8.15杉浦貴VS田中将斗〜握手で始まり握手で終わる遺恨無き激闘
※トップ画像は@shun064さんの作品です。
8.15プロレスリングノアのカルッツかわさき大会。新型コロナウイルス関連の欠場者が多発し。直前で何度もカードが変わるなど激動に見舞われたこの大会を締めたのは、杉浦貴と田中将斗の純粋な戦いだった。
両者にはかつて弾丸ヤンキースとしてタッグを組んだ過去。そしてお互いがノアとZERO1のシングル王者であるという現在(この試合はダブルタイトルマッチでした)。こうした歴史はある。しかし過去を知らなくても。例えこの試合にベルトがかかっていなくとも。頭のを空っぽにして観戦するだけで、充分この試合の良さは伝わったはずだ。
ショルダータックルを打てば受け身を取らずに受け止めて、自分も相手にショルダータックルを。杉浦がエプロンから場外に向けて俵返しを放てば、田中もエプロンでスライディングDを。杉浦がセカンドローブから雪崩式ブレンバスターを敢行すれば、田中はトップロープから同じくブレンバスターで杉浦をマットに叩きつける。相手からの攻撃は正面から受け止める。しかし受けた攻撃は、更に相手を上回る技(自分なりの別解釈で)で反撃する。両者の意地がバチバチとぶつかりあった。
お前がそうくるならこっちはもっと凄いことしてみせるぞ!そうした攻防は試合終盤になると、激しさを更に増していった。杉浦の五輪予選スラム→田中のスライディングD→杉浦のスライディングD→田中の五輪予選スラムと、自分の得意技と相手の得意技をお互いがぶつけ合う。
観客がこれに重低音ストンピングで反応すると、杉浦と田中はこれに打撃合戦で応える。エルボーの打ち合い→張り手&バックブローと続き、杉浦がナックルと膝蹴りで田中をダウンさせるまで約3分。ひたすら両者のどつきあいが続いた。しかし試合にも必ず終わりが訪れる。
田中からダウンを奪った杉浦は五輪予選スラムを放ち田中をフォール。これに肩を上げる田中。杉浦は田中の執念を断ち切るために雪崩式五輪予選スラムを敢行。田中も流石にこれを返すことはできず、杉浦が田中に勝利した。
団体の看板王座をかけたダブルタイトルマッチではあったが、この日の試合にドロドロとした遺恨は一切無かった。それは試合開始は両者握手から、試合終了後も両者握手だったことからもわかる。いわゆる対抗戦であっても、この試合は間違いなくノアらしい試合だった。熱気あふれるどつきあいにも関わらず、終わってみれば爽やか。そんな印象を観客に強く刻み込んだ試合だっと言えるはずだ。