性依存と内服治療
※ここで記されている内容は個人の見解であり一切医学的に実証されている内容ではありません。
治療に当たっては必ず近くの医師と相談の上、進める事を推奨します。
タバコやアルコールに関してはある程度有害性が認知され
その治療方法も確立しつつある。
現に禁煙外来や、アルコール依存治療を実践するクリニック
病院は探せば割合簡単に見つかる様に思う。
またタバコ、アルコールには補助薬も存在する。
タバコの代わりにニコチンを摂取できる
ニコチンガムやニコチンパッチ
またバレニクリン(商品名チャンピックス®)といった
実際に禁煙率を高める事が証明されている薬剤もある。
またアルコールに関しても同様で
ジスルフィラム(ノックビン®)、シアナミド(シアナマイド®)や
アカンプロサート(レグテクト®)、ナルメフェン(セリンクロ®)の
4剤が本邦で利用できる。
ここら辺の薬剤は調べればすぐに厚生労働省のページから見る事が出来る。
禁煙薬:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-06-006.html
禁酒薬:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-05-005.html
が、一方で性依存についての内服治療というのは私が知っている限りない。
少なくとも保険適応されている様な内服治療は聞いたことがない。
(もしかしたら知らないだけであるのかもしれないけど)
タバコやアルコールの類の物質依存と異なり、性依存やギャンブル依存は
行動そのものの依存であるので、確かに内服といったアプローチは
難しいのかもしれない。
とはいえ、上記で挙げたバレニクリンやアカンプロサートといった薬剤は
脳内のホルモン受容体に作用する事によって、実際にタバコやアルコールを
摂取した時と同じような作用をもたらす、ないしは欲求を軽減させる作用をもつ。
その作用を通して、実際のタバコ、及びアルコールの摂取量を減らす効果が
見込める様である。
であれば同じ理屈で脳内の快楽中枢に働きかける様な薬剤があれば
行動依存も抑制できるのではないか?
という理屈で幾つか性依存治療に使えそうな薬剤をピックアップしてみた。
ただ以下に記す内容は全く正規の医療行為ではないので
参考までにきいてほしい。もし興味があれば最寄りの精神科で
相談頂くのが確実と思われる。
➀抗うつ薬(SSRI)
特にパロキセチンは性機能障害が起こりやすいとされる。
そもそもの薬効としては脳内で不足したセロトニン濃度を上げる事で
抗うつ作用が得られるというものだがそのセロトニンが性的欲求を
減少させる事に働くようだ。またセロトニンはそれ自体がドーパミン遊離
を減少させ、ドーパミンの減少もまた性欲を抑制する。
また一酸化窒素合成酵素を阻害する作用も持ち、これは陰茎の勃起に
関わる為、勃起障害も引き起こされる。
などなどがあるが、ただいくら何でもその作用を期待して
パロキセチンを内服するのはあまりにリスキーである。
そもそも、セロトニンが不必要に増加すれば
かえって躁状態にもなりかねないし、不眠や下痢などの
副作用も生じうる。
またドーパミン不足は、認知機能の低下や感情の低下といった
厄介な副作用も起こす。
流石にそれらの副作用は許容できない。そもそも抗精神病薬の類は
(ここでは抗うつ薬、抗てんかん薬も含む)
まず健常人には飲ませてはいけないものである。
風邪薬や胃薬を間違って飲んだところで大した事は起こらないが
これらの薬は健常人が飲んだら何が起こるがわかったもんじゃない。
よってこれは却下である。
②ピル(エストロゲン・プロゲステロン剤)
2つ目の候補薬はピルである。
商品名で言えば、ヤーズ®やフリウェル®などが該当する。
衝動的な性欲はテストステロンによって司られると言われているが
エストロゲンはテストステロンに拮抗するホルモンである。
エストロゲンもテストステロンも元は同じステロイドから
作られるものなので、エストロゲンが増加すれば
テストステロンの産生も自ずと抑制される。
またプロゲステロンの増加はエストロゲンと共に性腺刺激ホルモンの
分泌を減少させる為、同じく最終的にテストステロンの減少に働く。
要するにホルモンバランスをより女性のそれに近づけるというものだが
どうも厄介な事にエストロゲン自体も性欲に関わるようで、この方法が
上手くいくかは不明である。
またピルそれ自体は抗うつ薬に比べれば副作用はマイルドと思われるが
血栓ができやすくなるという致命的な副作用がある為
(それでも多くの場合問題にならないが)
やはり漫然と飲みたい代物ではない。
そもそもピルを男が飲んだらどうなるのか全くの不明である。
恐らく前例は皆無である。
ただ女性に比べると元々のエストロゲン量自体は少ない為
あまり血栓症といった副作用のリスクは少ないのかもしれないが
大前提として女性の月経に合わせて作られたものなので
男性が同じように用いられるかはちょっと不透明な部分である。
ちなみに私自身以前、ピルの効果を期待して
エストロゲンと似たような作用があるとされる
大豆イソフラボンを熱心に内服していた時期があったが
効果は全く実感としてなかった事を覚えている。
効果は期待できるかもしれないがこちらはひとまず保留である。
③抗アンドロゲン薬
②の理屈を発展させたのが、この③である。
要するにエストロゲンをどうのこうの言わずに
さっさとテストステロンを抑えれば良いのである。
幸い、現代医療には正にその用途で作られた薬剤が存在する。
前立腺がん(または前立腺肥大症)の治療に使われるシロモノである。
がんに使う薬というとギョッとするかもしれないが恐らく副作用は
今まで挙げた薬剤の中で最もマイルドである。
前立腺がんは男性ホルモンの働きで増殖が早まる事が知られている。
そのホルモンを抑えるだけで、一般的な細胞障害性がある
抗がん剤とは趣が異なる。
クロルマジノンやアリルエストレノールに代表される
抗アンドロゲン薬は、テストステロン受容体を阻害する働きの他に
テストステロンの分泌抑制といった作用で、徹底的にテストステロンの
働きを抑える。
副作用と言えば、要するにテストステロンがなくなるといったもので
男らしさがなくなるといった特徴になる。
より女性的になると言っても変わりはない。
筋力がなくなり、脂肪がつきやすくなり、ムダ毛が薄くなる一方で
頭の禿げには抑制的に働く。
また稀にではあるが、テストステロンの働きとは別に
肝機能障害を来たす事がある点は注意が必要である。
イメージとしては植物系男子になる様なものに近いと思っている。
これならば試しに飲んでみようというものである。
(と私は思った。)
もちろん保険適応などあるはずもなく
(実際に前立腺肥大症などがあれば別)
個人輸入等で手に入れるしかない。
飲むことで何か影響は残らないかという点が懸念されるが
ピルも含め、ホルモン剤は一般的に内服を止めれば速やかに
その作用が消失し元に戻るとされる。
つまり飲んでいる間はテストステロンは減少しているが
飲むのを止めたら元に戻るという事である。
性欲もそうしたら元の木阿弥なんじゃないかと
なるかもしれないが、多分そうはならないんじゃないかと思う。
曲がりなりにも私自身は内服も何もせず
禁欲を全う出来た期間がかつてあった。
恐らく共感を得られると思うが、禁欲するにあたって
最も困難な時期はやり始めの1週間から1か月前後である様に思う。
その時期を乗り越える事が出来れば、後は同じことを続けていくだけである
きっとその頃には薬の助けもいらなくなるだろう。
それが理想である。
以前教えてもらった精神科の医師には
抗うつ薬はそれ自体がうつを治す力はない。
結局はゆっくり休む事や環境を整える事が一番大事なんだけど
その背中を押してくれるのが薬の力なんだと教わった。
依存症も同じだと思う。
私達は個人の理性や努力、そういったものに最初は頼ってきたと思うが
多くの場合それのみでは越えられない壁があった様に思う。
それならばせめて背中を押してくれる何かがあれば少し違った未来が
見えて来るんじゃないかと思っている。
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