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ワルキューレの備忘―没落貴族にレクイエムを

0 はじめに

2021年9月のKCカップが終わった。皆さんお疲れさまでした。

6月のKCGTを終えて以降、現環境はオノマト一強と言われ、サイバー・サンドラ・ガイア・ハーピィらTier2以下のテーマがオノマトに対してどのように食い下がるかが注目の的となっていた。

そんな中で銀アイコンという悲願を目指して私が選択したデッキは…

ジーク-300x300

私「ジーク。貴様の力を借りるぞ」

ワルキューレである。

KCの結果から先に示すと、498戦を走った私の最終DPは35218、順位は820位だった。最高DPも42000程度で銀アイコン争いには遠く及ばない成績であった。

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それでも、ワルキューレというデッキの選択は間違っていなかったと考えている。事前のポイバ等では、上位テーマに勝ち越すか、五分に近い成績を残せていた。参考までに、kinghaloさん主催のPKCではトップシェアのサイバーに6勝5敗、オノマトに8勝2敗だった。

「わからん殺し」の側面を差し引いても、環境上位テーマに対して十分に渡り合えるデッキのはずだった。私の敗因は練度の低さおよび、苦手対面であるハーピィ・ガイアが多いDP帯で勝率を伸ばせなかったことの2点である。

…というわけで、ワルキューレというデッキの魅力を伝え、今後ワルキューレの使用者が増えることを願い、備忘録がてら解説のような記事を残そうと思う。

※それなりにワルキューレを回した使い手ですが、大した実力者でもなく構築やプレイングの改善点は山ほどあると思うので、コメントやリプでのご指摘大歓迎です!

1 採用カード

基本的な採用札の解説。効果を知っている人は適宜読み飛ばしていただきたい。

《ワルキューレ・シグルーン》
効果モンスター
星9/光属性/天使族/攻2200/守2400
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが手札に存在する場合、
自分フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを墓地へ送り、このカードを特殊召喚する。
(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
自分の手札・墓地からレベル8以下の「ワルキューレ」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

初動札。全ての物語はシグルーンから始まる。
特殊召喚のコストは【光の結界】などのスキルで確保できる。
(2)の効果は、自身の効果による特殊召喚だけでなく、アドバンス召喚や《一族の結集》等による特殊召喚にも対応している。抜群の場持ち性能である。

《ワルキューレ・ドリット》
効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻1000/守1600
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「ワルキューレ・ドリット」以外の「ワルキューレ」カード1枚を手札に加える。
(2):このカードの攻撃力は、除外されている相手モンスターの数×200アップする。

ワルキューレ版エアーマン。
(1)の効果でシグルーンをサーチし、シグルーンを特殊召喚することで簡単に3面展開ができる。初手で引きたいカード。
(2)の効果も地味ながらサンドラ等の除外ギミックを多用する相手には強力である。雷獣龍や、場合によってはレヴィオニアを上から突破できることもある。

《ワルキューレ・セクスト》
効果モンスター
星1/光属性/天使族/攻 0/守2000
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「ワルキューレ・セクスト」以外の「ワルキューレ」モンスター1体を特殊召喚する。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
相手のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

(1)の効果で雑にリクルートできる展開補助要員。強い。
(2)のデッキ破壊効果も、月光や霊獣等の苦手対面にデッキアウトという勝ち筋を与えてくれる。

《ワルキューレ・フィアット》
効果モンスター
星3/光属性/天使族/攻1400/守1400
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分メインフェイズに発動できる。
このカード以外の自分フィールドの「ワルキューレ」モンスターの数だけ自分のデッキの上からカードをめくる。
その中に通常魔法・通常罠カードがあった場合、その内の1枚を選んで手札に加え、残りのカードは全て墓地へ送る。
無かった場合、めくったカードを全てデッキに戻す。
(2):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
デッキから「ワルキューレ」モンスター1体を特殊召喚する。

ワルキューレの最強カード。2つの効果の両方が強い。
(1)の効果は強力な汎用罠をサーチし、アドを稼ぐことができる。このアドがワルキューレデッキの最大の強みであると言っても過言ではない。
(2)の効果は戦闘破壊時に任意のワルキューレをリクルートできる。ワルキューレは特殊召喚成功時に強力な効果を起動するので、全てのモンスターと相性が良い。「ワルキューレのリクルート先なんて大したことないやろ!」と油断して殴ってくる相手を一瞬でサレンダーに追い込む初見殺し性能も高い。

《ワルキューレ・ツヴァイト》
効果モンスター
星5/光属性/天使族/攻1600/守1600
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合、
相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊する。
(2):このカードが戦闘を行ったダメージ計算後に、自分の墓地の永続魔法カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。

雑に除去できる。強い。
ダメステで発動するのでバウンサーを貫通できる
シグルーン効果で出せば、融合ガイアやSCを不意打ちで破壊できる。
(2)の効果は私の構築では使わなかったが、クロノスのスキル【闇黒?古代の機械】で機械城を回収して手札コストにしたり、「神の居城―ヴァルハラ」を採用する構築ではヴァルハラを回収したりなどして活躍する。

《ワルキューレ・エルダ》
効果モンスター
星8/光属性/天使族/攻2000/守2200
(1):「ワルキューレ・エルダ」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。
(2):「ワルキューレ」カードの効果で特殊召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、
相手フィールドのモンスターの攻撃力は1000ダウンする。
(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
戦闘・効果で破壊され相手の墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外される。

制圧カード。上昇マッハが強いんだからエルダも弱いわけがない。
維持さえ出来ればどんな相手にも刺さる。ちなみに炎王はエルダを置いとくだけで詰む。さよならガネーシャ、また来てガルドニクス。

《フライアのリンゴ》
通常罠
(1):自分フィールドの「ワルキューレ」モンスターの数まで相手の墓地のカードを対象として発動できる。
そのカードを除外する。
(2):セットされているこのカードが相手の効果でフィールドから離れ、墓地へ送られた場合または除外された場合に発動できる。
自分は自分フィールドの「ワルキューレ」モンスターの数+1枚をデッキからドローする。

ぶっ壊れカード。
(1)の効果でガガガシスターや妖刀を除外することで大幅に相手の勝ち筋を減らせる。
(2)の効果は雑に4枚ドローできる。3面展開してリンゴを伏せ、相手のサイクロンで割られるだけで4ドローである。現状リンクスのカードプールで、ここまでお手軽にアドを稼げるカードは存在しないと思われる。
「セットされた状態で」「相手の効果で破壊される」ことが条件なので、自分の効果で割ったり、欲張って相手の破壊効果にチェーンして(1)の効果を使ってしまったりするとドローできないので注意。

私が採用したワルキューレカードは以上の7枚である。

2 構築

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サンプル構築はこちら。
モンスター11体とリンゴの12枚までが固定枠で、残り8枠は汎用札を入れられるので、自由度は高い。

・魔法・罠について
フィアットによるサーチがこのデッキの最大の強み
であるため、基本的に通常魔法・罠を採用することになる。

相性◎
《一族の結集》
全てのモンスターが天使族かつ、エルダ以外は特殊召喚が効果のトリガーになるので相性抜群。サイバー相手の生存確率をぐっと上げられるのも高評価。
《深すぎた墓穴》
結集と同じく効果のトリガーとなるカード。モンスターを全て処理されても、ターンさえ返ってくればセクストやシグルーンを出すだけで再び3面展開できる。
《弩弓部隊》
簡単に3面展開が出来るワルキューレデッキとの相性が非常に良い。セクストやシグルーンは特殊召喚するだけでアドを稼げるので、2対1交換のアド損はほとんど気にならない。

相性〇
《バージェストマ・カナディア》
単体での性能の高さに加え、弩弓部隊を採用していることで評価が上がるカード。フィアット効果で墓地へ落ちても生きる。
《ブレイクスルー・スキル》
カナディアと同じく墓地へ落ちても生きるカード。相手モンスターを攻撃表示で残したまま妨害することでフィアットの自爆特攻にも繋げられる。

☆入れ替え候補カード
《ダブルマジック・アームバインド》
「展開できるものの打点が低い」というワルキューレの弱点を補うカード。決まればほぼ勝ち
(不採用の理由)
性能は高いが、嚙み合わないタイミングで引くと事故要因になる。

《底無し落とし穴》
強力なロックカード。相手の盤面をロックした状態でセクストのデッキ破壊を決めればイージーウィンも見込める。
(不採用の理由)
初手で引けていれば強力だが、展開された後で引いた場合に妨害が間に合わなかった。既に立っているサーベルダンサーに無力なのがきつい。

《地砕き》《ライトニング・ボルテックス》
苦手対面である月光への回答候補。エクストラをほとんど使わないのに月光が苦手なのは、ひとえにサーベルダンサーを突破する手段がないからである。とりわけ、対象を取らない1対1交換ができる地砕きは馬鹿にできない。
(不採用の理由)
KCではセクスト効果によるデッキアウト勝利がそれなりに決まりやすかったので採用しなかった。

《分断の壁》《波紋のバリア―ウェーブフォース》
2枚以上の罠を伏せられる機会が比較的多く、的確な除去が難しいため、攻撃反応系が決まりやすい。
(不採用の理由)
 狩場

《デモンズ・チェーン》《暗闇を吸い込むマジックミラー》
シグルーン補助のための永続罠も採用候補。
(不採用の理由)
フィアットのサーチ効果を優先する意味で魔法・罠は全て通常で揃えたかった。手札のシグルーンは結集やアドバンス召喚でも出せるので、スキルの初動に加えて永続罠が追加で欲しい場面は少なかった。

・エクストラについて
《氷獄龍トリシューラ》
いざとなった時の打点要因や場を空けるためのカード。ワルキューレと同じミニboxで入手できる。
《電子光虫コアベージ》《No.70デッドリー・シン》《No.20蟻岩土ブリリアント》
フィアット2体、もしくはドリット2体から強引に攻めて行くためのカード。基本的にワルキューレを場に維持したほうが強いので、勝負を決めるとき以外に無理に出す必要はない。

残り3枚は自由枠だがほとんど使わなかった。

・その他のカードについて
《クリボール》《カイトロイド》
盤面を処理されてもターンが返ってくれば墓穴や結集で再び展開が出来るので、「とりあえず耐えるカード」としての採用も有力ではあるが、1枠を使う価値が低いと判断して不採用。
《アーティファクト・ロンギヌス》
サイバー・サンドラ対策のカードで、天使族なので結集のトリガーにもなる。サイバーには独自のギミックで十分に戦えるのであえて投入する必要がないと判断して不採用。

3 プレイング


基本編~理想の動き
・先攻
フィアットを含む3面展開でフィアットの効果起動を目指す。
「ドリット+シグルーン+フィアット」もしくは「シグルーン+セクスト+フィアット」が基本。
ドリット初動の3面展開後の手札が「モンスター+罠」だった場合、デッキには15枚中8枚の罠が残っているので、80%の確率でサーチに成功する。

ドリットさえ引けていれば、「セクストサーチ+結集」で1妨害を確保したり、「シグルーンサーチ+弩弓」で後続を確保したりもできる。
フィアットしか引けていない場合も、「フィアット裏守備+2伏せ」でターンを返せば、相手目線は「ダンサー+パルスパルス」の事故気味のトラミッドに見えて攻撃してくれることがそれなりにある。フィアットが破壊されさえすれば、セクスト+シグルーンで再び3面展開できる。

フィアット裏守備を弱初動と考えれば20枚構築で初動率は約80%。許容できる数字だと思う。

・後攻
おおむね先攻と同じようにまずはフィアット効果による罠の補充を目指す。
フィアットの自爆特攻は積極的に狙う。相手の盤面に応じてツヴァイトやエルダを出して突破していく。
ツヴァイトの打点があと200高ければ棒立ちバウンサーに対してシグルーン+フィアットでワンキルできた。あまりにも惜しい。

応用編~各対面の相性と動き
・対オノマト
五分~微有利。
リンゴやエルダの効果によるシスター除外を狙う。シスターを除外できればあとはエクスカリバーに気を付ければほぼ勝ち。
先攻なら基本的に2~3妨害は準備できているので相手のトレミスコントロールを阻止しやすい。後攻でしっかり罠を置かれて初動を妨害されるときつい。

・対サイバー
有利。
フィアットを維持しつつ、フィアット効果で結集を優先的にサーチする。
フィアットさえ置いておけば、「ツイン+ランページ」で殴られても、フィアット効果でセクスト→セクスト効果でツヴァイトorエルダを特殊召喚すれば死なない。

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基本の3面展開が出来た場合、サイバー目線はゲーサポに加えて宣告者やフローを複数絡ませなければキルを取れないので要求値がかなり高い。相手が攻めてこない場合、余裕があればフィアットを寝かせて攻める。ウェブフォを割り切るか否かで期待勝率はそれほど変わらないと思う。

・対サンドラ
五分~微有利。
初めは不利だと思っていたが、早めにエルダを立てて相手の墓地リソースを貯めさせないようにすればかなり戦えることに気づいた。
ブレスルを含む複数の妨害を確保できていれば、サンドラ側もレヴィ+雷却+αのような手数を要求されるので、ライフレースに持ち込んで5割以上は勝てる。

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ドリット。よく頑張ったな。ありがとう。

・対ガイア
不利。
融合ガイアを立てられる前にエルダを立てる。ガイアの効果発動には攻撃力を2600下げる必要があるので、先に打点を下げてしまえば効果を起動されない
ただ、先に融合ガイアを立てられてシグルーン効果発動時にフィールド魔法を割られると非常にきつい。走破の効果でフィアットのリクルートも止められる。
弩弓部隊等で走破を割りつつフィアットが自爆特攻できれば捲れるが、要求値は高い。

・対ハーピィ
不利。
SCでフィアットをバウンスされ、月の書や狡猾をセットした状態で盤面を処理されると、返しのターンで何もできず負ける。
人生をかけて相手の初動を止めるしかない。

・対月光
微有利~微不利。
サーベルダンサーを打点で抜く手段がない。罠も刺さらない。逆に言えばライボルや地砕きを採用することで対応は可能。
KC中はサーベルの対処を割り切ってセクストのデッキ破壊だけを狙ってそれなりに勝っていたが、白兎やアサシンを上手く絡められていたら負けていた試合もあったと思う。

・対トラミッド
不利。
走破するガイアと同様、キングゴレムが重すぎる。キングゴレムやフォートレスを上手く維持しながらロングゲームに持ち込まれるとフィアットの稼ぐアドよりもパルスやトラミッドモンスターに稼がれるアドのほうが大きくなる。
基本的にコインを表に向けて相手の初動を全力で止めるしかない。

・対霊獣
不利。
ペトルフィンどころかアペライオも抜けない
そんな霊獣に勝ったリプレイを見てほしい。

#デュエルのリプレイ #デュエルリンクス
https://duellinks.konami.net/att/07ab6e3416b3ac6da9ab001d02372e25d043f61feb

4 まとめ

長々と偉そうに書いたが、新ワールド実装やリミットによって環境は一変し、上に書いた各対面の戦い方も通用しなくなるだろう。(じゃあなぜ書いた?)

それでもワルキューレは楽しいし、強い。ミニbox1周半で手軽に組めてそれなりに環境テーマと渡り合えるので、初心者にも自信を持ってお勧めできる。もちろん、ガチで強いデッキを組みたい人もぜひ握ってみてほしい。

ワルキューレというデッキの魅力が少しでも伝われば、没落貴族ことジークロイドの魂も鎮まることだろう。

それではまた。

もけもけ

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