焼さば鮨作りの沼にはまる
きっかけは近所の飲食店が始めた焼さば鮨がべらぼうに高く、それなら作ってみようと思ったことだった。
羽田空港や東京駅にある、某有名店のあの味が忘れられない。脂がのった身の厚いさばに、適度な酢加減の酢飯、間には青ジソとショウガが絶妙なバランスで入っている。せっかく作るならあの味に近づけたい。いきなりハードルを上げてスーパーに向かう。
今までは、さばの骨をどうやって綺麗に外すのかと考えただけで億劫な気持ちに襲われ、諦めて来た。でも、もういい。私には骨抜きピンセットも、休校中に魚の骨抜き職人の技を磨いた小学生達もいる。
今度こそ作る、作ってみせるぞ、と気合いを入れてスーパーの食品棚に到着。さば、さば、さば…。え?骨抜き完了のさばが当たり前の顔をしてそこに並んでいるじゃないの。世の中の人は、皆知ってたの?これは常識だったのか?家でさば鮨を作るために存在するのか?等々、動揺を必死に隠しかごに入れて、青ジソと薄切りのショウガの酢漬けも購入。
作ってみたら、簡単で脱力感すら覚えた。何のことはない。焼いたさばを冷まして、酢飯の上にショウガ、青ジソ、さばの順に乗せて巻きすで形作り、冷蔵庫で一時間以上冷ますだけだった。こんなにシンプルな工程で、材料もすぐ揃い、肝心な味はと言うと。
ママ、あの味に近いよ!美味しいよ!と大好評。最初は4本作ってみた。すると、すぐに完食され、最後は兄弟ゲンカ勃発の嬉しい悲鳴。
今では1度に6本作る、我が家の定番に鎮座している。毎週食べたいのを必死に我慢し、隔週くらいにちりばめて、さりげなく出す。そうしないと、またママはまっているんでしょ、この料理、と家族中から総突っ込みを食らうから。
さて、そろそろさりげなく出すタイミングが来たみたい。さば鮨作りライバルが現れる前に、平静を装ってスーパーに出掛けよう。
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