![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/50299397/rectangle_large_type_2_c8c17fe09214ba8368c80059afcd65d2.png?width=1200)
アルカリイオン水の化学を水の電気分解の視点からお話しします
電解還元性アルカリイオン水という水があります。化粧品や飲み水として利用されています。どんな水なのか不思議に思いますよね。
電解還元水、アルカリイオン水とも言われます。水に電気を流して出来る健康に良さそうな水として評判になっています。
アルカリイオンや電気分解の化学をまとめてお話しします。
■水や食塩水を電気分解したら何が起きるか?という視点からアルカリイオン水を見ていきます。
■電解還元というのは水に電気を流す、つまり水の電気分解のことのようです。プラス電極の方にマイナスの電荷をもつ水酸化物イオンが集まって酸素の泡できます。マイナス極では水素イオンから水素ガスの泡です。水素イオンH+は、マイナス極に引かれていき、そこで電子を受けとって還元されて水素ガスになります。
■元反応とは電極から電子をもらう反応です。水素ガスが出来るマイナス極(陰極やカソードといいます)で還元が起きています。
■アルカリイオン水はアルカリ性を示して水素ガスを含んでいるのが特徴です。それはこの電極反応の近くの水だけを集めているので、そうした特徴を持つのです。
■水はpH7の中性です。水素イオンと水酸化物イオンが10のー7乗の濃度ずつ同数ある状態が中性のpH7です。
アルカリイオン水はpH9ほどと書かれているので、水素イオンが10の-9乗の濃度で、水酸化物イオンが10の-5乗という計算になります。
水酸化物イオンが中性より100倍の濃度の水です。
■水素ガスができる電極付近の水がアルカリイオン水なのを説明しましたが、その電極付近の水は水素イオンの濃度が低くなって(水素イオン濃度が薄まって)、取り残された水酸化物イオンの濃度が上がって(濃度が濃くなって)います。
アルカリ性を示すのは水酸化物イオンが中性の10のー7乗の濃度より多いことを反映しています。
■プラスとマイナスのイオン
純水はほとんど電気が流れません。水でも硬水といわれるミネラルウォーターはナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどの金属イオンを含みます。このミネラルウォーターぐらいの濃度でも電気はあまり流れないでしょう。
電気を流しやすくするには、ミネラル成分を薬品として追加します。食塩や水酸化ナトリウムを加える場合もあります。
塩化物イオンや水酸化物イオンはマイナスの電荷で、マイナスだけは電気的にバランスがとれていません。このとき、電気的なバランスはミネラル成分(アルカリ金属のプラスイオン)を相手として中性を保ちます。
■食塩水(塩化ナトリウム水溶液)の電気分解
マイナス電極には水素ガスが発生しますが、これらの金属イオンもプラスの電荷をもったプラスイオンなのでマイナス電極に集まります。ナトリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンは電極で還元されずに水素が還元されます。マイナス電極にはナトリウムのプラスイオンが集まって濃度が高くなっていくのです。
食塩水では、ナトリウムイオンとペアになる相手が塩化物イオンです。マイナス電極にナトリウムイオンが集まている時、塩化物イオンはプラス電極側に集まります。
このプラス極とマイナス極の間の水が混ざり合わないように、イオン交換膜などで区切っておくと、マイナス極側にナトリウムイオンと水酸化物イオンの濃度が高くなります。
■これを薄い水酸化ナトリウム水溶液と考えてみると、水酸化ナトリウムは40gで1モルで0.4gでは0.01モル。40mgで0.001モル。この10の-3乗モル/Lの水酸化ナトリウムのpHは11と計算されます。
アルカリイオン水のpH9というpHを水酸化ナトリウム水溶液で作るなら10-5乗モル/Lの濃度と計算されます。
100Lの水に水酸化ナトリウムを40mg溶かした濃度です。水酸化ナトリウムは強いアルカリ性ですから、100Lの水にほんの少し溶かしただけでpH9を示します。
■ナトリウムイオンとペアになる相手のイオンが塩化物イオンなら食塩水です。マイナス電極にナトリウムイオンが集まている時、塩化物イオンはプラス電極側に集まります。
このプラス極とマイナス極の間に、イオン交換膜などで区切っておくと、マイナス極側にナトリウムイオンと水酸化物イオンが集まってプラス電極側の塩素ガスと混ざらずに取り出せます。
■アルカリイオン水はpH9を示すほどに薄めた水酸化ナトリウム水溶液と同じほどの水素イオン濃度です。違いもあります。電極で水素ガスが発生するところの水ですから、水素ガスを含んでいます。
■重曹水もpH9ほどを示します。重曹は炭酸水素ナトリウムです。ナトリウムイオンを含んでいます。この重曹水は油汚れを取る力があります。油とナトリウムイオンが小さな石鹸を作る反応をして油を水に溶けやすくします。
■アルカリイオン水は皮脂を取る作用もあると言われます。これは重曹水と似たような作用で皮脂とナトリウムイオンが反応して皮脂を水に溶かして洗い流すのでしょう。
以上、アルカリイオン水の化学をまとめてました。電気分解、イオン、pH,石鹸、食塩と小学生でも習う身の回りの理科から高校生で習う化学までいろいろ登場しました。
アルカリイオン水のからだへの効果は、研究途中のようです。化学も複雑ですが、からだはさらに複雑ですからね。
皆さんの化学の疑問や健康にお役に立てれば幸いです。