6195ホープのMSワラントに夢や希望はあるのか?
みなさんこんにちは。MSワラント銘柄突撃大好きの「もこもこ」です。普段はTwitterで情報発信させて頂いています。
Twitter ⇒ mokorpho3653
今日は5月1日。コロナ禍の中、GWに突入しました。そして、株式市場では大口客の契約不更新ニュースで、株価が逆テンバガーになりかねない、【4488AIinside】が一番注目を浴びているなかで、4/30引け後に
新電力事業で大赤字&債務超過でヤバイ!
6195ホープがなんとファイナンスを発表しました!
4/23に3Q決算と債務超過懸念が報じられましたが、赤字額が大きくかなりの額の資金が必要となるため、ここでホープがファイナンスを行うにしても、かなり厳しいスキームになるのと
時間的猶予もないので、このまま倒れるのか、はてまたウルトラCが起こるのか、どうなるのだろうと?筆者は注目しておりました。
4/23からわずか1週間でファイナンスを発表してくるとは、ホープの社長、なかなかやるなぁというのがまずは、正直なところです。
そのスキームの中身はというと・・・・
他のMSワラントのケースと比較すると
今回のホープのスキームは
厳しい。かなり厳しい内容です。
①ホープの今の状況(3Q)
4/23に3Qの決算と通期見通しが発表されました。
3Q売上高180.7億円、営業損失▲72.7億円
通期予想売上高280.6億円、営業損失▲50.3-59.1億円
ホープのメイン事業である自治体向け新電力事業において、電力調達額が莫大に膨れ、不足インバランス料金65億円の支払が必要になりました。
特例措置により分割払いが承認されたため、今年4月から12月まで毎月7億円ほど支払うことになります。
この不足インバランス料金はBS上は買掛金、つまり負債となるため3Q時点での債務超過は約45億円。
4Qの利益を加味したとしても、期末時点で最大で31億円超の債務超過になる可能性があると報じています。
期末時点で債務超過になったからといって、すぐ上場廃止にはなるわけではなく、猶予期間(1年)が設けられています。
ただし、金融機関の融資の即時返済(期限の利益の喪失)や、ホープの場合、自治体向けの仕事は入札で取りにいくので、入札資格の喪失という影響が出てくるのかもしれません。
②ファイナンスその1:第三者割当
今回のファイナンスは二本立てです
ひとつは第三者割当増資で、割当先は
チェンジ福留社長が3億円(元々の金主は東証1部社長らしいですが)
ベガコーポレーション浮城社長に1億
ホープ時津社長が1億円で合計5億円
ホープ時津社長とチェンジ福留社長は同じ自治体向けビジネスを手がけてるということで面識があり、今回ホープのピンチについて出資の賛同が得られました。
ベガCの浮城社長は時津社長と同郷で浮城社長のほうから支援を申し出たということのようです。
また再建をコミットするために時津社長自身も出資に加わることで合計5億円の第三者割当増資が実現しました。
この3方への増資については今後儲かる儲からないの話はともかく、基本的には短期でマーケットに放出されるおそれがないため、希薄化はされますが、そこまで過度に考えなくても良さそうです。
特にチェンジ福留社長(裏には金主の東証1部企業が居る)と資本のつながりが出来たということは、今後再建についての支援等、思惑も生まれてくるかもしれません。
第三者割当ができたことは喜ばしいことですが、金額は5億円。目標金額には程遠いレベルで、そこで本題のファイナンスが出てきます。
③ファイナンスその2:MSワラントボンドmix
MSワラント330万4500株 割当先はマッコーリーバンク(MB)
当初行使1345円換算で44.5億円。
下限行使価格は50%の673円。
2つのファイナンスを合算すると希薄化は59.78%
MSワラントのメリットのひとつとして、一気に新株がマーケットに流れないようにコントロールできる事なのですが、裏返せばワラント消化に時間を要するということであり
資金状況が切羽詰ったホープにとって、実はMSワラントの手法は適さないです。
行使できない場合は確実に資金ショートが待っています。
今回の資金需要は決済資金のため、行使できない、失敗では済まされません。それを防ぐために保険として社債(ボンド)を組み込んでいます。
無担保社債3億円、条件を満たせば3億×4回追加発行可(合計15億円)※条件は色々あるが、ポイントは下限140%(943円)を上回ること
CBでもない、MSCBでもない、ちょっと複雑なスキームですね。
MSワラントといえば、空売りで株価を下げまくるというイメージがついていますが、今回の場合
MBが引受する3億円の社債が「質種」になっています
MBは90%で行使できるため株価が上がろうが下がろうが下限行使価格以上であれば権利行使で利ざやを稼げます。
ホープ側も早急に資金を得なければいけないため、早いところワラントを、なるべく高値で消化させて欲しいと考えています。かといって時間が掛かり過ぎると時間切れになってしまいます。
社債を「質種」に取ることで、むやみな空売りをしないよう、けん制するのと、社債=現金で時間稼ぎが出来るという一石二鳥のプランになっています。(もっともこれはMBが提案したプランなんでしょうけど)
空売りして株価が下げ、権利行使が出来なくなったら待っているのは倒産。社債は当然デフォルトになります。
細かく計算してませんが、MSCBと違い株数が固定になっているため、MBとしてはデフォルトリスクを抱えてまで空売りの利益を取りにいくか?と考えるとちょっと割に合わないような感じもします。
④このファイナンス、どうなる?
実際、このMSワラントでどの程度資金調達が出来るか考えてみると、全て下限で行使されたとすると約22億円です。②の三者割と合算すると27億円、当面は三者割当5億円+社債でなんとか12月まで乗り切るとの計算でしょうか。ワラントが消化できれば債務超過は、なんとか脱出できるかもしれません。
6月締めの決算は残念ながら債務超過濃厚でしょう。(6月末までにワラントが全部消化される事は現実味に薄く、それなら時間稼ぎの社債を導入する意味がない)
なので、債務超過で猶予入りはもう計算に入れており、まずは倒産&上場廃止を回避しつつ65億円を支払うことが最優先のミッションだと思われます。
⑤ホープに希望はあるのか?
今回のMSワラントのスキームは、細かい条件が付いており、なおかつ結構シビアです。下限の673円ではなく、社債発行ラインの943円を割り込んでくると、資金ショートの影が近づいてきそうです。
6割近くの希薄化を生じ、様々な制限・条件がありますが、これを成功させなければ倒産しかないので、ロゼッタばりのIR芸でもなんでも成功させるしかありません。
では希望が全くないのか?というと
今回の場合、電力調達コストが一時的ながら想定外のレベルになったのが全ての理由であり、自治体向け新電力ビジネスそのものが破たんしたという事ではないと思われます。
もちろん、入札に支障が出たり、ヘッジを掛けることにより利益が縮小される可能性があるため、今後の動向には注目が必要ですが、
2020/2021の売上はYoYで+126%。今年の3Qの落札数は426(前年337)と増えていることから、今後の落札数がどうなるかはわかりませんが、足元は調達コストさえ安定していれば、まずまずは稼げるビジネスなのではないでしょうか。
⑥それで結局どうなるのだ?
・チェンジ福留社長が第三者割当を受けたことは思惑につながるかもしれない。
・マッコーリーのMSワラントは社債が関係する以上、空売りしまくると自分の首を絞めること(デフォルトリスクが高まること)になる。
・ただし他のMSワラントと比較すると、下限50%水準でかなり緩い(需給悪化)スキーム
・新電力ビジネスが破たんしたわけではないが、ヘッジを掛けるようになると、今までのようにバカスカ稼げるかどうかはわからない
・年間落札件数は142⇒580⇒804+α(今期900-1000件?)と件数は増えている。
・なので株価的には6割弱の希薄化は需給面、かなりの重しになるが、この危機を乗り越えればひょっとして・・・の期待は一応ありそう。
・6月末の債務超過は避けられない感じで、倒産(資金ショート)リスクは依然高い。MSワラントによる既存投資家の投げ売りや地合い悪化による株価低迷を引き起こしてしまうと、ゲームオーバーに。
・資金用途が多額の運転資金なので、これといった株価を押し上げる材料は見当たりません。可能性があるとすればM&Aなどの思惑といったところでしょうか。
⑦まとめ
株価動向&ワラントの行使動向の見極めは必要であるが、自治体向け電力市場が1兆円でまだ伸びる余地があると考えると
落札動向・決算数値・ワラント行使状況を見ながら倒産回避が確認できたタイミングでINするのは悪くないと判断します。
通常、MSワラント含め増資は嫌気されて時には暴落を引き起こすが
例外として、①資本業務提携の思惑・②倒産回避がイメージされる場合は株価が上がるケースもあるため、今回のケースではどちらも確固たる状況ではありませんが
3Q決算発表時点でファイナンスが実施されることが想定済みであることを考えると、目先の動きとして、このファイナンスが評価されても良さそうではあります。