楽天モバイルの5G回線は固定回線の夢を見る
J:COM回線がヒドい!
つい2ヶ月前にJ:COMの回線は遅くないぞという記事を書いておきながら、急にどうしたという感じですが、先月の回線障害以降、J:COM回線が不安定で仕方がありません。
サイトが開かないなぁとかストリーミングが止まったぞと思っていたら、まったく通信が出来なくなり、J:COMのルータを再起動するまで直らない。しかも障害情報なし。まあ、再起動すればいいだけなんですが、毎週のように発生されてはさすがにイラッとするものです。
さて、この怒りを何処にぶつけてやろうかと考えていた時に、ふと楽天モバイルのことを思い出しました。
我が家は携帯大手3社がギリギリ5G(NR)か4Gかという実に微妙なエリアに位置しているのですが、なんと楽天が我が家から数100mと所に5Gの基地局を2本も立ててくれまして。しかもSub6とミリ波の両方。さすがにミリ波は難しくてもSub6さえ来てくれれば100Mbps近く出るんじゃないか?と思っており、遊b・・・実験をしてみたいと思っていたところでした。
それくらいのスピードが出てくれるのであれば、固定回線(自宅回線)なんて要らないのではないか?
そんなことを考えたが吉日、楽天モバイルを数年ぶりに再契約申請し、中古の5Gルータを漁ることとなりました。
1. 5Gルータ選び
中古の5Gルータを選ぶにあたり、ギリギリまでSpeed Wi-Fi HOME 5G L13 と Wi-Fi STATION SH-52Aのどちらにするか迷いました。
前者がいわゆるホームルータというやつで、WiMAXやau回線契約時に買うことが出来るルータです。2023年に発売した最新機種で、下りが最大4.2Gbps、5G SAも使えるなど機能が豊富なのが特徴です。
後者はDocomoが2020年に出したモバイルルータで、確かDocomo初の5G対応ルータだったと思います。下りが4.2Gbps、本体に2.5GbEのLANポートを1つ搭載しているという、相当な高機能ゲテモノルータです。当時はべらぼうに高く、欲しくても買えなかったのを覚えています。
さてこの2つですが、メルカリやヤフオクで見ると1万円から1.3万円前後と、高性能の割に買いやすい価格帯になっているのが特徴です。
ただL13に関しては、兄弟機のL12やL11もメリカリなどで多く売られており、場合によっては5,000円を切るようなものも出品されているので、それと比べると高いように感じます。
ですが結論としては、Speed Wi-Fi HOME 5G L13を購入しました。理由としては、以下の4つが挙げられます。
ホームルータの方が、電波の入りが良さそう
年中通電させておくのに、モバイルルータは怖い
4G固定が付いているので、潰しが効く
5G SAが付いているので、将来また遊べる
一部ヘンテコな理由が混ざっていますが、大真面目です。
1番目の理由については、モバイルルータに対するメリットとしてよく出てくるフレーズですね。私も同じことを考えていたので、メリットとして挙げました。果たして本当なのか?については、この後触れます。
2番目については、最近会社の上司がモバイルルータのバッテリをパンパンにして交換対応になったので、正直火事が怖いなぁと思いました。本当に自宅回線として運用する場合、夏も冬も朝も夜も電源に繋ぎっぱなしな訳ですから、リチウムバッテリを持っているモバイルルータは避けた方が良さそうだと感じました。が、しかし・・・という話も、後で触れます。
3番目と4番目は、L11やL12を選ばずL13を選んだ大きな理由です。
後述しますが、我が家は5Gが入るとは言え、少し端の方です。まったく5Gが入らないならまだしも、5Gが入ったり入らなかったりを繰り返すと、いわゆるパケ止まりが発生し、使い物にならなくなります。それだけは避けたかったので、最低限4Gでも使えるような機能が付いているのは、大切なポイントでした。
また、5G SAに関してはむしろ逆で、5G優先接続をしてくれるのではないかという期待と、今後エリアが広がって来た時に5Gのメリットをより享受出来るのはこちらだと感じたからでした。
因みにモバイルルータのSH-52Aの方はなんと、Sub6だけでなくミリ波にまで対応しているというゲテモノぶりなので、5Gのメリットという点であればこちらも負けていません。ですが、ミリ波が受信出来るかはあまりにも賭けであったので、今回は泣く泣く断念し、確実な方を選ぶことにしました。値段がもう少し落ち着いたら買うかもしれませんけどね。おもちゃとして(笑)
2. 早速使ってみるも
さて、という訳で、Speed Wi-Fi HOME 5G L13を買ってきて楽天モバイルのSIMカードを挿してみた訳ですが、結果はどうだったのでしょうか。
結果はこちら。
あれ?遅い。
因みにその30分前にpovo(4G)でテストした時の結果がこちら。
あれ?こっちの方が下りは早い。
というのも、リビングの窓側に置いたところ、電波の表示は4G。時々5Gになるものの、すぐに4Gに戻ってしまうという、典型的な5G繋がらない病を発症していました。
試しにabemaTVを再生してみると、所々で映像が止まる(グルってる)ことがチラホラと。5Gでパケットが通らず4Gに落ちてから再開する為、その間通信が止まってしまっているようです。
5Gのエリアマップの完全に中に入っていて、基地局から500m程度の距離で、アパートとはいえ木造の建物の窓際に置いているのにも関わらず、5Gが安定して入らない。これってどうなんですかね・・・。
3. トライアンドエラー
うーん、このままではよろしくない。
楽天モバイルのエリアマップを見ながらうんうん唸っていると、あることに気付きました。今ルータを置いているのは北側の窓ですが、よく見ると基地局があるのは西北西か南南西。角部屋なので西にも窓があるので、そちらに置けば良いのでは。
という訳で、移動してみると、なんと表示が5Gから動かなくなりました。速度も、上りは何故か下がってしまいましたが、下りは最初に比べれば格段に速くなりました。
さて、これにてめでたしめでたし!
って、ここはどこ!?
なんと、西の窓のカーテンレールの上です。しかもこの位置 かつ この角度のみ5Gが入るという鬼畜仕様・・・。確かにこの方角より少しずれるとマンションがジャマをするので理解はしますが、本当にまっすぐ基地局の方を向いていないと5G取れないとか、どれだけ判定シビアなんでしょうね。
因みにここまでの流れ、あっさり場所が決まったように見えるでしょう。ですが、これがめちゃくちゃ大変でした。
ここで思い出して欲しいのが、L13を購入した理由の2番目です。この機種はホームルータなので、バッテリは入っていません。つまりは場所を移動させる度にコンセントを抜く必要があります。
これ完全に盲点だったのですが、モバイル回線を使用するルータを使うにあたり、必ず必要となるのが、電波の入りが良い場所を探すという行為です。
スマホやモバイルルータであれば、移動しながらアンテナの表示を見て、よさげな所にしばらく放置ということが出来ます。ですがホームルータはよさげな場所を見つけてからコンセントを引っ張ってきて、電源を入れて、少し待ってからブラウザでアクセスしないと、詳細な電波の入り具合が見れません!
そういう意味では、ホームルータって仕組み自体が欠陥かもしれません。基地局まで100m以内なんて恵まれた方は大丈夫でしょうが、それ以外の方は、モバイルルータを買った方が良いかもしれません。
4. 5G回線は固定回線の夢を見る
このあとしばらく様子を見ましたが、4Gに落ちることなく安定して5Gを受信出来るようになったようです。
そこで次は、固定回線の代わりとなり得るかというお話になります。
ここでは使用感について、触れていきたいと思います。以下4つについて試してみましたので、それぞれについて書いて行きます。
スマホ・PCでのブラウジング
スマホ・PCでのYoutube再生
48インチ 4KテレビでのAbemaTV視聴
PCでの大容量データダウンロード
まずブラウジング、普通にネットの記事を読んだりサイトにアクセスしたりという作業ですが、ほぼ遜色ない使用感でした。固定回線より一瞬引っかかる感じがしなくもないですが、使用感に支障はありませんでした。
次にYoutubeの再生ですが、こちらもそれほど気にはなりませんでした。4Gで20Mbps程度しか出なかった時は、動画の開始時やシークバーを動かした際の待ち時間(バッファリング)が少しあったのですが、5Gでコンスタントに50Mbps程度出るようになってからは、そういった引っかかりは感じなくなりました。これは720pも1080pいずれも大丈夫です。
通信状況を見ていると、動画再生時の初回に20-40Mbpsの通信を1秒程度して、そこからしばらく経ってまた同じような通信をして、という瞬発力で通信をしているので、5Gでも充分耐えられるようです。
続いて4KテレビのAbemaTV視聴ですが、使い物にはなるレベルだと感じました。4Gでは初回の待ち時間(グルってる/バッファリング)で40~50秒程度待たされるのでしんどかったのですが、5Gになってからは数秒から10秒程度済むようになりました。1~2秒で表示される固定回線ほどではないですが、実用に足るレベルではあると思います。
そして最後に、PCでのデータダウンロードと言うことですが、ここが問題です。ここではVRChatの初回起動時の動きの話をしますが、大体500MBから1GB程度のプログラムをダウンロードする場面だとお考え下さい。
仮に50Mbps出ると仮定して、MB換算にすると、ざっと6.25MB/sとなります。これで1,024MB(1GB)のデータをダウンロードすると、約3分掛かることになります。実際はもう少し揺らぎがありますので、実質4~5分は掛かる事になります。もちろんこれでも充分速いですが、フレッツやJ:COMの固定回線と比べたらというと、私は相当遅く感じてしまいました。
では固定回線はどうかという話ですが、先にJ:COM(1Gプラン)のスピードテストの結果をお伝えします。
はい、解散!
という訳で、J:COM(1Gプラン)はなんと、25秒掛からずにダウンロードが終わる計算です。
ここで投げやりになりたくなる気持ちを抑えて、もう1点だけ触れておきたいと思います。
自宅回線運用で大事なポイントとして、外部アクセスの可否があります。(私だけかもしれませんが)
前回の記事でJ:COM回線は外部アクセスが難しいというお話を書きましたが、フレッツやauひかりなどは原則として、外部からのアクセスが可能です。
では、今回の楽天モバイルはどうでしょうか。
少なくとも、私の契約した『Rakuten最強プラン』では不可です。J:COMと同様、楽天モバイル内で域内ネットワークが組まれており、10.x.x.x形式のプライベートアドレスが割り当てられていました。同時にIPv6アドレスも割り当てされていますが、こちらもプライベートアドレスのようです。
外部から見るとIPv4のみ割り当てられていましたが、複数人での共有でしょう。外部用のIPv6も割り当てられていないようです。もちろんOpenVPNなどを用いた外部アクセスは不可能でした。
ただし、これはネットの情報でしかありませんが、『Rakuten Turbo』でのホームルータ専用プランはグローバルアドレスが付与されるようですので、これで契約した場合はアクセス可能かもしれません。
また、他キャリアの5G回線は調べていないため、ここでは言及は避けたいと思います。少なくとも楽天モバイルのスマホ用のプランでは外部アクセスが不可なので、こちらの点でもフレッツなどからは劣ると言えるでしょう。(J:COMの話はもう諦めました・・・)
5. まとめ
という訳で、固定回線(J:COM 1Gプラン)の圧倒的な速度差を見せられてしまったので、わざわざ固定回線を5G回線に切り替えるメリットはないと言うのが、私なりの今回の結論となります。
特に注意が必要なのは、5G基地局が近かろうが、建物の中では速度は『たかが知れている』と言うことです。世に出ているスピードテストの多くが基地局のすぐ近く かつ 屋外ということを割り引いてはいるつもりでしたが、それでもこの程度しか出ないというのは、正直残念な結果だと思います。
固定回線が引けない物件だったり、引っ越しが多い人、動画やスマホゲームのみでPCは特に使わないような方であれば5G回線でも充分ですが、値段的なメリットもそれほどないので、固定回線が引ける人は素直に引くことをオススメします。J:COMで通信障害が多くても、勢いに任せて解約するのではなく、諦めてサブ回線を用意するか携帯回線で通信しましょう。
という、何とも身も蓋もない結果に終わりましたが、この結果に割と満足はしています。
5Gの基地局の近くに意図的に引っ越すなんてのは至難の業ですから、より多くの方が速度を享受出来る固定回線の方が速くて良かったです。今の時代、LANについては(普及した方法では)Wi-Fiの方が速くなってしまいましたので、少し心配していましたが、安心しました。
となるとやはり、引っ越しの際はフレッツ導入物件かJ:COM導入物件かというのが重要な要素になりそうです。引っ越してから考えればいいやと思っている方もいると思いますが、引っ越してからではどうにもならないこともありますので、是非、引っ越し前に『どこの』インターネット回線が引かれているのか、確認してみて下さい。
6. おまけ
Speed Wi-Fi HOME 5G L13ですが、ユーザが少なく、ネットの情報も少ないのですが、面白そうな機能があるので、しばらく様子見で並行運用してみたいと思います。気が向いたら今回の話に絡めた機能説明も出来たらいいなと思いつつ、長くなってしまったので、今回はこの辺で失礼します。