v6プラスで早くなるとは限らない。むしろ遅い。そんな話。
自宅のインターネット環境をOCNからSo-netのv6プラスに移行してから2週間ほど経ちました。この2週間使ってみて正直ビミョーだなと感じはじめているので感想をまとめることにしました。インターネットの契約やプロバイダを変更しようとしている方の参考になればと思っています。
■ そもそもv6プラスとは(IPv6/IPoE/MAP-E)
インターネットに良い説明がたくさんあると思うので、ここではバッサリ割愛します。よく知らない方は、「IPv6とは」とか「v6プラスとは」でググって下さい。
簡単に言ってしまうと、IPv6ネットワークを使いつつ、IPv4ネットワークにも接続出来るようにするサービスです。各プロバイダがサービス提供を謳っているので、てっきり自前のサービスだと思っていましたが、実は日本ネットワークイネイブラー株式会社(JPNE)という会社のサービスです。
特徴としては、IPv6ネットワークにはそのまま通信を流しますが、IPv4ネットワークへの通信は、他のv6プラスユーザと1つのグローバルIPv4アドレスを共有するという点が挙げられます。つまりIPv4ネットワーク側から見ると、同じIPアドレスの先に自分以外のユーザもいると言うことです。
■ 複数いる=v6プラスのデメリット
ではv4ネットワークからの通信はどうやってこちらに届くのでしょうか。答えは単純。ユーザ毎に使うポートを区切ることで、通信を振り分けています。
これで困るのが80番や1723番といった特定ポートで通信をしたいケースです。何故なら振り分けられるポートは自身のIPv6アドレスから計算される為、必ずしも欲しいポートが割り当てられる訳ではないからです。
これで制約を受けるのが、80番や443番ポートを使うWebサーバやVPNのうち特定ポートを複数使用するIPSec(PPTP)接続です。IPSecを使っている私もこの点に悩みました。ただ、このようなことをしない大半のユーザにはまったく影響はありません。
それから、据え置き機を含む一部のネット対戦ゲームでは、特定ポートの開放が必要になる為、ゲームが出来なくなってしまうということもあるようです。ただしこれについては、大体のゲームには影響はないそうです。JPNEの説明にも書かれていましたが、通信出来ないサービスはほんの一握りのみとのことです。
要するに、普通の人であればまったく影響はありません。
■ v6プラスのメリット=早くなる?
プロバイダのページのしかも目立つところに、「動画がサクサク」とか「高速」とか割とよく書いてあります。何だか、早くなりそうですよね。
でもこれ、結論から言うと、半分正解、半分誤りだと思っています。
実際いくつかのサイトで測定しましたが、ヘタするとOCNのIPv4回線の方が良い値が出ました。マンションタイプなので微妙な所ですが、夜良いときでOCNが50Mbps前後に対し、So-netが20Mbps出るかどうかでした。
では、v6プラスは遅いのか。答えはノーです。
完全なる主観ですが、Fire TVでAbemaTVに繋いだときの応答は随分早くなったと感じています。OCNで頻繁に発生していた読み込み中のクルクルも、v6プラス開通後はほぼゼロです。Youtubeは・・・最近見るようになったので、比較が出来ませんが、最高画質でも詰まることはほぼないです。
一方でブラウザによる調べごとは、すこぶる遅くなりました。特にGoogle検索結果をクリックしてからのサイト表示は遅いです。初回表示でもめちゃ早い時もありますが、読み込み時間がこれまでの2倍以上掛かる時もあります。ヘタすると読み込みエラーが出ます。一瞬MVNOのLTE回線だっけ?と思うほどです。因みにこれは、WindowsもAndroidもiPadも同じでした。
おそらくIPv6ネットワークを探しに行って「あれ、ないぞ?」ってなって、IPv4ネットワークに探しに行って「あ、あったあった!」となっているパターンかと思います。ただの迷子です。(プロの方、間違っていたら教えて下さい!)
改善策としてはDNSサーバ設定をGoogleの高速なサーバ(4.4.4.4など)にするなんて方法がネットに書かれていましたが、設定の固定がめんどくさいのでまだやってません。一番の対策はパソコンのIPv6を無効化することでしょうが、それだと何故v6プラス契約したんだという話ですよね。
ただし、割と大手の動画サイトやGoogle検索自体はIPv6対応済みですので、対応済サービスのヘビーユーザにとっては、メリットが大きいと思います。
普通の検索メインのユーザには、これといったメリットはなさそうですので、高速化を目的としてv6プラスを契約するのはオススメしません。
ただ、IPv6ネットワークにサイトが増えればもちろん早くはなるはずですので、対応サーバが増えることを切に願っています。GoogleさんのSSL対応サイト優遇のようにIPv6優遇やってくれないだろうか。
■ 結論
ムダに長々と書きましたが、普通のネットを早くするという目的だけでは、v6プラスはオススメ出来ません。もちろんプロバイダや地域によってまちまちだと思いますが、高速化=v6プラスという考えは非常に危険ですので、一度深呼吸をして、よく考えてから契約をしてみて下さい。
因みにv6プラスについて詳しく知りたい方は、JPNEにv6プラスの徹底解説が全文公開で置かれています(ここ)。気になる方はこちらを読むか、本を買いましょう。
次の記事では、v6契約によって変えざるを得なかった宅外アクセス(VPN/SSH)周りの苦労話を書きたいと思います。