アインシュタインより愛を込めて 感想

「アインシュタインより愛を込めて」をプレイしたので好きだった点などを記録しておこうと思う。最近良い作品を見ても何が良かったのか言語化できないことが多いので、何かを感じてそれを表明する、というのも能力であり継続していくことが訓練になると意識していきたい。

【所感】

・「他人との交流」が話を進める上で最初の推進力になるので、話を広く展開させやすいという意味で良い設定だと思った。科学特捜部という枠があっても極端な話、何をやっても成立するのは便利。部活ものだと目標に向かって話を進めることが多いのであんまり関係ないことはやりづらいもんな。

【テーマ】

・ひと夏のボーイミーツガールを舞台にして「他人との交流が魂を強くする」という仮説をベースに話は展開される。その実証(?)を各ルートで繰り返すことで他人を理解しようとする、人を好きになることは案外悪くないかもな、と思えるようになる。作品のテーマを人間賛歌だと感じたので好みに合っていた。

【ヒロイン】

・西野さん

一番部活らしかったヒロイン。勝利という目標に向かって努力していくうちに仲良くなる王道の展開でよかった。見た目はギャルだけど中身は完全にスポ根系だったので少し違和感があったけどみんなギャル好きだから仕方ないね。シナリオ的にも導入の役目があるように感じたので全ルート終わった後にこのルートを最初にやっといてよかった、という感じ。そこまでハードな展開にならないので最初は西野さんがおすすめです。

彼女が道で泣いているシーンがあって、その場面が度々作中で言及されるけど理由がはっきりしないので2周目で明らかになるタイプか……?と思ったけど別にそんなことはなかった。なんか見落としてんのかな、ただ負けて悔しかっただけ?

(追記)見直したらラストシーンに繋げるのが目的っぽいので理由はそこまで重要ではない……?ちょっとモヤモヤする。


・坂下さん

一番展開が意外だったヒロイン。個性がないのが個性、みたいな造形は割とあるけどそう来たか~という感じで面白かった。シナリオ的にも彼女の平凡さが終盤の熱い展開に繋がってくるので局所的に刺さる部分は多かった印象。ただ良かった点がグランドルートに集中していて個別ルートはそこまでぐっとくるところはなかったかも。個別での積み重ねがあってのグランドルートの盛り上がりが成立するのもわかるので仕方ないのかな。

彼女の性質(?)上、他のルートだと途中から出てこなくなっても違和感がない、というのは設定として便利かつ面白い、とは思った。そもそも部活の設定自体が展開次第で他キャラが出てこなくてもよいものなので、そのあたりも考慮されての設定なんだろうか。


・有村さん

メインヒロイン兼万能の天才。頭脳とあらゆるコネを駆使して個人で国家レベルの組織とタメを張れる上に、銃が扱えたり料理もできたりして弱点がない。他ルートでは困ったらだいたい彼女が解決してくれるのでろ、ロミえもん……となる。そのせいもあってかヒロインとしてより保護者のような印象が勝ってしまった。個別ルートでも主人公が明確に好意を示すのが終盤だけだからとってつけたようなものに感じたのかも。行為シーンも「ノルマだ……!」ってなるくらいの唐突さだったし本来は全年齢用の話だったのかもと思わせるくらいの感じ。

メインヒロインだから彼女が主人公に思いを抱く理由はかなり丁寧に描写されるんだけど上記の印象が拭えなかったのはなんでだろうな。もう一回やるべきか。


・新田さん

今作最強のヒロイン。高校の部活の話なのに「休学中の大学生であり食堂を一人で切り盛りするお姉さん」。彼女の為に作られたような「高校と大学は併設されているので大学生も部活に参加してOK」という設定もあって作者の強い熱量でねじこまれたような印象を受けた。ありがとう……助かる。

主人公との関係は広義のおねショタだと思う。どのルートでもひねた高校生、といった感じの主人公だけど新田さんルートではより「頭でっかちなガキ」の側面が強調されているし、年上ではあるけどもどこか幼くて抜けている雰囲気の新田さんに対して常に「大人のおねえさん」として接しているところに良さを感じた。シナリオが進むうちに主人公が抱いている謎の全能感は薄らいでいき自分がガキであること、彼女はやっぱり自分よりも大人なんだな、ということを徐々に自覚していく感じも好き。でも結局ガキであることに変わりはないので彼女を孕ませてしまうんだけど、そこから未熟さは自覚した上で等身大の自分で彼女に、これからの人生に向かい合っていくように宣言するところはよいおねショタだ……と感心した。すばらしい。他ルートに比べて時系列のスパンが長い(数年スパン)シナリオなのも好きな点かもしれない。理由はわからないけど時間が経過する描写好きなんだよな。

終盤は全体シナリオの兼ね合いで急展開になっちゃうけど最後に二人(三人?)が再会するところはよいシーンだと思った。ちょっと都合よすぎるかもしれないけど、こうなってもおかしくないと思うだけの積み重ねは感じられたし忍さんは絶対待っててくれる!と思う。思いたい。

シナリオとしての良さもあるけど一番よかったのは新田さん自体のかわいさ。ゆるふわな雰囲気、包み込むタイプの優しさ、性的な事柄への疎さ・無防備さ、押しに対する弱さ……書き出してみるとあんまりにもあんまりだけどやっぱりこういうキャラは好きだよね。変にてらわないで基本に忠実にやるとちゃんと魅力的になるんだな、と改めて思った。主人公の「さきっちょだけだから論法」で延々身体を許し続ける新田さんかわいいね。


・片桐さん

ヒロインかと思ったら友人枠だった。会話から知性を完全に抜くことで異性でも友人枠にできるんだなあ(感心)。でもこういう造形のキャラほどルートを見てみたくなるのは永遠のテーマですね。攻略対象外のキャラに興味が出てしまうのはパワポケで嫌というほど思い知っているので……

まあ攻略できなくてもいい感じの一枚絵があれば最高だなと思った。せっかく見た目もかわいいもんね。


感想を書くことでよりキャラについて考えるようになるので作品をもっと楽しめるようになった。また何かでやりたいわね。




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