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悪質なアドネットワーク(第3回):アドフラウドの進化に引き離されない戦い方

今回は、悪質なアドネットワークに関する3回連載の第3回です。前回の記事では、悪質なアドネットワークを見つける事ができる簡単なチェック方法をご紹介しました。連載の最後となる第3回では、急速に進化するアドフラウドの未来について見ていきたいと思います。
より詳細な情報についてはhttps://note.com/moloco_japanをご覧ください。

あなたが今まで本ブログで紹介したチェック方法に従い、いくつかの悪質なアドネットワークを検出したとします。さて次はどうすべきでしょうか?最も重要なことは、即座に悪質なアドネットワークの利用をやめることです。残念ながら、実際は多くのマーケターは以下の2つの実際的な懸念から広告出稿先を遮断することが難しいと感じています。

懸念点1:悪質なアドネットワークの停止によるインストール総数への影響

インストール総数が減少する可能性があるため、悪質なアドネットワークの停止による悪影響を懸念しているかもしれません。これは真っ当な懸念です。マーケティング担当者は、常により多くのインストール数を達成しなければらないという圧力に晒されています。また、一定量のフラウドは必要悪であり、それを看過しても、フラウドでない良質なインストールの数が上回る、あるいはベンダーから払い戻しを得ることで帳消しにできるという希望を抱くかも知れません。

私たちはこの懸念材料について広範囲に調査した所、悪質なアドネットワークを停止しても、インストール総数に悪影響を与える心配はない事が分かりました。事実、悪質なアドネットワークによる不正なインストールの大半は、オーガニックポーチングによって発生しています。あなたが悪質なアドネットワークの使用を停止してもインストール総数にほとんど変わりはなく、一方で多くのお金を節約することが可能です。

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上記図1は、悪質なアドネットワークを停止する前後の比較と、残った予算を再配分した場合の効果を表しています。左の”Current (=現在)”と表記された棒グラフ群のキャンペーンでは、インストール総数の約3分の1、およそ30,000件が、複数のアドネットワークから発生しています。

左側から2番目の“Fraud Removed(=フラウド排除済み)”と表記された棒グラフ群は、アドフラウドの可能性があるアドネットワークを除外した結果を表しています。広告経由のインストール数を表す赤い棒グラフは80%縮小し、その分の広告予算が節約されていることが分かります。重要なのは、広告経由で減少したインスールとほぼ同じ分だけ緑の縦棒で表されるオーガニックインストールが増えており、黄色の縦棒で表される合計のインストール数はほとんど変わっていないことです。
一番右の縦棒グラフ群を見れば、当初の予算を良質なアドネットワークに分配することにより、インストール総数を25%増加させることが可能であると分かります。これは至ってシンプルです。

懸念点2:悪質なのにリテンション率がとても良いアドネットワーク

2つ目の潜在的な懸念点は、悪質なアドネットワークは歴史的にリテンション率が高いことです。
マーケターは常に質の高いユーザーを探しており、リテンション分析は不正インストール(インストールファームなど)を検出する最良の方法だと考えられています。ほとんどの広告キャンペーンによるインストールは、オーガニックのインストールよりもリテンション率が低いため、稀にリテンション率の高いアドネットワークが見つかると、マーケターは喜びます。もしそのようなアドネットワークが怪しい挙動を示したとしても、広告プランからそれを排除したいとはなかなか思わないでしょう。

しかし、このような一見効果の高いアドネットワークを見つけたとしても、あなたが享受している高いリテンション率を見せるユーザーは、実はあなたのオーガニックインストールから盗まれたものかも知れません。もし、これらのアドネットワークがあなたのオーガニックインストールのアトリビューションを盗み広告経由であるかのように見せかけているのであれば、もちろん素晴らしいリテンション率を叩き出しているでしょう。したがって、リテンション率分析を実施する前に悪質なアドネットワークを見つけ除外することが、優れたマーケターにとって非常に重要になります。

下記図2は、先ほどと同じキャンペーンからのものです。一見すると、広告経由のリテンション率はオーガニックからのものを100とした場合、その80.9%に達しており、非常に良好に見えます。しかし、残念ながら、これらの広告経由インストールの大半、実に90.1%がオーガニックトラフィックから盗まれたものであることが判明しました。この盗まれたオーガニックインストールを除くと、実際の広告経由のリテンション率は80.9%から47.3%に急落し、この悪質なアドネットワークがもたらしたユーザーの真の価値を明らかにしています。

リテンション率は重要な指標の一つであるものの、悪質なアドネットワークは簡単にリテンション率を偽ることができるため、それらを排除しない限り、広告パフォーマンスの本当の姿を明らかにすることは不可能なのです。

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ケーススタディ:広告主が悪質なアドネットワークを断つ

今まで取り上げてきたグラフの企業は、数百万人のユーザーと大規模なユーザー獲得予算を持つ大手アプリ会社です。彼らは、私たちがこれまでのブログ記事で紹介した全ての推奨事項に従うことに同意しました。

彼らは当初、インストール数を失ったり、リテンション率の高いアドネットワークへの出稿を停止したりすることへの恐怖心を露わにしていました。しかし、私たちは彼らの不安を和らげた後、彼らは私たちのアドバイスに従い、また結果を綿密に測定することに同意しました。

この企業は、フィンガープリントのアトリビューション期間を24時間から当社推奨の1時間に短縮することで、オーガニックポーチングの問題に対処しました。下記図3に示すように、この簡単なアクションにより、広告経由のインストール数は50%減少しました。何よりも優れたことに、オーガニックと広告経由を合わせたインストールの総数は全く変化しなかったのです。この結果は、これらの悪質なアドネットワークが単にオーガニックインストールを盗んでいたことの明確な証拠を示しています。(下記図3参照)

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更に興味深いことに、悪質なアドネットワークは、短くなったフィンガープリントのアトリビューション期間に素早く反応しました。彼らは何としてもこのアプリ企業を欺くために、短くなったアトリビューション期間内に収まるように、より大量の不正クリックを発火し始めました。

アトリビューション期間の短縮は、悪質なアドネットワークによるクリック数を4倍増加させました。ピーク時には、人口の16%に相当するクリック数を毎日発火していました。(下記図4参照)

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私たちはこれらの変更に非常に迅速に対応し、不正クリックを抑制するための追加設定を推奨しました。最も不審な挙動を見せていたアフィリエイトパートナーは、厳しい制限に対応することができず、ドロップアウトしてしまいました。

このクライアントのために、当社は”DoubleCheck”というアドフラウド対策ダッシュボードの基礎を構築することになりました。私たちは、この企業が追跡したいと考えていた多くの種類の不正行為を検証し、ネットワーク毎に0~100の範囲で総合的な不正行為のスコア付けを行いました。(下記図5)

このスコアを使用して、このアプリ企業は不審なアドネットワークに返金を要求し、広告費の最大90%の割引を受けることができました。

なお、DoubleCheckダッシュボードについては、以前の記事をご覧ください。

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この企業のアドフラウドとの戦いに終わりはないかもしれません。しかしアドフラウドとの戦いを支援してくれる多くの優れたツールが手に入るようになったのです。

結論:アドフラウドは遍在しており、進化する。

私たちは、アドフラウドとの戦いにおいて、どのクライアントでも利用できる "フリーサイズのソリューション "は存在しないと考えています。なぜなら、悪質なアドネットワークによる、不正行為に基づいたビジネスモデルが存在し続ける限り、彼らは利益が危機に晒されても素早く反応し対策をとるからです。このため、アドフラウドとの戦いはこれからも続き、クライアントとそのパートナーが常に警戒を怠らないことが必要になると考えられます。

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本記事、悪質なアドネットワークに関する3回連載の第3回目であり、最終回になります。
これまでの記事では、広告ネットワーク詐欺の影響範囲と、問題に対処するために実行できる簡単なチェック方法について説明しました。今回の記事では、急速に進化するアドフラウドの未来について説明しました。

今後も様々な角度でアドフラウドについて寄稿していきます。詳細はhttps://note.com/moloco_japanをご覧ください。

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