飛んで火に入る夏の虫
夏の夜。
ぼーっと眺めた、仄暗い青紫のランプ。
一瞬にして何かが終わる耳に残る鈍い音。
好きなわけじゃなかったけど、無視できなかった。
(虫だけに。)
今は亡き、コンビニの前での風景。
夏が「終わる」季節だと、感じさせてくれた。
夏を1つ失っていた。
でも、すぐには気が付かなかったし、失ったからといって困ることもなかった。
それが、とても寂しい。
「失って気付く大切さ」みたいなものがある一方、
「失っても気付かない些細な事」がある。
寂しいね。
虫は、光そのものではなく、紫外線に寄っていく習性がある。
従来使われていた蛍光灯は、光とともに紫外線を出している。
蛍光灯には虫が寄っていく。
しかしLEDライトは紫外線を出さないので、LEDを使い始めたコンビニには虫が寄らなくなった。
文明の利器、便利なもので生活は変わっていく。
人間にとっても、虫にとってもWin-Winだろう。
そんなことを寂しいと思うのは、私の傲慢だろうね。
平成最後の夏だなんて言いながら、終わりを感じさせるものに情緒を感じ、夏を満喫しようと意気込んでいたのに、自分の生きた平成の夏に確かにあって失われていった、命の儚さを身近に感じさせる眺めを忘れていた。
夏は「終わる」季節なんだ。
また私に感じさせてくれた。
飛んで火に入る夏の虫。