『檀流クッキング』。 15 こじかの蒙古斑 2024年8月14日 18:48 何が良いって、その口調が頗る良い。さすが最後の無頼派。惚れ惚れする文体である。 「柳川鍋をつくる時はなるべく土鍋が欲しいが、無かったらスキヤキ鍋ででも代用して、何としてでもつくってみるのが一番大切だ。」 幼い頃に母が家出をし、父は料理を作れず、小学校に上がる前の妹が三人いたことからやむなく料理を始めた経緯があり、爾来五十年間厨(くりや)に立ち続ける檀。加えて、「この地上で、私は買い出しほど、好きな仕事はない。」「日本中はおろか、ひょっとしたら世界中の市場を買い漁ってまわっているようなものかもわからない。」と言うほどで、世界各国の家庭料理に精通している。季節を追って、全編九十二種の料理が紹介されるが、その料理はまさに素材の旬を感じさせ、それぞれの季節が生き生きと薫り立つようである。 娘・ふみのエッセイから、私たちは彼が良い父親であることを良く知っている。彼の料理を囲む家族の笑顔が手に取るようである。檀一雄『檀流クッキング』(中公文庫)を読んで。知人に頼まれた400字読書感想文。まだちょっと書きかけで、まだちょっと読みかけだけど。 ダウンロード copy 15