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絵描きさんたちの・展示会準備と設営

平面作品の展示会をする場合の注意点や手順をまとめました。小さな展示会から、大規模な大作の展示会まで、展示会準備と設営手順は、基本的には同じです。ここでは、数名でグループ展を実施することを念頭にまとめています。尚、大作は100号程度の大きさ、小品・小作品は20号ぐらいまでの大きさを云うようです。


1.事前準備

1)展示会場の使用条件の確認

●壁(ピクチャーレール)の長さを確認。ワイヤーとスポットライトの数も(見取り図の入手)
●ギャラリースタッフによる作品のディスプレイ(作品の吊り下げ・作品間隔・高さ調整)は可能か?(民間のギャラリーの場合)
●展示作品の販売の可否と条件
●展示スペースでオープニングパーティー等飲食やライブペイントはできるか。※展示スペースでクロッキー会開催例
●仲間の個展やグループ展案内・ポートフォリオを置く情報コーナーを設けるか。
●設営時のレーザー墨出し器・脚立の数・ギャラリートークなどでの拡声器等、貸してもらえる備品の種類・コストを確認
●搬入に使用した作品の梱包材を保管可能なバックヤードを貸してもらえるか。
●ギャラリーへの搬入出口の大きさ。または、搬入用エレベータに積載可能な作品の大きさ。(特に会場が2階以上の場合は、搬入出の導線を確認)
●会場施設の駐車場利用にあたり、搬入車両の届け出が必要か。(公共施設やショッピングセンターの場合)
●壁にピン・画鋲・ガンタッカーの使用の可否。(壁に穴が空くので禁止のギャラリーがあります。使用可であっても、撤去時にパテで穴を埋めることが条件の場合があります。

●「ひっつき虫」使用の可否。(壁が汚れることを理由に禁止のギャラリーがあります)

2)お世話係の準備

●展示作品の大きさ・点数と会場の壁(ピクチャーレール)の長さから作品の展示レイアウト方針を決める。オーソドックスな【ストレート型】を前提として説明します。下のサイトがとても参考になります。

【ストレート型】の展示。目線の高さに作品の天地の中央を合わせる。

●案内ハガキの制作・印刷
●キャプションの準備予め作品名や氏名、画材、大きさなどをキャプションにレイアウトしプリントする(Googleフォームを使用して一覧表にまとめるのが便利です)
●展示会受付当番の割りあて
●搬入車両の施設事務所への申請等
●ギャラリートーク・オープニングパーティー・懇親会の企画

3)出品者の準備

●渡しひもはピンと張る
100号ぐらいの大作であればワーヤー2本でつりますが、小作品の場合はワイヤー1本で吊ります。

左は100号前後の大作をワイヤー2本で吊り下げ。作品裏面のヒートンに直接ワイヤーを引っかけます。(KUA大阪クラブ絵画展より) 右は10号前後の小作品の展示風景です。作品の裏に渡したひもにワイヤー1本で吊ります。(atelier咲かせ!展示会より)

小作品を額装して展示の場合、額の裏側に、吊り下げ用の金具が付いていて、紐を渡せるようになっていることが多いと思います。

紐は、緩みのないよう、ピンと張った状態にしてください。緩んでいるとワイヤーに引っかけた時に、額の重みで紐が伸びて、ワイヤーの金具が額の裏側に隠れずに額の外側に出て見た目がカッコよくありません。

左は作品を吊るワイヤーの金具が見えています。右は額の裏に隠れています。

ヒートンの取り付けは向かい合わせに
キャンバスやパネルを額無し、または仮額で展示の場合は・・・
木枠や木製パネルへのヒートンの付けは向かい合わせになるように取り付けて、紐を渡しておいてください。
内側に向けて取り付けるのは、作品を重ねて立てかけた時などに、他の作品を傷つけないように内向きに付けます。ヒートンはどんな種類でもOKです。

●布テープを覆う
作品やヒートンの形状の都合で、向かい合って取り付けが困難で、作品の裏面から突起する場合は、上から覆うように布テープで貼っておきましょう。
重ねて立てかけた時などに、他の作品を傷つけないように。

●作品の裏面には名前と題名を表示する
キャンバスの裏面やパネルの裏面に直接マジックなどで書くのは抵抗がありますね。貼っても剝がれやすい養生テープを貼って、その上に作家名と作品の題名を書くのがお勧めです。
名刺をお持ちの方は、題名を書き添えて貼り付けておくのも良いかもしれません。
作品の天地に合わせて表示してください。
グループ展では他人の作品を含めて展示する壁毎に展示作業を進めるのが一般的です。表示がないと都度作者を探して確認する必要があり、作業が進みません。誰の何という作品で天地が明確に分かるようにしておきましょう。

●梱包ケースにも名前表示
忘れがちなのは、会場への搬入に使った梱包ケースなどにも名前を書いておくことです。搬出時は一斉に展示作品を外して片づけが始まります。間違って他人の梱包材を使うのも、使われるのもバツが悪いですよね。

2.搬入当日の設営

1) 作品の仮置き

各自作品をケースから出し、作品を壁に立てかけます。

2) 梱包材の保管

空きケースをまとめて名前を書いて会場のバックヤードで保管。(保管できない場合は持ち帰り)

3) 展示位置の決定

配置を決定します。
・作品の大きさや明るさ、色彩が全体の作品展示としてバランスよくなるように全体をみて作品の展示位置を決定します。配置が決定するまで次の手順には進みません。
例)壁ごとに、中央に大きい作品を配置して、左右にサイズの大きい順に配置するなど

4) 作品の吊り下げ

配置した作品の上にワイヤーを移動設置し、作品を吊るしていきます。脚立に乗って吊り下げる役とワイヤーを渡す役との2名1組。※利用できる脚立の数により作業出来る人数が決まります。

※民間のギャラリーでは、作品は位置のみ主催者が行い、ギャラリースタッフがディスプレイしてくれる所もあります。

5) 高さ調整

吊るした作品の高さを調整します。作品の中心の高さは、145cmが標準とされているようですが、ストレスなく自然に作品を鑑賞できる高さを、その場に居る方の意見を聞きながら決めれば良いと思います。直近のグループ展では、140cmに合わせていました。また、作品と作品の間を微調整していきます。

【ストレート型】作品の天地の中央が平均的な身長の方の目線に合うように高さを決めます。

作品の高さ合わせは主に以下の3通りの方法で行われているようですね。
●壁に合わせる高さに紐を張って、作品の天地の真中に合わせる
●合わせる高さに印を入れた角材を壁に垂直にあて、作品天地の真ん中に合わせてワイヤーを調整する。
●レーザー墨出し器を使って、レーザーで線で表示する(ギャラリーに機材として設置されています。ないところもあります"(-""-)")

6) 作品固定

作品の高さ調整後、ワイヤーで吊るした作品がお辞儀をしないよう、ガンタッカーで止めます。

ガンタッカーで止める目的は、作品がお辞儀をしないように、です。
左の例は針を打つ箇所が額から離れすぎています。

ガンタッカーは、キャンバス張りにも利用しています。使い方は下のblogが参考になります。ダイソーで300円で購入したガンタッカーを愛用しています。重量のある額のワイヤーを止めるときは、一回り大きな針を打てるガンタッカーでないと針が額の重みで抜けてしまいます。

7)キャプション取り付け

キャプションの位置を決めて貼っていきます。
次のように決めて表示することが多いようです。
・額の底辺からキャプションの高さ分を開けた位置に表示する
・高さを一定に合わせる

キャプションを作品の中央の高さを合わせて、一定の高さに表示した例です。
atelier咲かせ!展示会より

キャプションの表示位置は、作品の下にするか作品の横にするか、決まりはありませんが、グループ展の多くは、出来るだけ多くの作品を展示したいという意向が働くためか、作品と作品の間隔が狭くなる傾向があります。必然的にキャプションの位置は作品の下にせざる得ない状況のようです。

6)スポットライトの取り付け・角度調整

2人一組でスポットライトを取り付けます。作品の中心に光が当たるようにライトの向きを調整します。

江之子島文化創造センターギャラリー1(KUA大阪クラブ絵画展設営風景


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