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今後どうなる海運業界?

みなさま、こんにちは。「もこもこ」です。
普段はTwitterで株式投資に関する情報発信をさせて頂いております。

Twitter ⇒ mokorpho3653(モコルフォ)

先日ですが
世界の海運トップ2である
2M(Maersk・MSC)のアライアンス解消の
ニュースがありました。

私は普段
海運株への投資は行っておりませんが
仕事柄海運会社との取引があり
コロナ禍以降
バカ高くなってしまった運賃や
基本的に延着してしまうスケジューリング
コンテナ不足etc.

今回のニュース含め
動向について海外部署担当に尋ねたところ
ちょうどこのタイミングで
海運関係の会社から定期情報が入ったということで
送ってもらいました。

その内容は結構興味深いもので
今回参考になればと思いまして
かいつまんでこちらで紹介させていただきます

内容についてはガチで業界に詳しい方は
そんなのもう知ってるよ!レベルのものかと
思われるので
詳しい方はここいらで。
またのご来訪お待ちしております

なおかなりの長文です
あらかじめご了承願います
情報元は某上場運輸企業からです

↓ここから
序:北米西岸港労使協約について

北米西岸港労使協約は1月中旬に入るも
大きな話題もなく
北米西岸港のコンテナ船荷役は
スムーズに行われており
昨週末の沖待ち数は全10隻と通常の稼働です。
過去には2月20日に協約が暫定合意されてますので
2月に入れば何らかの動きがあるのではないかと
思っているところです。

このところ急激に海上運賃が低下したりと
昨年とは全く異なる動きとなってきた
最近のコンテナ船社物流事情について
触れたいと思います。

①不動稼働船

現在コンテナ船社は運賃市況の急激な軟化から
物量・収益低下航路のサービスを取りやめ
コンテナ船をドライドック入りさせ始めている
その数全世界で250隻を超えたと言う。
(140万TEU分:積載能力では前年同期の2・6倍)
※1TEU=20Fコンテナ1本

ドック入りと船会社は公表してますが
別の見方をすれば完全な「コールドレイアップ」に等しいと考えます。

【コールドレイアップとは:輸送能力の調整手段の一つで乗務員を船からおろし、船の稼働を完全止め、船隊規模を縮小し、コスト削減を図り収益改善を狙うことの手段】

昨年同時期では
12,500TEU以上のメガコンテナ船のドック入りは
4隻➡今年は37隻

7,500TEU~12,500TEUの中型船においては
13隻➡今年は35隻

供給量緩和の取り組みとして
23年より運航面でも欠便や減速運航などによる
供給量緩和の取組みに努めている。

2023年1月中旬現在では
不稼働コンテナ船は260隻
約144万TEUの輸送能力に相当する物量を
止めている計算となります。

昨年の同時期ではコンテナ不足・スペース不足の
状態であったために
各船社傭船、新造船の投入など
とにかく輸送能力を上げることに注力していたが
あれから1年経って
供給量をコントロールすることになるとは。

ロシアのウクライナ進攻
中国のコロナ対策
為替動向
世界中での作業員不足などの
数々の要因はありますが
現時点ではスペースが余っている事は事実。

②MaerskLineの対応

2Mアライアンス(Maersk・MSC)は23年3月にも太平洋横断航路に3隻を追加すると発表したが
弱まる需要から船の速度を落としての対応で
対処する見込みであるが
23年中には新たな課題が発生するだろうと
警告している。

※補足:新たな課題=アライアンス解消に繋がった?

インフレ率の上昇と消費者の買い控えによって
需要の見通しは鈍化するとMaersk Lineは見ている
需要と供給はアンバランスに対応するには
輸送能力の最適化と管理が必要と述べている
需要と供給をマッチさせ、燃料消費量を削減し
ネットワークを最適化するとことで対応は可能と
前向きではある。

船舶過剰の要因の一つはやはり
新造船の就航であり、この先2年間で約660万TEU、現在就航している全船舶のほぼ30%に相当する
新造船が就航する予定です。

減速運航する事でのデメリットは
基本的には港から港までのリードタイムが
長くなりますが、考えを変えれば
スケジュールの定時順守率は
かなりの確率で上がりますので
荷主、サプライチェーン、港湾物流会社としても
スケジュールの見通しが立ち
そのあたりはメリットになるのではと考えます。

③この先の海上運賃はどうなるのか?価格は底値なのか?

アジア発欧州、北米向けのコンテナ運賃は
急激な軟化傾向から一段落し
底値感が鮮明となっていきていると言える。

ただし、中国の旧正月前の駆け込みは
欧州、北米の主要航路でも低調で
コロナ対策緩和及び旧正月明けの現地中国での
工場生産稼働がどのように進んで行くかが
注目されるが、アジア主要国、欧州、北米地域の
ドライ倉庫、冷蔵、冷凍倉庫は引き続き庫服率が
高く、これから先も荷主の購買力は弱いのでは
ないかとの見方が強い。
2月は各船社船腹削減対策が寄与するため
運賃の下げ止まり感は鮮明かと。

高額になったS/Cの運賃水準もここに来て下がることになるが、コロナ以前の水準を下回るかが注目されるところである。
S/C:サービスコントラクト
→積荷保証による割引運賃

スポット運賃比較(40Fコンテナ運賃)
2021年9月→2023年1月

上海―欧州主要港 
US$18,000➡ US$1,900
上海-LA/LB    
US$12,000➡US$1,900
上海―NY      
US$15,000➡US$3,800

欧州主要港発→上海向けは大きく下落して
現在はUS$ 800が相場
LA/LB→上海も下落してUS$1,100
ターミナルハンドリングチャージ並みである

④船会社が抱えるもう一つの問題とは

船会社は運賃低下問題以外に
コンテナ余剰問題を抱えています。
船社が現在使用している50%以上は
リースコンテナでありそのリース期間は長期契約となり満期までは返却することが出来ません。
リース会社が確保している北米デポの
コンテナ蔵置規模は10年前と
ほとんど変わってなく
一方船会社はコロナパンデミックから
リース量を増したことから
2倍のコンテナを保有している状態となっている。

最近ではリース切れの返却コンテナを
北米デポで受ける事は不可能で
各主要港のオフドック事情は悪化する一方
※オフドック:積揚港から離れた場所にコンテナヤード(集積地)を設けること
ターミナル近郊の市街地が港にせまっており
コンテナ修理などを行う施設も
内陸に移動するなど
効率も悪くなって来ているのが現状です。

北米で430万TEUが余剰・滞留していた問題は
北米主要港での混雑が緩和され
コンテナの空回送がスムーズに行われた結果
中国にシフトが完了
現在では中国の主要港でコンテナ蔵置場所問題が
発生しています。
中国といえども主要港のオフドックにも
限界があり、一方、中国旧正月前の駆け込み輸出も空振りで船会社は欠便で対応していますが
その中でゼロコロナ政策の突然の中止が
港湾荷役に混乱、遅れを引き起こし
到着した船の荷役が1か月近く待たされる
滞船問題が発生し始めています。
(中国では米西岸港のようにならないことを願います。もしなった場合はアジア間貿易にも多大な影響が出てしまいます。国の運営から欧州や北米のように労働者がストを起こすことはないと考えるが、ゼロコロナ政策の時のように白紙運動など習近平政権への不満がつのる事が予想され、中国沖でのコンテナ滞船問題は北米のそれより経済的影響が大きいと考えます)

その結果もあり、船会社はその解消のために
欧州航路の復航便の一部をスエズ運河航路から
南アフリカ喜望峰経由に変更して
空コンテナ戻しに時間をかけて中国の滞船問題
コンテナ蔵置問題解決策の一つとしています。
コンテナ蔵置問題は
現在日本にも影響が出始めていて
中国は距離の近い日本を
空コンテナ蔵置国として対応し始めているのが
実情です。

2022年は過去10年で
3番目に多い新造コンテナ製造の年となりました、2023年のスタートは中国での鋼材価格低下から
安価で製造が可能との事ですが
リース会社及び各船社は様子見状態のようです。

⑤邦船3社は好業績も世界のコンテナ船社からの方針遅れも懸念材料

日本郵船・商船三井・川崎汽船の邦船3社の
2022年4~12月期の業績は
3社ともに好業績を維持する見込み。

要因としては前期の好調な荷動きからの
高値運賃での受注増によるが

なんと言っても期中の円安が大きく影響。
コンテナ運賃は2022年夏場から下落傾向であるが
複数年契約を結ぶ船舶など安定収益部門で
市況悪化分をカバーしていると言われている。

海上運賃や傭船料など
海運国際マーケットではドル決済が行われ
売上高に占めるドル比率は8割と
上場企業の中では最も高いと言われています。

(2023年の連結経常利益予想は日本郵船1兆1,100億円、商船三井8,000億円、川崎汽船7,100億円予想)通期の業績見通しは修正されるか?

今後のコンテナ運賃は
大手コンテナ船社が供給量をコントロールする
ことで全世界で物量が調整され
これ以上の運賃低下はなく
このあたりが底値ではないかとの見方が強い。

邦船3社のコンテナライナー部門では
オーシャンネットワーク(ONE)社です

世界の各船社は
本業を含め環境対策を重視しています
コンテナ輸送だけではなく
クルーズやフェリーなどに投資し
B2Cの領域に目を向け始めている船社も
出てきました。

大手海運コンテナ船社のMaerskは海から陸と空へCMA/CGMは
米国のコンテナターミナルを買収運営
中国大手のCoscoは独自路線

邦船3社のONEにおいてはコンテナ輸送
(コンテナ輸送集貨増)の拡充と
10数年前の取組みから変更がなく
先が不安視されるところです。
(日本の貨物を守るのが使命:ONE談)

中国がコロナ対策を大転換したことから
これからの世界経済の動向が注目されますが
第2のウクライナ問題が
アジアで起こらないことを切に願っています

⑥アジア太平洋地域の荷動きの復活時期は?

中国のコロナ規制緩和にて
人が動き出したのは事実
太平洋を挟んだ大国アメリカはインフレで
消費意欲が停滞しているのも事実
ただ米国の場合同時にインフレは
賃金も上昇させ雇用関係は米国史上最も高い水準
港湾、物流、飲食などでは人出不足が続いている。そもそも昨年後半の対米カーゴの失速は
米国で在庫積み増し、あるいは在庫の調整が
原因であると言われている
2022年の北米労使交渉期限も重なり
荷主が物流混乱を危惧して
販売機会の喪失を恐れて前倒し輸入したことが
大量の在庫積み増しに繋がったといえる
今年の夏頃には中国の生産回復と相まって
中国の対米輸出や米国内の市況の安定化を
期待するところである。
欧州の荷動き回復よりは青写真が見える要素は
大きいのではないでしょうか。

情報については以上です

【まとめ】
欧米のインフレ対策に端を発した
金融引き締めは
確実に欧米経済(消費動向)に影響を与えており
中国ゼロコロナ政策も
世界経済・物流に大きな影響を与えました

昨年までの世界物流はタイトで混乱していました
その解消のため(業績確保のため?)
各社各国で新造船やコンテナ増設など
積極的な投資を進めてきました
投資には当然タイムラグがあるわけですが
コロナによる世界的な物流混乱が
未曽有の海運活況につながり
それがインフレの一因にもなり
過剰投資より自分達の首を絞めるやもという点は
皮肉なものです。

依然として日本の海運大手3社は
膨大な利益を獲得し
株主へ高い配当を与えていますが
さて
今年、来年と先行きはどうなるでしょうか。
去年はかなりの円安の恩恵を受けており
それがかなりなくなるのも気になるところです。

今回
世界トップ2のアライアンス解消のニュースにより
マーケットは海運セクターの評価を
下げたようです。
今後競争激化=業績急変となるのか
じっくり見極めたいところです。

(終)

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もこもこ
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