GRフェスで金アイコンを取る方法
こんにちは。もけもけです。
このたびWCS予選ラッシュ部門においてエリア3位、世界3位で自身3連続の金アイコンを獲得することができました。
ラッシュリンクス界で単独トップとなる3個目の金アイコンを獲得できたということで、GRフェスで金アイコンを取るための方法論について備忘録がてら書き残しておこうと思います。
この1ヶ月はWCS予選でどうしても勝ちたい思いから一心不乱にラッシュに向き合っていたのですが、その間に考えたことを全て書くのは物理的にも体力的にも不可能なので、今回は(大掛かりなタイトルの割には)簡潔な内容に留めたいと思います。具体的なデッキやプレイングの解説も断片的なものですがご了承ください。
【入門編】スピードとラッシュのゲーム性の違い
GRフェスで勝つために、まずはスピードとラッシュは別ゲーであることを押さえる必要があります。
特に異なるのは、①カードプールの広さ、②プレイングの複雑さ、③不純物がゲームに与える影響です。
①カードプールの広さ
約7年で膨大なデッキが生まれてきたスピード環境に比べ、実装から半年のラッシュ環境はカードプールが非常に狭く、環境で活躍できるデッキの数にも限りがあります。その分、事前準備の段階で他のプレーヤーと差をつけるためには相当深い研究が必要です。
私自身もWCS予選に向けて一応は全ての環境デッキを触り、自分なりに納得のいく構築とプレイングを仕上げたつもりではありますが、同等の熱量を注いで研究をしていたプレーヤーも多いかと思います。
②プレイングの複雑さ
現代のスピードデュエルは展開ルートの複雑なデッキが多く、先攻展開一つ取っても最新の情報を掴んでいなければ最適解を取れず、デッキの強みを生かせないことが多々あります。また、展開の複雑さゆえ時間を消費しすぎるとタイムアウトで負けるリスクもあり、素早く正確に操作する能力が要求されます。
一方ラッシュでは、複雑な展開ルートは存在しない上、持ち時間も潤沢にあるため、落ち着いて考えることができます。そのため、ある程度の実力があるプレーヤー同士であれば、大きなプレイングミスで決着がつくことは多くなく、細かいテクニックや駆け引きで差をつける必要が出てきます。
③不純物がゲームに与える影響
スピード・ラッシュともに不純物をゲームに絡めるためには基本的に素引きする必要があります。例えばスピードで、手札誘発のヴェーラーとしぐれを入れ替えたとしても、早い段階で引いていなければゲームに与える影響は大きくありません。狙った不純物を引き込むまで粘るという戦略も、高速化した現代の環境では通用しづらいでしょう。
一方ラッシュでは、1ターンに5枚ドローするという性質上、デッキ内の不純物が直接ゲームに絡む確率が高くなります。今回の環境で言えば、マキシマム体のユグドラゴに対する回答が私のデッキには死者への手向け1枚しか入っていませんでしたが、罠で耐えながら手向けを引くまで我慢するという戦略が可能でした。ピン刺しであっても特定のテーマ・カードへの回答を入れておくことで、ゲームの勝敗に影響を与えうると言えます。
以上をまとめると、ラッシュで他のプレーヤーと差をつけるには、環境デッキの動きを正しく理解することを大前提として、環境に合わせた構築を柔軟に考えつつ、細かいテクニックや駆け引きで優位に立つことが要求されることになります。
以降の解説はこのことを念頭に置いた上で読んでください。
【基礎編】プレイングの基礎体力をつける
自分のプレイングに向き合うということ
先ほど大前提として述べた、環境デッキの動きを正しく理解することについてです。端的に言えば、実戦を積み重ねてプレイングを磨いていくことが一番の近道だと思います。
練習の場としてはランクマでも十分ですし、GRフェス期間に開かれるナナオさん主催のラッシュ毎日ポイバや、毎週木曜日に開かれるあぱっきーさん・もけもけさん主催の天使杯があります。
実戦練習の中で大事なことは、試合後には必ず内容を振り返り、まず自分のプレイングに向き合うということです。負けた場合、プレイの択を変えることで勝てるチャンスはなかったか、チャンスを逃したとすれば自分の判断がどのように間違っていたのか、もしくは期待値的には合理的な選択をとれていたものの運が悪かったのか。必ず理屈に落とし込んで振り返ってください。勝った試合でも、相手がプレイングを間違えた個所を探すことで自分の成長にも繋がります。この作業は事前練習だけでなく、GRフェス本番中にも短時間でいいのでやるべきだと思っています。
というのも、先述した通りラッシュのカードプールは狭いことから、以前に経験したのと類似のシチュエーションに遭遇する確率がそれなりにあります。毎回の振り返りをしておくことで、必ずそれが役に立つ場面は現れます。実際に私もWCS予選中、サイバース対面において守備表示で我慢しておくべき場面で急いで攻めてしまって失敗した経験から、自分のプレイングを改善して勝率を上げました。
ここで絶対にやってはいけないのは、自分のプレイングを見直す前に運要素に対して不満を向けることです。先攻を取られたから、都合良くマキシマムを揃えられたから、相手の伏せが無力化だったから。自分のミス以外に負けの原因を求めることは簡単だし、楽です。しかし、わかりやすい運要素に不満を向ける態度は、実は気付いていなかったプレイングの択に気付くことを妨げ、同じミスをしても同じように運が悪いと嘆いて負け続けることにしか繋がりません(もちろん、突き詰めて振り返った結果として運が悪かったとしか言えない場合は別です)。
こんな簡単なゲームでプレミはしない、俺が負けるのは運が悪いだけだという人に対しては釈迦に説法かもしれません。私は遊戯王のセンスがあるわけでもない凡人なので、謙虚に自分のプレイングを洗い出して少しでも上達に繋がるように頭を使っています。もしあなたが私と同じような凡人で、それでもGRフェスで金アイコンを取りたいと思うなら、負けた原因を運のせいにすることをやめてください。
ただし2試合連続で都合良くユグドラゴを揃えてきたいかふらわーは許さない
実戦の「勘」を磨く
対人戦を繰り返すことで養える実戦の「勘」というものがあります。次のドローで解決札を引ける期待値をざっと計算する、相手のラグや迷う時間を見て伏せカードを推測する、読めない伏せカードを警戒するか割り切るか判断する、などです。これらは厳密には単なる感覚論ではなく理屈で割り出せるものですが、諸々をひっくるめて「勘」と表現しておきます。
実戦本番の中でトップの期待値が何%かを正確に出すことは難しく、仮に出せたとしても何%以上の期待値なら攻めていいのかといった明確な指標は存在しません。そこで、今まで培った勘を頼りに判断することになります。そういった勘は、日頃から対人戦を繰り返しておくことで養われるものです。私はWCS予選前の1か月間は、ランクマ・ポイバを問わず最低でも1日20試合は実戦を行うようにしていました。
こうした勘は、相手にプレミを誘うテクニックや駆け引きに生きてきます。これに関する具体的なことは既に多分犯人はヤスさんやケツデカトロンさんが有益な記事を執筆してくれており、以下に無断転載しておくのでぜひ読んでください。
リンクスWCS2024予選ラッシュデュエル.レポート|多分犯人はヤス (note.com)
WCS2024 エリア予選レポートR|ケツデカトロン (note.com)
【実践編】GRフェスで差をつける走り方
思い切って構築を尖らせる
今回のWCS予選で私は最初から最後まで火麺デッキを使用していました。前評判では最強・サイバース・火麺の3テーマがtier1という評価でしたが、個人的には火麺はtier2と評価していました。火麵はシェア率が上位2テーマに比べてやや低いことに加え、環境に合わせて不純物を入れ替えることでパワーを発揮するという特徴があるためです。環境上位テーマをメタって戦う、いわゆるメタビートです。
特にラッシュにおいてtier2以下のテーマを握る場合は、積極的に構築を尖らせるべきだと思っています。先述した通り採用札1枚によるゲームへの影響が大きく、強力なメタカードを積むことで他テーマとの相性の向上が容易に見込めるためです。
例を挙げれば最強デッキに対しては燃尾の急という罠カードが非常に強力で、燃尾を3積みすれば無力化と合わせて実質レジェンド罠4枚体制とも言える状態を作れます。そのため、燃尾を3枚入れている時は最強に当たれば先攻でも後攻でも大歓迎という状態でした。
環境読みの方法としては、直近10戦の自分の対戦相手と世界top100のキャラクターを定期的にチェックし、特に直近の対戦相手は今まさに走っているプレーヤーの動きを見ることができるので重視していました。今回は3日目の昼頃から最強が増え始めたので、そのタイミングで迷わず燃尾の枚数を3枚に増やしました。
今期の環境では、最強・サイバース・火麵以外のシェア率が極端に低かったため、火麵目線では最強とサイバースのどちらに照準を合わせるかによって大きく勝率が変わったと思います。今回のように、ある程度パワーが高い限られたテーマが活躍する環境が続くとすれば、今後のラッシュではトップシェアをメタる立ち位置のtier2テーマを握るのが有効な戦略になりそうな気がしています。
あえて構築を「見せる」戦略
さて、恐らくここまでの戦略は、KC形式のイベントを走っていれば普通に実践している人も多いかと思います。実は、真に重要な戦略は構築を尖らせること自体でなく、尖った構築を「見せる」ことにあります。
例えば自分が最強を使っていて、対戦相手がデュエル中に燃尾を3枚発動してきたらどう思うでしょうか。この相手は最強をメタってきている、次に当たるときは燃尾を警戒してケアするようにしよう。そう考えるのが自然です。すると、実際には燃尾を1枚しか入れていなくても、相手は見えない燃尾を警戒して展開のパワーを下げることになるのです。
もちろん、王道遊我や西園寺ネイルの固有スキルと対面した場合は、同じ相手と再戦しても試合中に気づくことは難しいでしょう。しかし、使用率の低いアーカイブスキルが相手の場合、同じキャラと当たれば高確率で「あの時のアイツだ」と考えるはずです。私が蒼月学人を最終日まで使い続けた最大の理由がここにあります。上位帯で自分以外に蒼月学人の使用者は少なかったため、学人を使い続けることで自分の採用札をあえて相手に開示していました。
環境が変わってきたと感じたタイミングでは、構築を「見せる」プレイを徹底しました。最強相手に負けが確定している試合でも、すぐにサレンダーせずに余っている燃尾の急を全て発動し、「蒼月学人の火麵使いは燃尾をフル投入しています」とあえてアピールしてから負けるようにしたのです。すると、その後に燃尾を減らして臨んだ試合でも、相手が見えない燃尾をケアしてレベル7を並べずに攻めてきた結果、今度は地縛霊の誘いが機能して勝つということがありました。
逆に、現状の採用札やその使い方を相手に悟られたくない場合は、バトルフェイズに入ってラグを読まれる前にサレンダーすることで、「見せない」戦略をとることもありました。どの罠を打っても勝ち確の状況でも同じです。楽姫の独演を見せないように、あえて強力な無力化を打つことで独演を隠すプレイをしたこともありました。
全ての試合でこれらを徹底できていたわけではありませんが、勝つにしても負けるにしても最善の勝ち方・最善の負け方をすることで、次の対戦に少しでも良い影響を与えられるようにしたつもりです。
私のDP推移を振り返ると、2日目の夕方に4万後半まで伸ばしてから深夜に3万前半まで溶かし、5万DPに乗せたのは3日目の夕方のことでした。しかし、DPを溶かして苦しい間も気持ちを切らさず、上記の採用札を見せる・見せないの判断をすることだけは心がけていました。
もちろん、実際に相手が私の戦略にどの程度の影響を受けていたかは不明ですが、見えない燃尾で相手のプレイングを歪ませて勝敗を逆転させた回数は数回にはとどまらず、最終的に金ラインまでDPを盛れた原動力だったと確信しています。
私は事前に火麵を握ると決めた段階で、環境に合わせて不純物を入れ替えながら走ること、入れ替えるタイミングではあえて今の構築を積極的に見せることで相手のプレイングを歪ませることをイメージしていました。結果的にこの戦略が功を奏したことで、苦しい時間帯がありながらも3日目以降に大きくDPを盛れたのだと思います。
おわりに
リンクス初心者だった頃、アイコン常連の人が書くnoteを読んで、「ここまで色々なことを考えてプレイできたら遊戯王が楽しいだろうな」と思っていました。
金アイコンを取れるようになり、自分なりの方法論がまとまってきた今は、ラッシュデュエルがとても楽しく感じられています。
個人的には、勝敗に徹底的にこだわり、最善を突き詰めた先にこそラッシュの楽しみが広がっていると思います。この記事を読んだ一人でも多くの方がラッシュリンクスに興味を持ち、次回のGRフェスで上位を争うライバルとなり、木曜の21時に暇だったら天使杯に出てくれれば、これに勝る喜びはありません。
拙文に最後までお付き合いくださりありがとうございました!
もけもけ