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N-1 VICTORY2022【FINAL】鈴木秀樹VS清宮海斗〜黄金を招くのは清宮海斗

8.11の横浜武道館から始まったN-1 VICTORYも、9.3エディオンアリーナでの決勝をもって終了しました。いずれもタフな試合となり選手の負傷。そして感染症拡大が続く状況。そうした中で開幕後に誰一人欠けることなく全カードを消化できたこと。それは団体や選手の取り組みが実ったことだと思います。皆様本当にありがとうございました。

さてついに迎えた決勝戦。Aブロックからは鈴木秀樹。Bブロックからは清宮海斗。いずれも激戦を勝ち抜いた両者が激突するカードとなりました。GHCヘビー級王者の拳王が敗退している以上、ここで勝つことで至宝への挑戦権を得ることができる。鈴木秀樹からすれば「生き残るために」。清宮海斗からすれば「生まれ変わるために」。お互い譲ることのできない決戦でもありました。

試合はグラウンドでもスタンドでも。ひたすらお互いが組み合いにこだわったものとなりました。5分経過。10分経過。15分経過。そうしたアナウンスが流れても徹底して組み合っての勝負。清宮がヘッドロックを長時間繰り出せば。鈴木はアームロックと胴締め。時折打撃やロープワークは見せるもののどちらも組み合い領域から引かずに戦いが続きました。

組み合いから移行は鈴木のバックブリーカーを清宮が切り替えしてのドロップキック。チェンジオブペースとしてはとても華麗な流れでした。ここからは清宮の耐えるシーンが続きます。スタンド上段まで音の響くエルボー。エプロンに叩きつけられるバックブリーカー。雪崩式のダブルアームスープレックス。徹底して痛めつけらた清宮。一旦はドラゴンスクリューからのシャイニングウィザードを狙って戦局の打開を狙いますが、鈴木はこれを防ぎレッグロック。そしてそこからロイヤルストレッチで清宮を絞り上げます。ロープに逃れた清宮に鈴木は止めのダブルアームスープレックス。万事休すかと思いきや清宮がカウント3直前に肩を上げます。

再びダブルアームスープレックスを狙う鈴木。清宮は切り替えしフランケンシュタイナーで形勢逆転。すぐさまタイガースープレックスを繰り出します。そしてこれを返されると清宮式とも言える相手の頭を掴んでのシャイニングウィザードを2連発。この連続攻撃をもって清宮が鈴木秀樹をリングに沈めました。

N-1 VICTORYの覇者となった清宮。彼のリーグ戦は決して平坦な道のりではありませんでした。一部で武藤の技を使うことを懐疑的に見る目があったこと。それは否定できません。ですが清宮の真骨頂は終盤の連続攻撃にあります。相手の技を切り返したあとにすぐさま畳み掛けられる点。これは清宮が積み重ねた体力。そして磨いた受身の技術。そうしたモノがあってこそです。この試合で見せた武藤の技は清宮が持っていた「己の戦略」の中に組み込んだ技だったと思います。

この試合を以て「武藤の技に囚われなくなった」と言い切ることはできないかもしれません。ですが最高の舞台で清宮は内容と結果の両方を手にした。それは紛れもない事実です。新しい景色の第二章を清宮が描くことができるのか?その先にノアの黄金は招かれるのか?未来の一端は確実に清宮海斗に託されたと言えるでしょう。


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