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緑の方舟を真紅に染めた中嶋勝彦と拳王〜俺たちのN-1ここに完結!

プロレスリングノアのヘビー級シングルリーグ戦N-1が10.3後楽園ホール大会で決勝戦を迎えました。4つに分かれたブロックを制したのはAブロック清宮海斗、Bブロック拳王、Cブロック中嶋勝彦、Dブロック船木誠勝です。この日は清宮VS拳王、中嶋VS船木の準決勝が行われ、その勝者がメインイベントで決勝戦を戦うという形でした。

相手の攻撃を全て受けきる覚悟を見せた清宮を「不格好でも勝つこと」に周年を見せた拳王が制し。中嶋VS船木の「侍同士の居合抜きさながらの試合」は中嶋が船木を切り捨てました。決勝戦は拳王と中嶋によるユニット同門対決(金剛対決)となりました。

三沢光晴のイメージカラーである緑が団体の色であるノアのシングル王座決定戦が、真紅のライトで染まるという新しい景色で開戦した決勝戦。これはまさに死闘でした。拳王中嶋ともに打撃を武器とする選手。得意のキックはもちろんのこと、試合終盤にはお互いの顔を張り合う張り手合戦。特に張り手合戦は両者とも「もっと打ってこい!」「お前の攻撃はこんなもんか!」と言わんばかりに顔を突き出す展開でした。同門対決であり憎しみ合う選手同士の対決ではありません。しかしなぜこれほどまでに激しい試合になったのか?それはN-1開幕前に拳王が発した言葉に関係があるかもしれません。


N-1直前のイルミネーションマッチに勝利した拳王は「ノアの戦いは総合格闘技にも負けない」「ノアの戦いはアートじゃない」「おれはノアの戦いをしたい」と発言しました。拳王の捉えるノアの戦いとは「誰にも負けない激しさ」を意味していたでしょう。芸術じゃない。単純な勝ち負けじゃない。誰が見ても凄いと唸らせる戦い。拳王はそれを欲していました。

その拳王の願いに呼応したのが決勝を争った中嶋です。拳王と中嶋は同じユニットではありますが、「ベタベタした仲の良さ」をアピールしていません。SNSで絡むことも少なければ、試合後のコメントでお互いに触れることも少ないです。ともすれば「同じユニットにいるだけ」と思われる可能性もありましたが、それが杞憂であったことは10.3後楽園を見れば理解できます。

「ノアらしい戦いを見せる」という同じ志を持つ選手同士だったからこそ、あの日の決勝戦は素晴らしい内容になったと言えます。拳王が渇望した「自分と同じ目線で戦ってくれる相手」。それこそが中嶋勝彦だったのでしょう。お互いの身を削り合う打撃戦を、最期は切り札のダイヤモンドボムで勝利した中嶋。彼が拳王とリング中央で健闘を称え合う姿を見ればわかるでしょう。中嶋も拳王と同じ想いだったということが。

フラッグシップタイトルであるGHCヘビー級王者の丸藤正道が不参加であっった今年のN-1。ともすれば単純な次期挑戦者決定戦とされる可能性もありました。しかし拳王の発言によって「ノアの戦いとは何か?」という本質を問うリーグ戦になりました。そして「凄みを見せる」という形で拳王に回答した中嶋勝彦が優勝し、ノアの戦いを再定義しました。


その中嶋勝彦の前に立ちはだかるのが丸藤正道。

優勝後にリング上で中嶋は、後楽園ホールのバルコニーでAbema中継のゲスト解説を努めていた丸藤を呼び込みました。バルコニーからの移動のため、後楽園ホールの南側後方からゆっくりリングに向かう丸藤。その丸藤に「あんたはまだ上にいるのか?」と問う中嶋。それは物理的な距離だけではない。中嶋がGHCヘビー級王者であった時代に挑戦者として己の前に立たなかった丸藤に対しての「お前はまだ俺を見下ろすのか?」という意味もはらんでいたかもしれません。

丸藤が持つベルトだから挑戦したいと言った中嶋に丸藤はこう答えます。「N-1で培ったお前の自信全てを木っ端微塵にしてやる」と。これまで団体を背負うという立場が多く、良い子イメージがついていた丸藤。その丸藤が良い子の仮面を脱ぎ捨て、エゴイストたる姿を見せました。それこそが中嶋が戦いたい丸藤だったのかもしれません。

10.10大阪にて時代を作る機会をもらえなかった中嶋はついにノアの象徴丸藤との頂上決戦を迎えます。

中嶋勝彦が真の時代を築くのか?それとも丸藤正道が返り討ちにするのか?結末を刮目して見届けよ!

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