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すみっコぐらしのお菓子

珍しく夜にお腹がすいた。以前から1年ほど、夜は眠れない日が多いのだけど、久しぶりにお腹が空いたのでベッドから出てお菓子を探してみた。



元気だった頃、眠れない夜にお菓子を食べることがあったけど、秋に胃腸の病気になってからは食欲が無くなりほとんど食べなくなっていた。

冬に、胃腸に効く薬が見つかったと同時に、本当は胃腸の病気ではなく、うつ病かそれに近いものになっていて、自覚できないうちに体に不調が来ているのだと分かった。そこから数時間単位でコントロールできないメンタルの大波が来るようになって、やはりごはんもお菓子もあまり食べられず、時には正気を保っていられず、理由もわからず泣き続けたり、ぼおっとしたりする日が続いている。

今日は珍しく夜にお腹が空いたので、久しぶりにお菓子箱を覗いたら、すごくかわいいすみっコぐらしのお菓子が入っていた。自分で買ったものではなかったので、半同棲している恋人が買ってきたものだと気づいた。

私は最近すみっコぐらしにはまっている。恋人はどこかですみっコぐらしのお菓子を見かけて、好きそうだと思って買ってきてくれたのかな、と思う。でも「すみっコぐらしのお菓子買ってきたよ」とは言われていなかった。私が食べられるようになるまで黙っていてくれたのだ、と気づく。

ここのところ毎日、恋人が仕事から帰ってきたら、私は寝込んでいたり、ぼおっとしていたり、さめざめと泣いていたり、自分の情緒をなんとかしたかったけど結局どうとも出来ない。サポートしてくれているのに、とずっと申し訳なかった。それに精神の病気のコントロールできない理不尽さや先の見えない不安を知って、自分の鬱の感情に照らされて周りの人まで鬱になってしまったら、と思うと怖くなった。怖くて不安で申し訳なくて、そんなことがほとんど毎日続いて、回復するまでは誰とも離れて自力で家に篭っていた方がいいんじゃないか、と思い始めていた時だった。

ばかだなぁ、と思う。私はすみっコぐらしのお菓子があることに気がつかなかった。でも恋人は買ってきたのに、と言わないし、泣いている私を見て嫌な顔をしたこともない。「喜ぶかな?元気出るかな?」と思ってこれを買ってきてくれたんだなぁと思うと、私はとても嬉しくて、スヤスヤと眠っている恋人とすみっコぐらしを見ながら、静かに、たくさん泣いた。

朝ふと目が覚めると、仕事に行く前の恋人に気がついた。「昨日の夜すみっコぐらしのお菓子見つけちゃった」と言うと、恋人はとても優しい笑顔になった。「あのお菓子かわいいでしょ?」と返してくれた。食べることも治ることも、急かすことなく待っていてくれる、ということに気持ちが救われて、器が大きい人だなぁと思いながら、朝からまた涙が出そうになった。

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