#39 都留駅さんぽ
おはようございます、こんにちは、こんばんは。
関東では桜が咲いたと思ったらあっという間に散ってしまいましたね。
春はあけぼのから始まる『枕草子』序文。
夏も秋も冬の感じもとてもよくわかるのですが、春のあけぼのだけはまだ体感したことがなくていつかいつかと思っているうちに季節はうつろってしまいます。
道志村はまだかろうじて咲いているようです。
先日、まだ満開一歩手前くらいの時に道志村に行ってきました。
具体的に何か作業をしたわけではないですが、子供たちの春休みを利用して少しのんびり道志の春を満喫してきました。
ついでに家にたまってきていた蔵書たちを、少しずつ道志に移すべく、本をダンボール箱3箱分いっぱいつめて持っていったりしました。
さて、道志村のお隣に都留市という町があります。人口3万人弱で大きなスーパーやチェーン店などもあり、道志村の人たちもよく買い物に出かけていくところです。
もちろん自然も豊かに残っていて、最近移住者がとても多い地域だそうです。
わたしはこれまで都留の街をじっくり見たことがなかったので、一度どういう店があるのか、都留の本屋さんはどんな感じなのか見てみたいと思っていました。
今回その時間が取れそうだったので、行ってみることにしました。
こちらが都留市駅。ピンクの駅舎が可愛い。
無人駅だそうです。
わたしたちは道志からもちろん車で行ったのですが、問題は駐車場。周辺いろいろ探しましたがコインパーキングらしいところが見当たらず。
駅の隣に駐車場があるものの予約制と書いてあり、電話番号などは何も書かれていませんでした。
駅前にいたタクシーの運転手さんに聞いてみると、あー今駅に誰もいねーからわかんねんだよ。どのくらいとめんの?1時間くらい?大丈夫だーとめちゃって。と言われましたが(さすがのラフさ!)、うーむ、許可なしでとめるわけには……と近辺をもう少し探すことにしました。
一緒に行った義母が近くのお店の方に駐車場がないかどうか聞いてくれたのですが、なかなか帰って来ず、どうしたのかと思っていたらそこのお店の方がお話し好きだったようで。延々と都留市駅の前にある「さんちょう商店街」についての成り立ちや噂話などをお話されていたとのこと(いいでしょう、のんびりしてて)。店の駐車場を貸してくれるとのことだったので、運良く停める場所を得たのでした。
でもそちらはもちろん一般の駐車場ではなく、後で調べたら小さいスペースながら「さんちょう商店街」の休憩所「さんちょう亭」の前に停められるようでしたので、もしもご利用の際はそちらを利用するとよいかと思います。
わたしが商店街で1番見たかったのはこちらの本屋さん
初原書店さんです。いい佇まい!
ちょっと入るの緊張しました。
でも入ると児童書がたくさん並んでいて、うちの子供たちが喜んで、さっそく雑誌やキャラクターの本などを手に取り見ていました。
売り場の大半がそういった児童向けの商品で、近所の子供達が常連となっているんだなと感じました。
常連さんのためにそういう売り場づくりをする、それだけで暖かいいい本屋さんだなと思います。
決して蔵書数が多いとは言えないのですが、そのほかに時代小説の文庫や、料理系の雑誌なども並んでいて、本当に地域に根付いた本屋さんなのだなという感じでした。
娘がぬり絵の本を買いたがったので、それを一冊いただいて、さりげなくこのお店はいつからやってらっしゃるんですかと伺ってみたら、もう50年ですよと。
圧巻。
この地で50年本屋を続けるということがどういうことなのか、わたしには想像もできません。
とにかくものすごいことだなということはわかります。
かなわない。
肩を並べることすらかなわないなと思います。
すごいなぁ……
こちらのお店、すごいなと思ったことがもう一つあって、それは商品がどれもとてもきれいだったこと。
美しい状態の本が美しく並べられているのって、当然のようで実はものすごく努力がいること。
返品ができる新刊本ですが、こういう小さい書店さんにとってはポンポンと返品し放題なわけではありませんし(それはもちろん大きな書店もそうなんですがレベルが違う)、入荷も思うようにはないはず。
正直うちの近所のこの規模の本屋さんに並んでいる本は、みんな日焼けしてしまっていて図書館の本よりも状態が悪く、これ定価で買う人いるのかなって思うレベルです。
いつもまっさらに新しい本を並べられるとは限らないのです。ましてや顧客に子供が多いのならなおさら汚されてしまうのは日常茶飯事でしょう。
いったいどうやって管理しているんだろう。
今回は初めて行って一冊買っただけなので、そこまでは聞けませんでしたが、何度か通っていつか聞いてみたいなと思いました。
お店を後にして、商店街をぐるりと回ってみました。
正直閉まってしまっているところも多くて、シャッター街半分というところでしたが、空いているところはテイクアウトのお寿司やさんや、八百屋さん、おじいちゃんが1人でやっている小さい和菓子屋さんなどポツポツとあって、どこも魅力的でした。
和菓子を買ってみんなで食べました。
おだんごや大福もすべていちから手作りで、おもちは米の味まで感じるし、タレやあんこも美味しくてあれはぜひまた食べたい!
うちの子たちはみたらし団子に目がないのですが、口のまわりをベトベトにしながらぺろりと一本ずつたいらげ、もっと食べたい!とせがんでいました。もうありません。手を洗ってきてください。
その後は車を停めていただいたお店にお礼を言って車に乗り、義母が前に行って素敵だったというカフェに行ってみました。
「織水」さんです。
もう外観が素敵すぎるんですが、まず目に入ったのはこちらの橋!
お店の目の前にこの橋がかかっています。
こちらは150年前から現役の東電の水路橋なんだそう。今も水を送っていて電気を作り出しているそうです。この景色は唯一無二ですね。
上から見るとこんな感じ。
水が流れて川に見えるのが橋の上です。
長女がどうしても上から見てみたいというので、けっこう歩いて高台の神社に登ってこちらの風景を見ました。
貴重な風景。
ずっと残していきたい風景だなと感じました。
織水さん、お店の中もすっごくいい雰囲気で、あちこちにドライフラワーがしつらえられていたり(何と普通にまわりに生えているものを取ってきて干したものだそう)、コロナ対策のテーブルやカウンターとの仕切りが古い飾り窓を使ったものだったりして、細部まで気を遣ってこだわっているのがよくわかる店作り。それなのにお洒落すぎず、変に堅苦しくもなく、ものすごく穏やかで素敵な空気を作り出していました。
フードもオーガニックにこだわったナチュラルなものがメイン。
マヤナッツというマヤ文明から飲まれていた、ものすごく体に良いナッツから作ったデカフェのコーヒーがあるそうで、それを使ったケーキをいただきました。
優しい味で美味しかった。
カレーもあるそうで、次回はカレーを食べてみたいと思いました。
オーナーに少しお話を聞きましたが、まず気になるこの建物。独特だったので、元は何だったのですかと尋ねると、元々は目の前の水路橋と繋がる水車小屋だったのだそうです。
どうりでこのたたずまい。
ただものじゃないと思った。
古くからずっとここにあったもの。
そういうものにしか出せない空気を作り出していました。
オーナーもずっとこの建物が気になっていたんだそうで、仕事をやめたことをきっかけに使われていなかったここを買取りカフェにしたのだそう。
内装なども全部廃材から自分で作ったとのことで、本当に驚きました。
ものすごいセンスの良さ。
居心地がよい場所には人が集まるよなぁ。
人好きのするオーナーさんの魅力も多分にありそうでした。
周辺も少しさんぽするのにとっても気持ち良い景色。
こんな看板もありましたが……
その後もう一件気になるところがあると、行ってみたのがこちらの café Natural Rhythm さん。
こちらはこんなところにカフェが!?というなかなか見つけにくい場所でしたが、残念ながら夜のみの営業のようでした。
ヤギが自由に草をはんでいました。
川沿いで景色が最高のようですよ。
都留市には都留文科大学という大学があり、学生さんも多い街。
移住者も多くてなかなか面白い店が増えてきているようです。
土日だけマルシェなどイベントやったりしているところもあって、楽しそう。
まだまだ見たいところはありましたが、最後に老舗の喫茶店バンカムさんでおすすめの珈琲豆(ケニアでした)を購入して帰りました。
帰ってから珈琲を淹れてみると、もう香りが全然違っていてすっごく美味しくてびっくり。
義母と二人でこれは美味しいねぇと感心しあってしまいました。
後味もすっきりしていて苦味と酸味もちょうど良い感じ。
ちょっとお値段はしますが、それだけのことはあるなと思いました。
うーん初めての街めちゃくちゃ楽しい!
もっともっといろんなところに行ってみたい。今度はぜひ富士吉田も散策してみたいと思いました。