覇王の見せるその先に〜歯を食いしばる姿は今だからこそ響く
トップ画像は@shun064さんの作品です。
覇王がノアjrに参戦して1年と約半分近い月日がたった。参戦当初に仁王とのコンビでGHCjrタッグに挑戦。仁王とのダブルトペなど光る動きはあったが、一発王座奪取はならず。その後はコロナ禍の影響で試合数も減少し、ノアjrのメインストリームに中々乗れない状態となった。
しかし一方でヘビー級の選手と絡むことで、覇王にとっても大きな変化が産まれた。それは受身の強さである。ヘビーとの対戦が増えれば、重く激しい攻撃を食らうことも増える。もちろんそれを何発も受ければダメージも残るし、中々勝ち星にも繋がらない。だがそうした受身の凄さ見せることでファンからも「覇王はしっかり技を受け止めるなあ」と好印象を重ねてきた。
その積み重ねが発揮されたのが、2020年10月の鈴木鼓太郎とのGHCjr王座戦である。この試合で覇王は、試合開始直後に元来もっていたトランジションの速さをいかんなく発揮し、鈴木を惑わした。そこに加えて、鈴木の放つ大技を切り返すだけではなく、しっかりと正面から受け止めた。戦前は鈴木から「最弱の挑戦者」と罵られた覇王だが、その言葉を大きく覆す内容となった。試合自体は鈴木が切り札ビッグ・ベン・エッジで覇王を沈めたが、覇王がノアjrで己の存在感を刻み込んだ試合となった。
時計の針は進み、2021年5月1日時点のGHCjr王座は小峠篤司が所持している。小峠は体の強さ、そして誰にでも対応できる万能さを持っている。そして覇王からすれば「自分より大型な相手」である。覇王がヘビー級との対戦でファンに見せた、「強い相手の攻撃を逃げずに受け止める姿」。それを活かすのにとても適した相手だと言える。
相手を圧倒したり、スピードで魅せること。それもプロレスでは大事だ。しかし「痛みに耐える表情を見せながら、相手の攻撃を受け止めること」。これも大事な要素だ。特にコロナ禍でネガティブな心境になっている人が多い世の中。そんなときに、歯を食いしばりながら、大きな相手に立ち向かう。そんな覇王の姿は、今だからこそファンに響くのではないだろうか?
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