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あの日、ステージから手を振ってくれたあなたへ。

※櫻坂46 10th BACKS LIVE2日目ネタバレを軽く含みます
※上村莉菜ちゃんが好きなオタクの超個人的な感想です







ふーちゃんの卒業をこんな気持ちで見たくなかった。

これが何より率直な感想だ。
欅坂46が櫻坂46に改名し、青春時代を共にしたともいえる欅坂が実質「封印」されたとき、多くの人が複雑な気持ちでグループから離れたことだろう。私もそのうちの一人だ。

改名が発表されたその日、加入していたファンクラブも退会した。推しメンがライブ当日に欠席を発表されたときも、推しメンが文面一つで卒業扱いとなったときも、それでもグループが好きだから応援していた私が、ついに欅坂46から離れることになった。

その後、私は激しい感情から解放され、普通の大学生活を送るようになった。ちょうどコロナ禍で、ライブイベントや握手会も開催されていない時期だった。そんな中、櫻坂46が久しぶりのリアルイベントを告知した。それが「BACKS LIVE」。このライブが、私がもう一度ファンクラブに入り、櫻坂46を好きになるきっかけとなった。

もともと推していたメンバーが卒業してから、私は「ゆる〜い」莉菜ちゃん推しになった。もちろん「かわいい」「好き」という気持ちはあったけれど、ずっと莉菜ちゃん一筋のファンとは違う、気軽な応援スタンスだった。

そもそも私はグループ全体への愛が強い。21人全員に対してもちろん、あの状況下で欅坂46を選んで加入してくれた2期生にも特別な思い入れがある。そんな中で、少しだけ他のメンバーよりも好きだったのが莉菜ちゃんだった。アイドルらしい「王道」が好きな私にとって、莉菜ちゃんを推すのは自然なことだった。

そんな「ゆる〜い」莉菜ちゃん推しの私は、久々に莉菜ちゃんを生で見たいという軽い気持ちで「BACKS LIVE」に応募した。

そこで目にした櫻坂46の姿は、良い意味で完全に欅坂46とは異なっていた。欅坂46というスーパースターでありヴィランのような存在感は消え去り、櫻坂46は文字通り「生まれ変わった」ようだった。全員が1曲ずつセンターを務め、自分の魅力を最大限に引き出す姿は、欅坂46を全く意識させず、櫻坂46だけの個性を際立たせていた。

そこから私は再び櫻坂46を応援するようになった。正直、莉菜ちゃんが選抜に入るかどうかでモチベーションに差が出ることはあったし、すべてのイベントに参加していたわけでもない。それでも、少しずつ櫻坂46というグループそのものに惹かれていった。間違いなくきっかけは莉菜ちゃんだったが、他のメンバーや新しく加入した3期生にも「好きだ」という気持ちが芽生えた。何より、櫻坂46として活動するメンバー全員が好きだと心から思えるようになったのだ。

本来なら、ふーちゃんの卒業セレモニーを心から楽しめたはずだった。「9年間グループを支えてきたふーちゃんの卒業セレモニーが実現したこと」「サプライズで選抜メンバーや小田倉ちゃんが駆けつけたこと」「優ちゃんが初めて座長を務めたこと」——そのすべてを全力で喜べたはずだった。

しかし、メンバーがふーちゃんとの思い出を語るたび、心によぎったのは「莉菜ちゃんがいれば、どんな素敵なエピソードが聞けていたのだろう」という思いだった。ふーちゃんに対して特別な感情がないわけではない。むしろ彼女も私にとって、途切れ途切れでも9年間応援してきたアイドルだ。それでも、その卒業を素直な気持ちで見届けられない自分がもどかしかった。

メンバーが「全員で送り出せてうれしい」と語る言葉を、純粋に喜びたかった。忙しい中駆けつけたメンバーを見て、「みんなで直接お祝いできてよかったね」と思いたかった。なのに心のどこかで「全員じゃない、莉菜ちゃんがいない」と考えてしまう自分が嫌だった。

この状況は、莉菜ちゃんのせいでもメンバーのせいでもない。だからこそ、感情をぶつける先がなく、ただ複雑な思いだけが残った。

欅坂46から櫻坂46への改名を経て、グループは良い意味で「リアル」を見せなくなったと感じる。欅坂46は、ほぼ毎日がドキュメンタリーのようだった。アイドルの人生そのものを見せられるような日々に、ファンは心を奪われていた。しかし、それが健全かと言われると疑問だ。

一方、櫻坂46はエンターテインメントとしてのアイドル像を完成させた。裏での仲の良さやふざけ合う姿は見せつつ、辛さや悔しさはあまり表に出さなくなった。心をかき乱されるような感動は減ったが、その代わり、安心して「大好き」と言える存在になった。

今回は久しぶりに嫌なドキドキを感じた。こんなことが続くと、せっかく築き上げたものが崩れてしまう。私は、櫻坂46には「安心して応援できるグループ」であり続けてほしい。運営が適切な対応で、グループを守ってくれることを願っている。

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