つゆ
すれ違った猫3匹。電柱数本、電灯数本。
人、0人とすれ違う。
神隠し気分。
雨のせいでワントーン濃くなったアスファルトと、夜の暗さが合わさって余計に。
たまには歩いて帰るのもいいね。
自分が世間にとって特別な存在だとは思わないけれど、あの道で踏み出した一歩は私にとっては間違いなく特別だった。
そんな特別を。…。特別を、なんだろう。
かかとを上げて、頭を引き上げ競い合う背比べみたいに、身を寄せ合って上へ上へと日を求めた雑草が。
切磋琢磨とも言えば格好がいいが、蹴落とし合いに見える。自分に見えるものは、自分を映す鏡だって。
気づけば目的を忘れて、すぐ隣のことばかりが目に入って、背伸びする。
もっと真っ直ぐ伸びられないか。
道で潰れた亀らしき生き物のあと。心の平穏を保つには、自分とは関係ないと割り切るか、悲しみを受け入れるか。私の平穏はどこか。
どこでもドア。
日記を書きながら、この時の自分も自分なのかと、疑いたくなる。健康診断の結果によると、去年より5kgほど減っていたので、5kg分ぐらい違う人になったんだろうね。今頃、どこかで元気にしているかな。
そんなことはつゆ知らず。梅雨だけに。