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武蔵小杉メキシコ経由方舟行き〜大原はじめ〜プロレスリングノア

TLにKAMINOGE最新刊についての情報が流れてきました。

https://twitter.com/noah_ghc/status/1268742086737747968?s=19

そして今号の中に大原はじめのインタビューがあると知り、興味を引かれて購入しました。


ノアにおいて大原はじめは「中心に立つことは少ないが、痒いところに手が届く」という職人気質なレスラーだと私は考えていました。試合スタイルも高田道場仕込みのアマレス技術に、ルチャの要素を組み込むテクニシャン。派手な技を繰り出すわけではなく、ロジカルなレスリングで試合をきちんとコントロールする。感覚的にはグレートカブキや越中詩郎のような「カバン一つで日本中、世界中を渡り歩く職人レスラー」という印象でした。実際大原はじめは多くの団体を渡り歩き、自分の腕一つで稼ぐ流浪のプロレスキャリアだったので、余計にそう感じました。

しかし今回のインタビューを読んで私の思っていた印象が大分変わりました。レスラーに限らず、職人というと「自分の型をしっかり守って、己の技術で稼ぐ」という姿をイメージしますね。それこそ孤高の職人という言葉があるように。ですが、大原はじめはこうした「孤高の職人」とは全く異なる選手だったのです。

実は「自分の腕を推してきた」のではなく「自分の長所を現在所属している団体、ひいては社会的コミュニティの中でどうやって貢献できるか?」という視点でこれまでの人生を歩んできたのが大原はじめという選手の本質でした。発売中の雑誌なので詳細なエピソードを書くことは憚れますが、祖父母の介護に接してきた経験から行いはじめた社会貢献などはまさにその本質を表していると感じました。

プロレスに限らず「自分の良さを人に認めさせよう!」と意気込んでも、中々人には伝わりません。そして伝わらない期間が続くと「俺はこんなに頑張ってるのに!」とネガティブなメンタルになってしまいます。

しかし「自分の長所でどうすれば相手に貢献できるか?」と考えて動くと、ガラッと変化します。相手の視点になって「こうすれば相手のメリットに繋がるかな?」と考えるとスムーズに物事が進むことが多いのではないでしょうか?そしてゴールとして知らぬ間に「自分の良さを相手に伝えること」ができるでしょう。

こうした「他者視点」を持つことはとても大事です。プロレスでも自分のやりたいことをやり続ければ相手に勝てるわけでも、観客のことを捕まえられるわけでもありません。大きな枠組みの中で、自分の力をどうすれば活かすことができるか?そのために自分に何が足りないのか?その足りないことを埋めるにはどうすればよいか?

まさに大原はじめはこの「他者視点」と「分析力」が突出しているのだと、このインタビューを読んで感じました。昨年から大きな変化が発生し、若手の力も伸びてきたノアですが、大原はじめのような選手がいることはとても大事です。また彼の背中を見るというのは若手にとって、とても貴重な機会でしょう。

最後にひとつ。武蔵小杉の少年が三沢光晴のビデオを見て、高田道場、闘龍門を経由し、三沢光晴の作ったノアにたどり着く。というのはとても壮大且つ浪漫のある話ですよね。

プロレスリング・ノアの最新情報はこちら

https://twitter.com/noah_ghc

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