原宿ぽむに見る東京女子プロレスの選手の個性
年末年始に色々あった全日本プロレス界隈。「あれ?なんかこれ辛いな…」。全日本プロレスに関わらず、「普段見ているモノがなんかしんどいぞ…」。そう思ったときは…。そうです。「東京女子プロレスを見ればよいのです」。
東女といえば試合開始前の難波リングアナウンサーの前説時点で多幸感があると有名です。しかし試合ではそれ以上に多幸感(明るく楽しく)を感じることができます。
以前その多幸感についてはこんなふうに書きました。
今回はそうした多幸感とは別の東女の面白さ「選手の個性の違いの出し方」について書きたいと思います。
現代においてプロレスラーは「試合の質があればよい」「強さがあればよい」という状況ではありません。そうした部分はどの選手も持っているわけで、それにプラスαがなければ。大勢のファンを掴むことはできません。
そうは言っても「個性を出すこと」は難しいです。本人が「〇〇を打ち出したい!」と思っても、それがしっかりファンには伝わらないということは往々にしてあります。
個性を出すこと。それは突き詰めれば「他との差別化」です。その場にないモノを表現することができれば?それはその選手の個性となります。
前置きが長くなりましたが、東女の選手はこうした「他との差別化」が上手いとぼくは考えています。
例えば原宿ぽむ。この記事の画像に載せた選手です。プロフィールはこちら。
いかがでしょうか?プロフィールを見るだけで「この選手はなんだ?」と思いませんか?「なんだかわからない謎のモノ」として導入を作ることで掴みがとれます。コスチュームも「いわゆる女子プロレスラー」のような形ではなく、他でも似た形はあまりなさそうです。
外見がかわいいというのはある意味でどの選手も同じですが、そこにプラスαとして。「他の選手と違う外見の印象を与える」。これにより初手で差別化が成されます。これは彼女に限らず東女の他の選手もやっているところだと思います。
もちろん外見の差別化ができれば個性が伝わるというわけではありません。プロレスラーである以上試合で個性を出さねばなりません。
WRESTLE UNIVERSEに加入されている方はこちらの大会の第2試合をご覧ください。
もしくはこちらの動画でもよいです。
掴みで示した「何をするかわからない」「コミカルな感じかな?」という動線にしっかり乗って試合をしています。この試合は相手がコミカルが売りのくいしんぼう仮面だったこともあり。同じように「コミカル感」がキャラクターである彼女の個性が呑まれる可能性もありました。しかし彼女は「相手の流れに乗っかった上で、きちんと自分らしいコミカルさ」を出していました。
興味深いのは「マスクを被って入場してマスクをとるまでの流れ」です。彼女の試合を1度でも見たことがあれば。おそらくこの「マスクを被って入場してマスクをとるまでの流れ」で「あーぽむっぽい!」と思うでしょう。トップ画像は振り向いたシーンですが、このときの彼女の表情も想像できそうなくらいです。細かい所作がマスクで隠れていてもわかる。顔で識別しなくても個性が伝わる。これはある意味で差別化の完成形とも言えるでしょう。
原宿ぽむに限らず、東女は他の選手も各々の方法で「他の選手との差別化」をしています。このへんは芸能関係の仕事をしている(していた)選手が多いことで「人に自分がどうやってみられるか?を考える土壌」があるせいかもしれません。この力は格闘技的(身体能力的)なモノと対極に位置しますが、前述したように現代プロレスでは必須のスキルです。
少し長くなりましたが、これがぼくの考える「東女の選手の個性」についての考えです。こうした個性に支えられえいるからこそ、「単なる明るく楽しく」ではない世界が東女にはあるのだと思います。
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