マークシートで絶望したときの心構えを数学的に検証してみた。
はじめに
基本的に中小企業診断士1次試験を想定していますが、その他資格試験でも同じことが言えると思います。
今回検証していく中で、極めて厳しいと思った場合でもわからない問題を
選択肢3つまで絞ることができれば足切りを回避する
ことはそれなりに見込めるという結論に達しました。
足切りにならなければ他の科目で取り返すチャンスをうかがうこともできます。 そこで、今回はなぜ選択肢を3つに絞れば、50%程度の確率で足切り回避ができると考えた理由をお伝えしたいと思いました。
また、自分の手応えよりも点数が高くなる理由についても考察をしてみたのでご覧いただければと思います。
試験当日の筆者の状況
過去記事で書いたことになるのですが、得意科目だと思っていた中小企業診断士1次試験の経営情報システムにおいて、最初に問題文を1周読んでみて25問中4問くらいしか出来ている気がしなかったのに自己採点ベースながら68点を取れました。
正直、最初は泣きそうになりながら「あ、落ちたな」と思っていたのですがその瞬間に
「でも、自分ができないなら他の人はもっとできてない人が多いはず」
「だとしたら、今年は足切り祭りになるけどそんなことしたら試験委員がボロくそに叩かれる、ということはなんとかできるのでは?」
という、妙な開き直りが自分の中に生まれました。
そこで、自年度以降の1次試験で同様に悩まれる方向けに、自身がある問題が少なくても諦める必要がないことを数学的に検証してみました。
もちろん、当てずっぽうで解きましょうということではなく、どの程度まで選択肢を絞ることができれば合格が見えてくるか?というのを数学的に考察してみました。
まずは、完全に当てずっぽうの場合を計算する
まずは、確実にわかる問題が1つもない場合を考えます。
現実には、1問も分からないということは極めてマレであるため、ここで計算するよりも確率は高くなるでしょう。
選択肢が●個の場合、当てずっぽうで?点以上取れる確率
人によって確実に取れる点数が異なるため、まずは1問も自信を持って答えられない場合を考えます。
また、問題を簡単にするために100点満点1問4点、つまり25問の試験に対して40点、10問を正解することをまずは目標にしてみます。
使う知識は高校数学です。 数式を載せますが計算が面倒なので結果だけ最後にExcelで計算して載せます。 興味のない人は数式部分は飛ばしてみてください。
Noteだと数式が表現できないので、Wordで数式を書いて画像を貼り付けます。また、実際の数値計算は大変なのでエクセルを用いてグラフを貼り付けます。
上記の数式に基づき、1問も自身がない状態でシミュレーションをしたグラフが以下の通りとなります。選択肢を?個に絞った場合に◯点を超えることができる確率を表しました。計算は大変なのでエクセルを使いグラフにしました。
グラフの見方は、この点数以上を取れる確率という意味になります。
例えば、28点以上を取るためには 選択肢が5つのままであれば11%ですが、選択肢を3つに絞れば63%の確率で28点以上をとることができます。
結局、どの程度選択肢を絞れば良いの?
まず、足切り点を回避できる40点について見てみると、選択肢を2つに絞った場合は1問も自信がない状態であっても79%の確率で足切りを回避できます。
しかし、選択肢を3つに絞った場合は18%ということで正直まだ厳しい戦いになると思います。
それだと、選択肢を3つに絞ったとしても80%以上の確率で足切りされると思われるかもしれませんが、この計算の前提は
1問もわからない場合
での計算になります。 実際の試験では確実に正解する問題がゼロであることは極めてレアです。
仮に、選択肢を3つに絞った場合、48%の確率で32点を取ることが出来ます。
ということは、不正解の問題のなかから2問正解するだけで40点には届くことができます。
2問は正解しているため、23問の中から8問を正解する確率を計算しないと正確な値は算出できませんが、それでも大きく現象するものではないと考えられます。
48%の確率であれば50%に近いため、3問くらいなら確実に分かる問題があると思います。
また、上述の通りご自身の経験に基づき、より確からしいと思う答えを選べば確率はさらに上がるはずです。 だからこそ、
3問確実に解いて、選択肢を3つに絞れば足切り回避は充分現実的である
との結論になりました。
もちろん、このような計算を本番でするのは意味がありませんが、この計算結果を事前に見て大体の確率を知っておけば、本番でパニックになったとしても冷静さを取り戻す手助けになるのではないでしょうか?
次の段からは、当日自分がどの用に考えて立ち直ったかをお話します。
まずは自分が確実に取れるであろう点数を計算しよう
私の例ですが、25問のうち4問が正解できたとしたら、その時点で16点は取れている。
逆に言えば、100ー16=84点分が宙に浮いている状態である。
その84点をどのように得点に結びつけるかを計算していきます。
必要な点数を取るためには、どれだけ正解する確率を上げる?
中小企業診断士1次試験の場合、合格するためには
合計で420点以上を取る(合格点)
40点未満の科目が存在しない(足切り点)
この2点をクリアする必要があります。
今回のタイトルに有る通り、絶望したときにまず考えなければならないのは
2番の足切り点になります。1つの科目でも40点未満を取ってしまえば他の科目が全て満点であったとしても容赦なく不合格になってしまいます。
(点数調整が入る場合を除きます)
もちろん、1点でも多く取りたい気持ちは分かるのですが、
39点と40点の間には1点の差では済まない非常に高い壁があります。
まずは、足切りをされないことはすべての受験生が超えなければならない壁となります。
そうした時に、私の例では16点はほぼ確実に取れると見込んでいました。
そうすると、足切りを回避するために必要な点数は 40-16=24点となります。
宙に浮いた84点のうち、3分の1を取ることができれば
16+84÷3=16+28=44点 ということで最低限足切りラインを超えることはできる。
すべての問題が5択だったとしても、そのうち2つを削れば確率的に足切り回避は十分可能だと計算しました。
また、選択肢を3つ削って2つにすれば確率的に84点のうち半分の42点になるので、16+42=58点 ということで、ほぼ合格点まで狙える
この計算をしたとき、自分としてなすべきことは
「選択肢を2つから3つまで絞る」
ここに全力を尽くすことに決めました。
5つの選択肢から1つの正解を選ぶのは難しくても、
5つの選択しから2つか3つ削るのであれば、難易度はかなり下がると思います。
意外と選択肢を見てみると、削れるものが多い
もちろん、自信を持って取れる点数は状況に応じて変動しますが、20点分も自信を持って解けなくても十分戦えそうだと思った方も多いのではないでしょうか?
そして、実際よくよく選択肢を吟味してみると
専門用語の意味は知らなくても、選択肢のなかで矛盾が生じている
強烈な決めつけをしているから不正解の可能性が高い
過去の知識からなんとなく、良さそうな気がする
ア aとc イ aとdのような問題で、確実にaが正しいから、実質アとイの勝負
専門用語の英語の意味から類推できる
このような選択肢が見つかるはずです。
そうなれば、さらに選択肢を絞たり、当てずっぽうより確率を高めることができるはず。
さらには、2つの選択肢で迷ったとしても、「明確な根拠はないけど、こっちの方が正しい気がする」という迷い方もする場合があります。
その時は、自分が正しいと思う方を選びましょう。
このように言う理由としては
それ以上時間をかけて吟味をしても、明確に根拠を出せない。それなら他の問題で選択肢を削る時間にしたほうが良い。
正しい気がする、というのは過去になにかしら勉強や経験をしたけど内容を明確には思い出せない。いわば潜在意識レベルの知識が自分に語りかけていることが考えられる。
だと思っています。
このような迷い方をしている時は「すぐに思い出せるレベルの知識は出し尽くしている」状態です。それ以上できることは、
「不確かな記憶を一生懸命探す」
しかありませんが、不確実かつ時間の浪費となります。
それならば、一旦その問題は残った選択肢の中から、より正しそうだと思う選択肢を選んでおいて、他の問題に時間を使いましょう。
さらに、他の問題を解いている間に、潜在意識から記憶がふと蘇ることもあるかもしれません。 その時、思い出した内容によっては回答を変えても良いと思っています。
なぜ、絶望するのか?
経験則として、自分の手応え以上に点数が取れることが多いのがマークシート試験だと思いますが、個人的な所感ながらその理由を考察してみたいと思います。
マークシート試験で絶望した時にこの内容を覚えておけば、そこから立ち直ることができる一助になるのでは?と思っております。
絶望するには、まず自分が何点とれたかを計算し、その計算結果が
足切り点にすら届いていない
合格点に及ばない
などの理由があるのですが、個人的にはその点数計算が間違っていると思いっています。
私の例で言えば、25問中4問くらいしか自信を持てた問題はありませんでした。このままで行けば、16点ということで足切り点の半分にも届きません。
ですが、ここに大きな間違いが潜んでいます。それは
わからない問題をすべて0点として計算している
これに尽きると思います
どうしても自信が持てない問題に点数を入れることには抵抗があると思いますが、逆に分からない問題をマークシートで全て外す方が難しいのです。
そこが、記述試験との最大の差だと思っています。
私の場合は21問が自信がない状態からスタートでしたが、選択肢を3つまで絞って各問を3分の1の勝負にした場合、全てを外す確率はなんと約5000分の1となります。
逆に言うと、4問正解している状態で16点をとるのはある意味偉業です。
ちなみに、ドラ◯もんに登場するの●太くんは、◯✕テストで20問全てを外すという100万分の1以下の確率を引き当てたそうです。それくらい、選択問題を全て外すのは難しいのです。(正解を分かっているのにわざと外す場合は除きますが・・・)
つまり、自分の手応えよりも点数は確実に上がります。 あとは、その上がり幅をどこまで高めるか。これにつきます。
一生懸命勉強してきたのに、難しいと思うのであればそれは自分だけではなく他の受験生も同じです。 おそらく、かなりの受験生がパニックになっていることでしょう。
その状態から1秒でも早く抜け出して、1点でも多く得点する戦い方をしたものが勝利できると思っております。
毎年予想外が起こりますが、それ自体は予想通りです。 そんななか、合格に向けたアクションを取ってほしいと思うとともに、この記事を思い出すことで冷静になれる受験生の方が1人でも増えればよいなと祈っております。