感の張り詰める空気の中睨み合う両者。潮崎に鋭い視線を送り、仁王の如き殺気を放つ藤田。その視線を正面から受け止めて堂々と受け立つ潮崎。二人ともコーナーから動かぬまま時間だけが進む。潮崎がリング中央まで進むが、ひたすら視線だけで相討つ両者。
30分過ぎたのち、先に刀を抜いたのは藤田。得意のタックルで潮崎からテイクダウンを奪うと、袈裟固めの体勢で潮崎を圧倒。藤田は潮崎を罵倒しつつひたすらグラウンドで押し込む。藤田の圧力を耐え続けた潮崎はバックドロップで藤田を引っこ抜き、グラウンド地獄から逃れるが、次は場外戦である。藤田は毒霧のように消毒液を潮崎に浴びせたかと思えば、後楽園ホールの2階まで上がると、バルコニーから潮崎を突き落とそうとする。更にリングに戻っても潮崎に攻撃を続け、潮崎は耐える時間が続く。
しかし50分あたりからの打撃戦でようやく潮崎は試合の流れを掴む。潮崎はエグい打撃を放つ藤田の攻撃を耐え抜き、豪腕と言う名の刀で藤田に斬りかかる。怪物藤田もやすやすとは倒れない。雄叫びを上げ潮崎に立ちはだかる藤田。しかし難攻不落の藤田も最後は潮崎の豪腕の前に倒れ「規格外なGHCヘビー防衛戦」は終わりを告げた。
藤田の攻撃を全て受け止めて跳ね返す。それは決して簡単なことではない。藤田本人も「彼は凄いです」「漢です」と語るように王者潮崎の凄さを最初に示したのがこの試合だった。異質を飲み込む器の大きさ。潮崎の持つ強さの一つはこの要素だったのかもしれない。
王者として全てを受けとめる覚悟を見せた潮崎。その前に名乗りをあげる次なる挑戦者。もしかしたら「彼」は潮崎がそうした覚悟を見せることを待っていたのかもしれない…。そう6月が近づいてきた…。