プロレスリングノアは丸藤正道の団体である
トップ画像は@shun064さんの作品です。
プロレスリングノアは丸藤正道の団体である。これを私は声を大にして言いたい。もちろんこの言葉を否定するノアファンは少ないだろう。きっと多くのノアファンから賛同を得られるはずだ。
しかしアイ・アム・ノアは潮崎豪に譲っても。なぜ「ノアは丸藤の団体」だ、と我々は考えるのだろうか?
例えば「丸藤を通してノアの歴史が繋がる」という理由もある。三沢光晴や小橋建太を知らないファンへ、過去の丸藤の試合を通して彼らレジェンドの凄さを伝える。現在進行形のトップレスラーとして大舞台のメインで活躍して今のファンを。そして清宮海斗、稲村愛輝、岡田欣也らの壁として、未来に想いを馳せるファンを。丸藤は様々な年代のファンを引き寄せてきた。
しかしピッタリハマる答えではない。そこで私が考えたのは「丸藤の生き様=ノアの理念」という理由からだ。
丸藤はノア創立以来、自らのファイトスタイルを変化させてきた。本質として「己の技術でファンのインパクトをとる」という部分は変わらない。しかし表現の仕方は変化している。若手の頃は身体能力を活かした試合。中堅の頃は、そこに間合いや読みを加えて。現在では空高く舞うことは少ないが、説得力のある打撃を活かした試合を行っている。
トップレスラーでこれ程大きくファイトスタイルを変えてきた選手は少ない。丸藤がこうした変化をしてきたのは、もちろん負傷の影響が大きいだろう。首や膝の負傷で身体能力を活かした試合ができなくなる。そんな中でも自分をトップレスラーに保つために。進化するために。生きる残るために。丸藤はファイトスタイルを変化させ続けた。
また、プロレスリングノアは幾度も荒波に飲まれてきた。三沢の死去や選手の大量離脱。節目節目に親会社が変わり、変化し続けてきた。その理由は単純明快「生き残るため」である。団体としてその名を残すため。その都度変化を受け入れ、生き延びてきた。こうした「生き残るために変化を恐れない」という志は、正しく丸藤そのものである。だから私は「丸藤正道の生き様がノアそのものだ」と考えている。
5.31三沢光晴メモリアル。そして6.6サイバーファイトフェス。2つのビッグマッチで、GHCヘビー級王者武藤敬司を相手にして、丸藤は大トリを飾る。今を生きるために、武藤という禁断の果実を食らったノア。常に変化を求め、生存を目指す丸藤が武藤と激突するのは、正しく運命だっのかもしれない。そしていずれの試合で勝っても負けても。丸藤正道とプロレスリングノアの「生存を求めた道のり」は続いていくはずだ。