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静かなる侵略者小島聡〜左手に花束を右手に刃を
6.12サイバーファイトフェスのメインイベントで潮崎豪を下し、GHCヘビー級王座を獲得した小島聡。ノア参戦直後こそ「新日本でメインストリームにいない小島がノアでどんな試合をするか?」と訝しげな目もありました。しかし「はつらつとした明るいファイトスタイル」「SNSでノアの情報を頻繁に発信する」「サイン会でのファンサービスの良さ」といった姿勢によって、ノアでの小島の存在感は急速に増しています。私を含めて小島を「ノアの外敵」「侵略者」といった視点で捉えるファンはあまりいない。むしろ「ノアに来てくれてありがとう小島」という意見の方が圧倒的に多い印象です。小島は新日本の色を出さないことでノアファンに対して外敵としての立ち位置をとらず、しっかりノアに馴染んでいます。
しかし少し視点を変えてみましょう。ノアにやってきた外敵として印象深いのはやはり鈴木軍です。強さと暴力性でノアを制圧し、鈴木みのるはGHC王者として大ブーイングを浴びていました。ノアの宝(GHCヘビーのベルト)を奪い。ノアの中心選手を叩き潰す。これはとてもわかりやすい侵略です。
21年2月にGHCヘビーを獲得した武藤敬司。彼は武藤敬司という強烈な存在でした。ノアという団体よりも存在感があり侵略というイメージはあまり感じられませんでした。
22年2月に中嶋勝彦からGHCヘビーを奪った藤田和之は?彼も鈴木みのるに近い暴力性や残虐性はありました。しかし彼はノアの中に藤田和之という新たな立ち位置を作っただけであり、誰かの立ち位置を奪ったわけではありません。彼に類するキャラクターはそもそもノアには不在でしたし。
では小島の場合は?小島は強さこそしっかりと示していますが、鈴木軍のような暴力性や残虐性はありません。対戦した選手へのリスペクトも常に発しています。そんな小島を見てノアファンは小島に魅了され、小島を両手を挙げて歓迎しています。しかしその歓声は?6.12に勝利していれば潮崎豪が得ていたものではないでしょうか?
Iam noahとして20年を駆け抜け。22年も4.30に藤田和之清宮海斗を倒しGHCヘビー級王者に返り咲いた潮崎。本来ファンの大歓声を受けて戦うのは潮崎だった。それを奪ったのは小島ではないか?それが私の考えです。奇しくも7.3山形大会に予定されていた潮崎のサイン会が彼の欠場で中止となったとき。その穴埋めをしたのは小島でした。もちろんこれは偶然です。しかし潮崎がかつて果たしていた「ノアの柱」という立ち位置。それを小島が侵食している。そして私も含めてその状況を受け入れつつある。よく考えると潮崎にとっては残酷な状況かもしれません。
もちろん私は小島を否定したいのではありません。ひょっとしたら現役最後になるかもしれない大きなチャンスが目の前にある。であればなりふり構わず掴みにいく。そして掴んだチャンスは絶対に離さない。他の人間が掴みに来るなら叩き潰す。そうした小島の貪欲な姿勢はノアの選手にはあまり見られなかったものであり。しかしそれはプロとしてとても大事な要素です。
その小島に7.16日本武道館大会で挑戦するのが拳王です。
拳王は前哨戦でもそのバックステージでも。小島を明確にノアの敵として口撃しています。ですが拳王のそうした口撃をもってしても。現時点で小島を「ノアを侵略しにきた外敵」として認知させるには至っていません。小島の侵略に対して強烈な危機感を持つ拳王だからこそのこうした動きなのかもしれません。小島が拳王に勝利し、小島の静かなるノア侵略は継続されるか?それとも拳王が勇者として魔王小島を打ち取るのか?そして潮崎が再び這い上がる姿は!7.16日本武道館はとても興味深い大会になりそうです。