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ルワンダ中央銀行総裁日記(著:服部正也)【読書紹介の志し、南方にありき】

60年代に日銀から国際機関の紹介により、
ルワンダ中央銀行総裁として選抜された著者の体験記です。

戦後20年、日本はすでに国際社会に復帰。
一方、ルワンダは独立したばかりの小国で、財政の回し方も良くわからないうちに破綻寸前と来ている。

中央銀行総裁の話が出ると、
MMT是か非か問題が出てきますが、
まああれは先進国日本でこそできる話でして、
貧乏国ルワンダで実現可能な話ではありませんので、
内容としてまずは引き締め一択です。

輸入制限。
通貨切り下げ(国際通貨基金からの緊急融資の条件)
国内産業育成と、
資本の海外流出の阻止と国内への還流推進。
国債制度の法制化。
二重為替緯度の廃止。
欧米大銀行との折衝交渉。
ここでは旧宗主国ベルギーの銀行が鬼門で、逆に冷戦でコンゴでの戦争を抱える米国の銀行が味方であります。
民間貯金の育成。
生産強化のための一連の措置と、財源のための税制の制度改革。
小国では取れるところからはきっちり取らないと財源がないのです。
主産業であるコーヒーの価格安定と、農民の収入向上。
新産業である鉱業の発展とそれに相反するような増税。
ただし外貨を優先的に割り当てること(傾斜生産政策)
交通及び市場商業の整備と勧奨。
市場価格の条件付き統制。

流出していく外貨をどうにかして阻止し、
そして実業の部分を育成して重点投資して、税収をとってそれを再配分する。
とにかく無駄な出費を減らし、金の生る木を育てる。
これしかない。

もっというと、
ビジネスを奨励して上りを取る、というのが、
著者がルワンダ経済の回復に使った基本スタイルです。
ただ増税すればいいわけではありませんのでご留意ください。

時代や場所も違っており、現代日本とは様相が異なるので、
これをそのまま当てはめることは到底無理だとは思いますが。

それにしても中央銀行総裁の権限を遥かに越えることを大量に実行しています。
そしてルワンダ経済を軌道に乗せた実績をようやく出したところで帰国。

その後、ルワンダはあの大虐殺と内戦を経ていちど崩壊しながら、
そこから再建しています。

大虐殺以後のことはこの本で語る部分がありませんが、
著者は戦前のルワンダを全否定していない稀有の人ではあります。

少なくとも著者がルワンダにいた60年代は、
人格や技量ともに優れた指導者に恵まれていたようです。
お雇い外国人である著者の提言が、あれよあれよという間に採用されていくのは、相手側にしても相応の度量が必要ですから。

というか、日本人もお雇い外国人になってたんだな。そりゃそうか。

うーん、少しは勉強になったであろうか?

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