近代Landsについて考える 2色目の選択

はじめに

最近、《ウルザの物語》、さらには《抵抗の宝球》をメイン採用した、Landsが増えてきています。このシリーズでは、これらの無色が濃くなったLandsを近代Landsと定義し、その構築の中で今まで暗黙とされてきたデッキ構築を見直してみよう、と考えていきます。

前回までの記事はこちら。

3本に渡って書いてきた記事も今回が最終回です。

近代Landsにおいて、考えているテーマは下記の3点。

  1. 踏査の枚数について

  2. 壌土からの生命の枚数について

  3. Taigaの枚数について

第1回と第2回では、《踏査》《壌土からの生命》という特定のカードについてそれぞれ考察してきました。

第3回はもう少しマクロな視点で、カラーリング全体の選択肢について考えてみます。

近代Landsにおける2色目の選択

これが最近の赤を選択したLandsのリストです。

メインボードは稲妻2枚

メインには赤いカードがほとんど取られておらず、サイドボードに紅蓮破除去が取られているといった状況です。

まずはそれぞれのカードの役割を考えたうえで、別の色の選択肢を検討する、という流れにしてみたいと思います。

紅蓮破(赤霊破)

まずは紅蓮破。今までは輪作などのスペルへのカウンターをカウンターするという目的で採用されてきました。

しかしながら、抵抗の宝球型はデッキの構造上カウンターに対して強いです。そのため、その採用の役割はカウンターよりも以下の2点に重きをおいているように感じます。

  1. スニークショーなどの実物提示教育をカウンターする

  2. 大きなサイズで着地してしまった濁浪の執政を後から破壊する

除去

世は大オーク時代。抵抗の宝球型はオークに撃ち殺されるクリーチャはいないものの、オークに自由に動かれると《森の知恵》が機能しなくなる、など不具合も多いです。また、黒には《ウルザの物語》を食い物にする《敵対工作員》が採用されており、デッキが機能不全に陥ることもしばしば。

こうしたクリーチャーに対処するために、一定量の除去は必要不可欠です。特に抵抗の宝球型は元来のLandsが採用していた《罰する火》のパッケージが抜けている都合で構造上、ヘイトベア的なクリーチャに対して弱くなっています。

近代Landsがサイドボードに必要としている機能

まとめると、近代Landsがサイドボードに必要としている機能は以下の通り。

  1. 実物提示教育などを介した突然の勝ち手段の着地

  2. 火力で対処が難しいファッティの除去手段

  3. 軽量なヘイトベアの除去手段

  4. (ミンスクなどの1枚で勝てる勝ち手段)

これらの手段を、サイドボードで提供すること、これが2色目の理由であり、それを実行するのに赤が最適であるか、という観点で考えてみるのがよさそうな気がします。

まずは、有力候補の白。既に、多くの白採用のLandsが結果を残しています。

メインが緑単色、白いカードはサイドのソープロだけ。

このリストでのアプローチを考察してみます。

実物提示教育などを介した突然の勝ち手段の着地

→《窒息》による青いデッキへの徹底的なマナ否定
→《封じ込める僧侶》などを採用している例もあり
→《精霊界との接触》のような追放エンチャントでの対応も考えられそう

火力で対処が難しいファッティの除去手段

→《剣を鍬に》で全部解決!

軽量なヘイトベアの除去手段

→《剣を鍬に》で全部解決!

その他のメリット

・《カラカス》の白マナが使える
・《地平線の梢》や《裂け岩の扉》の採用によるマナベースの安定化が図れる

ソープロの万能感がいいですね。白のメリットは「ソープロが取れる。以上!」でいいくらいかもしれません。


黒を採用したレシピは見つけられていないのですが、これはこれで強そうと思っています。

実物提示教育などを介した突然の勝ち手段の着地

→ハンデスで絞めあげる

火力で対処が難しいファッティの除去手段

→黒の万能除去を選択可能

軽量なヘイトベアの除去手段

→《致命的なひと押し》などで。破壊不能

その他のメリット

・《オークの弓使い》が使える
・《突然の衰微》も強い
・プレインズウォーカーに触れるカードも多い


除去といえば黒。特にファッティの除去に長けています。なんといってもオークの弓使いが採用できるのは魅力的です。昨今《渦まく知識》を使っているデッキの多くが、「オークが出ないタイミング」を探しています。Landsっぽい動きの中でオークを繰り出すことができれば、かなり意表がつける気がしています。


赤に加えて青を採用し、《狼狽の嵐》をサイド採用しているデッキがあるみたいです。私の考えるアプローチとは思想が合わないので、青は割愛


緑単という選択肢も考慮できると思います。

実物提示教育などを介した突然の勝ち手段の着地

→《歪める嘆き》でカウンターする

火力で対処が難しいファッティの除去手段

→ここが辛い

軽量なヘイトベアの除去手段

→《次元の歪曲》で対処する

その他のメリット

・デュアルランドの枠に基本地形が取れるようになるので、不毛や血染めの月にちょっと強くなる


メインがそもそも緑単なのだから、いっそ緑単にしよう。噛み合わないところは無色のカードでなんとかしよう!という発想は自然な気がしています。


まとめ

この記事を書き始めてから、今日(9/5)の間に、LandsはすでにRGからWGに移りつつあるような気がしています。

そして、次のエルドレインの森で一番注目しているカードがこれ。

ええっ、アップキープに墓地から《ウルザの物語》を場に戻していいんですか!

ちょっとマナコストはかさみますが、《踏査》と《世界のるつぼ》を足したようなカードが登場するみたいです。特に《ウルザの物語》を戻すと、アップキープに1章、ドローステップ後に2章まで進むので、ラグターンなく構築物トークンを繰り出し続けることができます。

統治者になる、という行為自体がオーク環境においてリスキーにも思いますが、《イス卿の迷路》が多く取られている構成なら、統治者を守り切るのもできると思うので、結構ありなんじゃないかと思っています。


というわけで、語りたいことをつらつらと語ってきました。

私は今、《古きものの活性》を2枚入れ、《踏査》を1枚まで減らした構成を試しています。《古きものの活性》はいつ引いてもバリューがありますし、《踏査》がなくても勝てています。(むしろ、引きすぎて負けるケースが減ったので、かなりストレスフリーです)

自分のプレイングが《壌土からの生命》のバリューを引き出せていないというのもありまして、こういう構成が手に馴染むだけかもしれませんが、似たような疑問を持っている人は勇気を持ってロームのカットを検討してみてはいかがでしょうか。

今日はこんなところで。
特にオチもなく終わる。

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