Shadowverseのプロ像について考えてみた
自己紹介
もくばと申します。シャドバはダークネスエボルヴから始め、raitings for シャドウバースには第0期から参戦してました。社会人になりレートを本格的に取り組まなくなった後もrageに参加するくらいにはシャドバを続けていました。また、本記事で取り扱うプロリーグも最初期から観戦しており、特に初期は自分よりプロリーグとその振り返り配信を見てた人はあまりいないのではないかと思うほどに楽しみにしていました。
この記事で扱いたいテーマと注意点
はじめにこの記事で扱いたいテーマを記します。①「シャドバのプロ選手に求められるものって何なんだろう?」また、②「我ら一般視聴者はどこまでそれを彼らに求めていいんだろうね」って話です。この手の話題が苦手な人はブラウザバック推奨です。このテーマに関しては万人共通の正解はないと思うのと、自分の中でもまとまりきってない部分があるので、こういう考えの人もいるんだという程度に留めておいてもらいたいです(自分の考えを押し付ける意図はないです)。また、そもそも給料を払ってるわけでもないただの視聴者がプロについて何か求めたり理想像を語るのがそもそも傲慢だという主張もあるかもしれません。この点に関しては私も意見はあるのですが、本記事で述べたい本筋からずれるので、そう思われる方はもし筆者がプロだったら私ならこういうことを考えたかなという妄想を書いてると思っていただきたいです。大前提として、プロの内情を知らない私の考え方が絶対に正しいと思ってるわけでもなく(そもそも別に視聴者にどう思われてようが、チームからこのプロになら十分な給料を払っていいと思われていれば、それがそのプロの評価だという考えです)、別にプロやプロリーグを批判したり、改善を求めるような主張・意図ではないことをご理解ください。
①Shadowverseのプロに求められてるものってなんだろう?
早速本題に移ります。プロに求められてるものの参考にということでプロリーグ発足のタイミングでプロチーム側が発信していた内容を引用します。
懐かしいですね、選考当時も色々ありました。他にもチームはありますがとりあえず2チームだけにします。
大雑把にまとめると
①強くて勝てる人
②人気があり集客できる人(発信力がある人)
③ある程度の良識があり、周りに迷惑をかけない人
④+α : 各チーム特有のもの、例えば勝利の再現性(論理性?)など
でしょうか。特に①に関しては当然というか大前提と考えて良いように思います。さて、上記のようにまとめたわけですが①~④に関して私は全く異論がありません。じゃあこの記事は何が言いたいんだとなるかと思うので、これから順に話します。
まず、私がずっと気になってたことの一つで、プロの評価をする際に"練習量"とか"配信時間"といった成果以外の部分で議論してる人多すぎませんか?という話をします。誤解のないよう補足すると、ここで言う成果という言葉はプロリーグ(や公式大会)での勝利のみを指したものではありません。試合内容も含みますし、動画やサブスク等による一般プレイヤーへのアウトプット、プロリーグへの集客等のあらゆる要素をまとめて、そのプロの成果と表現しています。
なぜこんなことを話すのかと言うと、時々あのプロは寝る間も惜しんで練習していて偉い、あのプロは定期的に配信をしていて偉い等の意見を見ることがあったためです。この文章自体は別に間違ってるというわけでもないですし、言葉尻を捕らえてるといえばそうなのかもしれませんが、まれに本気でプロの評価軸に努力量みたいなのを(無意識に)適用してそうな人がいて、それはおかしいんじゃねえのと言いたかったのです。「いくら配信を頑張ってようが、視聴者を集められなければ評価はされないし、どれだけ練習頑張っててもそれを試合の内容や他の攻略記事などでアウトプットできなければ評価されないよね。また、給料を貰ってるんだから、その分の成果は出さなきゃダメだよね。」という考えを私は持っていて、以降でもこの考えのもとで話を進めていきます。一旦整理すると、この記事のテーマである①「シャドバのプロ選手に求められるものって何なんだろう?」に対しては、「成果であって努力ではない」というのが私の主張になります。
②「我ら一般視聴者はどこまでプロに求めていいんだろうか」
ここからが特に私が扱いたかったテーマになります。おそらく、この記事を読んでる方も無意識ながらそれぞれの理想のプロ像や最低限プロならこのレベルというプロ像があると思います。ここで扱いたいのは後者の最低限プロならこのレベルというプロ像の話になります。みなさんはどういう条件を思い浮かべたでしょうか、またそれらはプロリーグの歴史が積み重なる中で変わりましたでしょうか?
ところで、先ほど筆者の考えではシャドバのプロ選手に求められるものは努力ではなく成果であると述べました。また、貰ってる給料分の成果は出さないとダメとも述べました。以上の主張をよくよく整理して、現状のシャドバの状況を鑑みると次のような主張が生まれます。すなわち、
「(給料いくら貰ってるか知らんけど、)もはやプロとして最低限求められるレベルですら、成果を出すのめっちゃむずくね?」
です。筆者は基本的に(曖昧な評価ではありますが)貰ったお給料分の仕事というのが分かりやすく最低限の仕事だと考えてます。最低限というと語弊があるかもしれませんが、お給料以下の成果しか出せていないなら多少の小言を言われても仕方ないよねと考えています。さて、ここでシャドウバースプロの仕事内容について考えると、メインはプロリーグの試合だということになるかと思います。そして、このプロリーグの試合が少なすぎました。特にプロツアーに名称が変更される前のチーム戦の色が強かった時期では、個人単位で考えれば月に2回もBO1ができれば、試合数の多いプロだったのではないでしょうか。22年度以降は運営も方針を変え、対戦ルールもチーム戦から個人戦のbo3に切り替わり、試合数は劇的に増えました。我々が知りえない様々な事情が絡んで、ルール変更に踏み切ったのでしょう。さて、話を戻すと、これらの試合形式で(いくら貰ってるか知らないですが)給料に見合った成果出すの難しいよねと感じています。まず試合数が少ないプロリーグ時代は言うまでもありません。何百時間練習してようがBO1を数回やっただけでお金がもらえるだけのアピールをしろというのがかなりの難題な気がします。(もちろんスーパープレイを見せずとも視聴者を呼べるようなプロであれば、普通に試合をやってるだけで十分かと思いますが、視聴者を呼べるほどの人気を持つというのも難しいと思います。これは後述します)。完全に個人的な感覚ですが、プレイヤーの強さを議論するうえでBO3単位での長期勝率を用いる際、2.5%差があればわりと明確に1段階強さに差があると思っていて、例えば5%違うだけで2段階くらい差があると筆者は感じています。このような非常にわずかな勝率の差で争っているゲームにおいてBO1数回でなにかアピールしろというのは厳しいという気がします。ならば、試合数が増えた22年度以降はどうかというと、これはこれで難しいのはそれほど変わっていないと考えています。理由としては、①あのメンバーの中で優勝するのムズすぎ②視聴者が見る試合数はほぼ増えてないの二点です。①に関しては、言うまでもないですが、初期のプロ選手と比較しても最近のプロ選手の実力は非常に高いレベルで拮抗しており、その中で結果を出すというのが非常に困難です。いくら練習してもあのメンバーの中で安定した勝利(=成果)を出せるプレイヤーはカードゲームというゲームの性質上現れないかと思います。②に関しては、一部の熱狂的なファンを除いて、実況されてない試合を見るという人は少ないと思います。視聴者がいれば、たとえ試合に負けたとしてもプレイで魅せることができますが、現状の放送形態だと自分の試合をほとんど見せることはできないと思います。
以上、長々と書いてきましたが、プロといえどもプロリーグの試合だけで給料分の成果出すの難しそうだな。というのが外から見た私の個人的な感想です。プロの方々からすればそんなことないという意見もあるかもしれませんし、そもそも給料分の成果ってどんくらいだよというもっともな指摘もあるかと思います。何度も書いてますが、この件に関してはかなり感覚的な話で、個人的な主観かつ私がプロだったらなんとなくこういうこと考えてそうだな、くらいの話だと思っていただけると助かります。
話を続けます。プロの試合だけで成果を出すのが難しいなら配信や攻略noteで補おう、またはそれらによってファンを増やすことで自分の商品価値を高めようと考えるのが自然かと思います。しかし、これも今となってはかなりしんどいんじゃないのかなというのが私の感想です。理由はものすごくシンプルでシャドウバースというゲームに過去あった勢いが失われて行ってるからです(シャドバの勢いが失われたと書くとゲームとして失敗したかのような表現になってしまいますが、シャドバは8年続いてるゲームであり、勢いがなくなるのは当然のことと考えてます)。プロリーグ初期からプロが言われがちなことの一つに「勝てないならせめて配信頑張れよ」的なコメントがあるかと思います。プロリーグ初期だと、まだシャドバも勢いがあったので(当時は最低月30万の制度もあったし)、その指摘も分かるのですが、現状だと見る人もそんなにいないだろうし、それを求めるのも酷かなあという気持ちになっています(それこそ成果でなく努力を求めているように感じてしまいます)。また配信もですが、デッキガイド等は自分の勝率を切り売りして人気に還元してる側面もあるので、勝ちに行くことを考えた際に自分の練習成果をアウトプットする方法もなかなか難しく、試合外でプロとして成果を出すというのもなかなか大変そうだなと見ています。どうすればいいんだろうね。
ここまでの主張をまとめると①「プロに求められてるのは努力じゃなく報酬に見合った成果だよね」→②「けど、今の状況じゃ(昔と比べてますます)その成果を出すのも大変そうだよね」という主張になります。また、プロのチーム数が減ったり、給料の最低保証(30万円/月)がなくなってるのも上記の流れを表してるものだと考えています。
そして、上記の主張をもって、お前は結局なにが言いたかったのかというと、「プロも厳しい状況下なのだから、(たぶん昔より給料も下がってるだろうし)昔と同じ水準であれこれプロに望むのはもう酷なのではないか。でも、あれこれは望まないけど、プロは試合でしっかり良いプレイを見せてよね。」になります。これが言いたかっただけです。今のシャドバの勢いでプロにもう試合以外の多くを望むのは酷(なぜならリターンが少なすぎるから)で、けどプロの試合は良いものを見せてほしい。この考えに至るまでの過程を長々と書いてしまいました。プロへの条件として、前述したように強さだけでなく、発信力や人気なども当然あって、それらの総合値でプロの価値は決まると思います。そうなると、たびたび議論されがちなのが強さだけでなく人気や発信力のあるプロを採用すべきだorいやいや強ければ正義なんだから本当に強い人たちで揃えればいい等の意見がありがちです。どちらが正しいと言及するつもりはありませんが、現状試合以外の部分で価値を生み出せるプロってのもなかなかハードル高いんじゃないかなあと個人的には思ってます。もちろんそれができるプロに越したことはないんですけどね。
以下蛇足です。
暗い話で終わるな
言いたいことはほぼ全部言ったのですが、建設的な内容がない、ただ暗い話しただけと批判されそうなので、プロツアーが盛り上がるために必要なことを私なりに2個挙げてみました。
①Shadowverse: Worlds Beyond の成功
これに関しては言うまでもないですね。ほぼほぼこれで決まるのではないでしょうか。個人的には、ゲームそのものが盛り上がる→プロリーグが盛り上がるという流れであって、プロリーグが盛り上がる→ゲームそのものが盛り上がるというのはゲームが盛り上がってる前提でしか起こりえないように感じています。
②プロ選手の実力の可視化
こっちはずっと個人的に思っていた部分で、プロ選手の実力が分かりにくいというのは非常にカードゲームと相性が悪いと思っていました。ほかの対戦ゲームの大会の実況を見ることがあるのですが、その中でもカードゲームは特に観戦する難易度が高いものの一つだと感じます。環境を熟知していないとどっちが勝ってるのかも良くわからないので、ランクマをたまにやる程度では、今のプレイがどのくらい凄いのかも当然良くわかりません。友田一貴さんが早口になったからたぶん凄いことしたんだろうなっていうレベルかと思います。これではなかなか観戦しても盛り上がることは難しいかもしれません。
さて、プロが何やってるか分からないゲームの個人的代表格として将棋があります。しかし、将棋は見る将、指す将という言葉もあるくらいで、将棋をほとんど指さないのにプロの試合を見るファン(見る将)が居ます。また、見る将でなくとも視聴者の多くはプロの指した手の凄さをほぼほぼ理解することができません。まさに、よく分からんけど解説者が興奮しだしたからなんか凄いことやったんだろうな、という雰囲気で(少なくとも私は)楽しめています。これは将棋は一手の時間が長く解説が十分にされているから、とか評価値によって優劣が可視化されているからといった要素を排除したとしても、同じことが言えると思ってます(NHK杯戦とかは持ち時間も少なく、評価値もないです)。なんでよく分かってもないのに楽しめるのかというと、将棋のプロは実力が担保されているという側面が大きいように感じています。強いことが分かってるから、解説者が感嘆しながら解説すると(解説者の説明にも説得力が増して)、こっちもよく分かってないのに一緒に喜べるわけですね。これはそのままシャドバにも当てはまると思っていて、いくら友田一貴さんが叫んでいても、プロの実力がいまいちわかっていない状況だと説得力が十分でない可能性があります。やはりこのプロたちは強いんだ、という指標が必要なのではないでしょうか。また、プロリーグもしくはプロになるまでの過程でそのプレイヤーの強さが担保するものがないと視聴者がプロを舐めて、度を越えた誹謗中傷を行うようになったり、プロリーグに低レベルな実力のプレイヤーが紛れ込む可能性もあります。したがって、公式のレートを導入したらいいのではないかと個人的には強く思っています。プロを廃止するなら別にあってもなくてもいいと思うのですが、プロの強さが可視化されないというのはプロ自身も見る側もつらいのではないでしょうか。と言いつつも、もちろんレート制自体は検討したうえで実装してこなかったと思うので、サイゲームスにも色々考えがあるのでしょう。次回作はどうなるのか楽しみですね。
最後にひとつだけ
最後にこの誤解はされたくないので念のための注意書き。この記事は「プロも大変なんだから批判するのを辞めよう」という意図では、全くないことをご留意ください。「あれこれ求めるのはもう酷なんじゃないっすかね」が正しいです。プロがプレイでミスをしたら(誹謗中傷や過度なものはダメですが)批判されて仕方ないと考えています。もっと言えば文章中で「プロリーグは試合数が少ないから上手さをアピールするのが難しい」といった内容を書きましたが、逆は成り立つと思っています。すなわち、「とんでもない下手なプレイをしたら数試合でもその人の実力はある程度分かる」です。ここでいうとんでもないミスというのは、リーサルの計算ミスや時間切れなどではなく、マリガンやいわゆる大局観での致命的なミスを指します。なんでこんなことをわざわざ言うのかというと、シャドバプロリーグ初期に上記のようなとんでもないミスをしていたプロが居て、それに対して自分も言及していたことがあったからです。要はそこのスタンスが変わったわけではないよ、というところだけ最後に注意書きとして記してこの文章を閉めます。長文をお読みいただきありがとうございました。