日記
今日は、近所の公園のフリーマーケットへ。
先週チラシを目にした時から絶対に行こうと思っていたやつだ。
今日はあいにく朝からしっかり雨が降っていたものの、チラシには
『雨天でも決行するかも』
と書かれていたので、一旦公園に行って見ることに。
雨はどんどん強くなってきている気がした。
歩いて公園に向かったところ、
公園にはブルーシートが1枚だけ敷かれており、
お兄さんが1人とその周りに商品がいくつか並べられていた。
思っていたフリーマーケットとは違ったが、決行してくれた人が1人でもいたのでよかった。
客は私1人だった。
せっかくなので見ていこうと近づいてみると、
お兄さんは、びしょびしょの状態で座っており、お兄さんの真横には『紙製品屋』と彫られた板が置かれている。
すると
「いらっしゃいませ、すいません、こんなびしょびしょで」
とお兄さん。
言いながらも、濡れている状態をそこまで気にしていない感じもする。
ブルーシートの上には、トイレットペーパーや、箱ティッシュ、キッチンペーパーなどたしかに紙製品が並んでいる。
ビニールで包装されているとはいえ、雨にさらされた紙製品はちょっと不安だなあと思った。
すると、お兄さんは着ていたネルシャツの裾の水を絞りながら
「不安でしょ、不安でしょ」
と話しかけてきた。
ブルーシートの上で絞るものだから、たまった水がまた紙製品の方へ流れていく。
お兄さんはにこにこしている。
それからもう一度
「不安ですか?」
と聞いてきたので
「不安です」
と言うと、
「そうですか」
とお兄さん。
するとお兄さんは、ズボンの後ろのポッケから何かを取り出そうともぞもぞし始める。
何か出てくるのだろうか。
もぞもぞしている間にも、雨はふりしきり、お兄さんと紙製品はどんどんびしょびしょになっていく。
もぞもぞの末、出てきたのはお風呂に浮かべるアヒルのやつだった。
お兄さんはちょっと嬉しそうに
「いきますね」
と言うと、アヒルをブルーシートの水たまりの上に浮かべて
「こうなります」
と見せてくれた。
「そうなるんですね」
と言うと、
「はい」
と返ってきた。
それからいくつか浮かべて見せてくれた。ゴム風船とか。
浮かばないものもいくつか見せてくれた。ボールペンとか、紙風船とか。
なんとなくその様子をずっと見ていたら、
ぐっと顔を上げてお兄さんに
「何か買わないんですか?」
と聞かれてしまった。
ちょっと怖かった。
まあ、ならせっかくなので初めに見せてもらったアヒルをくれないかと聞くと
「売り物じゃないんで、これは棚卸しのときに数えないやつなんで」
と言われてしまった。そうなんだ、と思った。
聞くと、売り物はもともと並べられていた紙製品だけだったらしい。
それならと、箱ティッシュを買って帰ることに。家に箱ティッシュがあと少しだった気がするし。
箱ティッシュは5個パックで248円だった。下手なドラックストアよりも安い、絶妙な価格設定だと思った。
そのことをお兄さんに指摘すると
「へえ」
と返ってきた。
お会計をして、お兄さんは商品を手渡しながら
「不安ですか?」
ともう一度聞いてきた。
もう見慣れてしまっていたが、確かに雨ざらしの紙製品はやっぱり不安だ。すでに購入してしまっていたものの
「不安です」
言うと、お兄さんは
「そうですか、ありがとうございました〜」
と送り出してくれた。
公園の出口に差し掛かったところで、遠くからお兄さんのネルシャツを絞る音がざばばばあ、と聞こえてきた。
家に帰って、早速中の箱ティッシュが無事かどうか確かめてみることに。
外のビニールを解くと、中の箱ティッシュは5箱とも完全に無事だった。
お兄さん・・・と思った。
しまっておこうとストックの箱を開けると、パンパンに箱ティッシュが控えていた。
そういえばこの前買ったばかりだった。
お兄さん・・・と思った。
もうストックの箱の上にはスペースがなかったので、床に直置きすることに。
せっかくなのでブルーシートを下に敷いてあげた。
しっくりきている。
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