猫
猫が好きなんだ
たまらなく好きなんだ
細くなったり丸になったりする瞳孔
太陽の光に照らされて、あたたまったふわふわの毛
座るとはみでるお腹のお肉
小豆色の肉球
どんな部分も、誰がなんと言おうと全てチャームポイントである
愛おしい
彼らはご飯の時だけ仲間になってせびってきたりするけど、普段はいつも独り
海の見える、眺めのいい高台で大あくびしながら寝ているあの子
一匹、広い空の下を我が物顔で堪能している
逃げて遠ざけたり、急に近づいてきたり
寝ていたかと思えばむくりと起きて何処か薄暗い路地に消えていく
きっと旅の途中なのだ、あの子も
たった1匹、自由気ままにいく
たまにはその猫背の背中をくっつけて、もたれかかってきてほしいよ
ご飯を食べて、お散歩して、お昼寝する
そうして小さな旅人は今日も、にんげんたちが気づかない豊かさに出会っていく
海風そよぐ街
高台にある石段の上でひっそり佇むあの子は
この街の春の訪れを
1番最初に知るだろうか
ところでね
猫みたいな君が好きだよ
別にもふもふ毛が生えてるわけじゃないし、円な瞳をしているわけじゃないし、可愛い声で鳴くわけじゃないけれど
君について行った先には
何かきっと小さな特別があると思う
そう思わせてくれるところが猫みたい
誰もが通り過ぎるところで立ち止まれる
見つけたそれに縛られることもなく、また歩き出せる
何はともあれ、君の生き方が、世界観が
私は好きだと思う
ちょっと猫背な背中くっつけながら寝たい
太陽の下でごろごろしたい
もう気づけばほんとうに猫みたいになって
誰も知らないとっておきの場所で
たった2匹で夕日が沈むのを眺めたりしたい
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