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2021年のプロレスリングノア 真紅の章4「望月成晃から拳王へ〜現在を護る者」

緑の章1「潮崎豪から武藤敬司へ〜夢を継ぐ者」

真紅の章1「拳王から藤田和之へ〜強さを護る者」

緑の章2「武藤敬司から丸藤正道へ〜覚悟を継ぐ者」

真紅の章2「藤田和之から杉浦貴へ〜戦いを護る者」

真紅の章3「杉浦貴から望月成晃へ〜誇りを護る者」

緑の章3「丸藤正道から中嶋勝彦へ〜時代を継ぐ者」

真紅の章4「望月成晃から拳王へ〜現在を護る者」

緑と真紅の最終章「中嶋勝彦と拳王〜リスクを恐れるな」

10月に難敵杉浦を下してGHCナショナル王座に輝いた望月成晃。ノアへの本格参戦以降、丸藤正道とのタッグでGHCタッグ王座こそ戴冠していたが、ノアのシングル王座に就くのはこれが初めてである。50歳を超えてのシングル王者ではあるが、杉浦戦で見せた底力は全く年齢を感じさせないものであった。その望月に対して挑戦表明を行ったのが拳王である。

拳王はGHCナショナル王座の最多防衛記録を持ち、HJCナショナルにGHCヘビーとは異なる色を染めた選手である。他団体に流出したベルトの奪還。そして上の世代への挑戦という2つのテーマを掲げて、拳王は望月に戦いを挑んだ。そして望月から見ても、彼は直近のN-1で拳王に敗れており「一度は手放した時代」を再び自分の手に戻すためというテーマを持った戦いともいえる。

決戦の地は11.13横浜武道館。打撃が武器の両者にとって音が非常に響きやすいこの会場はまさにうってつけの場であった。お互いが強烈なキックを放ち、それを正面から受け止める。もちろんキックだけではない。望月は船木誠勝直伝のストレート掌底、拳王は日本拳法仕込みの掌打など様々な打撃でお互いを痛めつける。打撃で両者ダウンする光景も見られたが、それでも立ち上がる両者。しかし最後は拳王が掌打、さらに渾身のハイキックを望月にぶつける。これには望月も立ち上がることができず、KO負けで望月は拳王に敗れた。

勝利の後拳王は望月の年齢を感じさせない強さを讃えた。思えば拳王はノア参戦以降常に「強い上の世代」へ戦いを挑んできた。KENTAしかり杉浦しかり、しかり。またZERO1の田中将斗を追って火祭りに参戦するなど、世代闘争への意欲は並々ならぬものだった。さらにはグレート・ムタとの魔界決戦にも挑んでいる。そうした拳王にとって望月という「強い上の世代の選手」はまさに格好の対戦相手だったといえる。ノアで、いやプロレス界において活躍しているベテランを超えて現在の世代を護る。そうした立ち位置に最も適しているのが拳王なのかもしれない。だからこそ真紅のベルトが再び拳王の元に戻ってきたともいえる。

そして現在を護る王者は自分が真の一番になるために。そして過去ではなく現在の戦いが最も崇高であることを証明するために。GHCヘビー級王者である盟友中嶋勝彦に対して一つの言葉を発した。

時代を動かす?そんなゆっくり動かしてどうする?もっとでっかく動かすぞ!俺が1.1日本武道館のメインに立つために、俺のベルトとお前のベルトをかけて戦おうぜ!





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