美しいもの。
「妻」とのメールのやりとり、というか、「妻」からのメールがあって、なんだかつらくなって部屋を出た。
「美しいもの、美しいもの、美しいものに触れたい!」、強くそう思い、神戸での映画「ぼくのお日さま」の夕方の回に向かおうとしたが、クルマを数百m走らせたところで力尽き――やっぱり南、街に向かって走るのはしんどいのかな――、Uターンして北上。一度行きたいと思っていた「杉原紙の里」というところに向かった。
ここは先日『紫式部が愛した紙』という本で知った場所。
兵庫県多可郡多可町杉原は古くから上質の和紙を生産していた場所で、藤原家にも献上していたという。その藤原家の者が宮中で使われる紙を見て、「宮中では質の悪い紙を使っている…。」と言ったそうだから、藤原家の力と、そして杉原(椙原)紙の質の良さが窺えるというものである。
だから、道長のお抱えで『源氏物語』を書いた紫式部は、この紙を与えられ、『源氏物語』をものしたのではないかというのがこの本の主張。
そう考えると、ドラマ「光る君へ」で、道長が、まひろ(紫式部)にとって想い出のある越前の紙の束を持って彼女の元を訪ねた印象的なあの場面は、脚本家・大石静の力量だと思う。そして、果たして事実はどちらであったのだろうか?
以下、杉原紙の里を含め、道中の様子を写真で。