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ライバル社を挑発しているのかどうなのか、読んで気になった検証記事

ネットで情報収集するうちに、この記事が目に入った。あるツイートの事実関係を調べた記事だ。私はファクトチェックを嗜んでいるので、このような記事はどうしても気にかかる。読んでみた。その上で、感じたことを書く。

気になった記事は、これだ。SAKISIRU「「内閣調査室の人員が20人だったのが安倍時代に200名を超える肥大」は本当か?

https://sakisiru.jp/21046

まず引っ掛かったのは、記事のサブタイトルである。「バズフィードがやる気なさそうなので代わりに検証」なぜ引っ掛かったのかは、後述する。内容を見ていく。

内閣情報調査室(内調)は元々20名程度の人員だったのが、安倍政権から200名を超える組織に肥大している。これは何を意味しているか?おそらくその実態は、映画「新聞記者」で描かれているものと大差ないだろう。つまり諜報機関。政権に不都合な人物を摘発するためのもの。民主主義とは相容れない。

匿名ツイート

という内容のツイートに対し、「内閣情報調査室は本当に200名を超える組織なのか」ということを検証している。これに対し、平成16年11月4日の第161回国会参議院内閣委員会の質疑応答を引いて検証したと思われる。その質疑内容はこちらで確認できる。

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=116114889X00420041104&current=13

SAKISIRUの記事中で

人事や予算を行う「総務部門」、国内情勢の情報の収集・分析を行う「国内部門」、対外情報を担当する「国際部門」などの

https://sakisiru.jp/21046

と「などの」で略されている部門があるが、それらは「経済部門」「情報集約センター」となる。

以下、記事中で引用されている文言は、前述の国会会議録と引き比べて「人」「名」の混在があるものの、正しい。その意味では価値ある検証である。

ただし、これはファクトチェックではない。記事中に筆者(SAKISIRU編集部)の私見が散りばめられており、これは私見を入れない、ファクトチェックの本来のやり方とは異なる。しかし記事中では「検証」したとは言っているが「ファクトチェックした」とは一言も言っていないので、ここには深入りしない。

記事には個々のスタイルがあってよい。ただ気になるのは、冒頭でも書いた、記事のサブタイトル「バズフィードがやる気なさそうなので代わりに検証」と、末尾に書き添えられた

バズフィードは左派系の発信者のファクトチェックは、保守系に比べると、以前から積極的に行っていないのではとの指摘が絶えないが、そもそもバズるネタではないとみて関心がないのか、別件で忙しいのか、14日15時現在、記事にしていないようだ。

https://sakisiru.jp/21046

の一文だ。バズフィードが本当に左派系の発信者のファクトチェックをしていないのか、定量的に検証したのだろうか?そもそもファクトチェックというものは党派性があってはいけない(詳しくはこちら↓)。

https://ifcncodeofprinciples.poynter.org/know-more/the-commitments-of-the-code-of-principles

また、「やる気なさそう」などと言い切ってしまっていいものだろうか?仮にそうであったとしても、他人の台所事情に深く踏み込むべきではないだろうと感じる。何の意図があって、相手の感情を逆撫でかねない一文をはさむのか。長い目で見て損であろうと思う。検証内容が正しいだけに、もったいない。

※この記事は個人の意見であり、所属する機関等を代表するものではありません。

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