日記
今日は、麦茶を沸かす。
ストックが無くなってしまったからだ。
やかんにお水を注いで火にかける。
かけようとした寸前で、待とうか、と思った。
今日は酷暑だったので、外は暑い。
ということは、外に置いてある物は全部熱くなっているはずだ。全部。
火として機能するのではないだろうか。
今日はわざわざ、コンロの火にかけることも無いだろう。
やかんを手に、さっそくベランダに出る。
ベランダも酷暑だった。
ベランダには、室外機がひとつある。
手で触ってみたらあたたかい。
が色が白ということもあって、室外機の天板は、
火ほど熱くはなっていなかった。
残念。
次を探そうとベランダから下を覗くと、
本アパート駐車場の車止めの後ろに、赤くメラメラしている何かが見えた。
上に白い何かが乗っかっている。
ホッケとかだろうか。開いたやつ。
これだ、と思った私は着の身着のまま、
やかんを手に階段を降りていく。
あった。
近くで見てもメラメラ言っている。
燃える炎そのものと言っても過言ではない。
近づいてみると物体は、赤い三角屋根の犬小屋だった。
それで上にはホッケではなく、
スヌーピーが寝ている。
私は、熱かろうにと思った。
スヌーピーは仰向けに寝転がって、
耳をだらんと垂らしている。
それから微かに
ジュ〜
と音がしている。
焼かれている、熱かろうに。
私はスヌーピーを起こさないように、
隣にそっとやかんを置かせてもらう。
しばらくしてやかんも、
ズゴー
と音を立て始める。
ちゃんと沸き始めた。
すると、音で目を覚ましてしまったのだろうか、
スヌーピーがガバッと起き上がる。
「はっ!今何時???」
私はスマホも時計も持っていなかったので、
「ごめん分かんない」
と返すと、
スヌーピーはそれどころではないことに気がついたのか、
「あっつ!!熱!!!あっ!!!!つ」
と、犬小屋の上から飛び降りて走り去っていった。
屋根の上には、スヌーピーの背中と頭部の形に茶色く焦げた毛がびっしり貼り付いていた。
スヌーピーも大変だなと思った。
しかし寝ていたのに、悪いことをしまった。
そうこうしていると、やかんのお湯が沸いた。
部屋に戻って、お茶っ葉を入れる。
さっき寝ているところを起こしてしまったお詫びに、
スヌーピーに、麦茶をお茶碗に入れて持っていってあげた。
スヌーピーは不在だった。
飲んでくれると嬉しい。