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3.30全日本プロレス大田区大会の三冠戦〜掌返しはこれからだ!

祝!安齊勇馬の三冠初戴冠!と書きたかったというのが、ぼくの率直な意見です。この試合自体がいわゆる「フラッグシップタイトルのかかった試合」「ビッグマッチのメインイベント」に見合ったものだったのか?そう問われたときのぼくの感想は「No」です。試合としては序盤を除くと王者中嶋勝彦に一方的にいたぶられる挑戦者安齊。もちろん両者のキャリアなり実力差を考えれば、こうした試合になることは予想の範囲内だったと言えるでしょう。試合の方向性自体は「まあこういうラインになるよね」という感覚でした。

「中嶋にうちのめされた安齊がボロボロになりながらも勝利を掴む」というある意味でハッピーエンドに近いラインであったにも関わらず。配信視聴していたぼくはフィニッシュを見たとき。歓喜よりも驚きが先行していました。安齊のタフさや中嶋の非情さは伝わったものの。良くも悪くもフィニッシュが唐突だったこと。また安齊が攻撃を受け切るときにどっしりと受けきれないかったこと。そのあたりの理由が「驚き>歓喜」だった理由です。

スタミナ不足があったことからも安齊の実力がまだ三冠王者に相応しいものではなかった。それは事実だと思います。少なくとも青柳優馬の初戴冠時と比較したときのような高い完成度を安齊が持ち合わせていたとは言えません。

ただし一方で新王者の力不足が全ての理由とも言い切れません。安齊が三冠に初挑戦したのは23年6月。相手は今回同様外敵である永田裕志でした。そのときのぼくの感想はこちらです。

三冠初戴冠時の永田は決してコンディションが良いとは言えない状態でした。それもあって全日本プロレスファンからもあまり好意的な目ではみられていない。ぼくもその中の一人でしたが、この安齊との三冠戦でぼくの永田に対する評価がガラッと変わりました。少なくともあの試合をきちんと三冠戦にしたのは永田だったからこそです。

今回王者中嶋は良くも悪くも「強い非情な王者像」を崩しませんでした。安齊の良いところを引き出すという形ではなく。自分が主導して相手を潰しに行き、その過程で安齊の向かっていく姿勢を観客に伝えるという形ですね。それは昨年の永田とは逆の姿勢でした。昨年の永田は安齊の力を全て出し切らせて&受けきっての完勝。ある意味で永田と安齊のスタイルがハマった結果の好勝負でした。逆に今回は中嶋のスタイルと安齊のスタイルが噛み合わなかったこと。そして安齊のキャリア不足。そうしたことで今回の試合が「フラッグシップタイトルの掛かった試合」「ビッグマッチのメインイベント」とは言い切れない内容になったとぼくは思いました。

「安齊はまだ若いからこれからの可能性も含めて評価しよう」「批判してはいけない」。それは決してよい雰囲気とは言えません。王者には興行の売上の責任が付随します。団体に金の雨を降らせることこそが王者の仕事です。どんなキャリアであってもこれは関係ありません。安齊が若いからといって、その責任を回避することはできないでしょう。そうした意味で「きちんとした批判をする空気」はむしろ好ましいと思います。※誹謗中傷はだめ絶対。

ただしそうした批判をする人であっても。きちんとしたモノを安齊が見せることができれば?きっと安齊を褒め称えるでしょう。

少し別の話題ですが、全日本プロレスでEvolution女子の設立を発表した際のことを思い出してみてください。あのときは「男子団体の中でも大型選手の多い全日本プロレスが女子団体と絡むのか?」と懐疑的な目で見られていました。しかし1年後の今はどうでしょう?そうした疑問や批判を彼女らは実力で黙らせました。

つまりいくら安齊を批判する意見があったとしても。彼が実力をつければみんなを黙らせることができるのです。そして彼にはその可能性があるとぼくは信じています。

最後になりましたが、どんな形であれ三冠をとるということは大事です。「まだ若いから次でもよい」。そう思っていても、本当に次が来るかは誰にもわかりません。そして安齊はそのチャンスを逃さなかった。だから安齊は胸を張っていいんです!三冠王者安齊勇馬として堂々と振る舞って。もっとすごい選手になったら。ぼく含めて今批判している人全員の手首をちぎれる勢いで掌返しさせてください!

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