虫の襲来
ああ、もう駄目だ。
一昨日、蚊がわたくしの睡眠を苛んだ。
ぶーん
かすかだか、確実に近くにいることがわかるあの忌々しい羽音。
神経を逆なでするあの音!
どうしたって眠れそうにないので、断固、戦うことにした。
潰して潰して、潰しまくった。
落ちついて部屋の壁なんかをぐるっと見渡す。どこかに黒い点がないかを目を凝らして探す。
見つけたら、ただちに出動して潰すまで執念深く追いまわした。
蚊は習性として、暗がりに身を寄せる傾向がある。また、敵を認識すると上へと飛ぶ。
ミスると飛翔されるので、それも執拗に追跡。
そしてパチンと潰すのではなく、ティッシュを持参しティッシュで捕まえる。ティッシュは手よりも大きいし指の間からする抜けられることもないし、手が汚れないので効率よく捕まえられる。
だが、本当にすばしっこい奴には機動力がものをいうので、最終的に手でパチンと、潰すことが必要になるときもある。
そんな事を10回ほど繰り返した。
繰り返しつつも、眠気に耐えれず遠くで鳴るーぶーん、という羽音を聞きながら眠った。音の頻度は遠くなったから、そこまで睡眠を妨げられることはないだろうと妥協したのだ。たくさんの蚊がいるよりは、少なくなった今、まだ耐えられるだろうと。
次の日、何気なくみたベッドの下に2匹の蚊を発見し始末した。
おそらくこれで、全滅させたと思っている。
私の家には庭がある。
蚊がそこで育ち、玄関や窓から侵入する。
でも、あの数の多さは異常な気もするので、部屋で産卵して順当に育って、一度も外に出たことのない兄弟たちの蚊だった可能性も捨てきれない。
蚊はたまに入ってくるけど、ここまでは今までになく酷すぎて、置いてファンが回るタイプの蚊を殺してくれるのを買ってきた。
フマキラー、頼りにしてるわ。フマキラー。
さて、これでおさまれば万々歳なのですが、次に蟻の襲来。
はい、次は蟻です。次の日に蟻が部屋に発生していることに気づきました。
もうね、もうなんなんだろう。泣きそう。蟻の方が苦手だわ。
机においていたドライフルーツに吸い寄せられたようで、うろうろしている蟻を見つけて、ドライフルーツは処分。蟻は外に放すとかムリ。小さすぎるわ、数も多いわでそんな器用なことできない。
一匹一匹ティッシュで潰して、ものすごい罪悪感。
消毒用アルコールで、テーブルと侵入経路であろう窓付近も蟻の痕跡を絶った。
残党として、まだいるだろうとは思っていた。何匹か出てきたのを潰しつつ、整理整頓も兼ねてアルコール拭きをしていたら、床に落ちた丸まったティッシュを見つけた。
ちょっと前、風邪をひいていて、投げ捨てたもののゴミ箱に入らなかったのがそのままになってあったので、なんの疑問もいだかずにつまみあげると、そこに付着する黒いつぶつぶたち。
うぎゃーー!!!
なぜか、密集して蠢いている蟻たち。
はたと気づいた。
この部屋にいる蟻たちは、外からやってきていると信じ込んでいたが、くちゃくちゃのティッシュは土くれに作った蟻の巣の形状に環境が似ていたのでは……?
土のように決して、掘りすすめることはできないけれど、定住の地と定められていたのでは……。
半ばパニックを起こしながら、レジ袋にいれて厳重に口を結んだ。
それだけでは済まない。
巣と化したティッシュからこぼれ落ちたうようよする蟻たちを半狂乱の中アルコールをかけてから、掃除機で念入りに吸いこんだ。辛い。
とても辛い。
ほぼ壊滅したはず。あとは残党を見つけたら始末で完全にいなくなるはず。
だけど、非常に疲れた。
この前日は蚊の被害。本日は蟻がうようよ。
友人にこのことを話したら「アリメツいいよ」とおすすめされた。
園芸に凝っている友人なので、情報としてとても信頼がおけた。
買う、買います……。と、決心したはずなのに、仕事終わりに買い忘れて帰路につく。
果たして蟻との決着はつくか。
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ちょっくら、手術することになりました。