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夢を叶えることが幸せ、ではない
人生には思うようにならないことや諦めなければならないことがたくさんありますね。でも、思い通りの人生と夢を叶える人生は違います。むしろ夢をちゃんと叶えてきた人ほど、思い通りにならなかったことや諦めてきたことが多いかも(優先順位をわかっていることが大事)
オリンピックをはじめ様々な大会の後には、新聞やテレビで「夢」という言葉があふれる。昔はそういう時期にのみ目にしたものであるが、現在はインターネット上の至るところで「夢を叶えた○○さん」の類が見られる。
美容整形外科などが出している「施術前→施術後」の写真は、選び抜かれた成功例である。これが自分のパソコンに毎日のように現れたら、心が動く人もいるだろう。今は整形するのが当たり前なんだな、と思う人も出てくるかもしれない。夢を叶えた人の話ばかり目にするのも同じようなものではないか。
夢は生きていく上での光になるし、そのためにできることがあれば毎日は楽しい。ただ、夢を抱くことと、それを叶えることとは別物である。皆が夢を叶えることを目指すべきだとは思わない。だいたい、夢を叶えれば幸せになるわけではない。
通常の努力でいつか到達するのなら、それは夢ではなく目標である。少なからず無理もして、それでも達成の可能性が低いからこそ夢なのである。幸運に恵まれてたなぼた式に叶う場合を除けば、「思い通りにならないこと」や犠牲を伴う。別の幸せを犠牲にすることもあれば、ある夢の方ばかり見ていて、自分によりふさわしい夢や別のチャンスを見落とす可能性もある。犠牲云々を別にしても、夢が叶ったために不幸せになった人、といえば思い当たる人がいるだろう。
夢が叶うことが幸せ、でも、夢が叶いさえすれば幸せ、でもない。人生は映画ではなく、ハッピーエンドで幕が下りた後も続く。しかし人は、○○さえ叶えば幸せになる、と思いがちだ。実際には「○○さえ」の夢が叶っても幸せが続くことはほとんどない・・・ということに自分も気づくのが遅すぎた。
当然ながら、夢が叶わないから不幸せ、というわけでもない。努力が無駄になった、などというが、押しつけられたものや人と張り合うためのものでなく心の底から目指していたのであれば、そのために努力した日々を無駄というのは失礼ではないか。努力の話ではないが、たとえば心底楽しみにしていた約束を当日キャンセルされたとしても、そこまでの幸せな気持ちがなくなるわけではない。
今の世の中、夢を叶えるとか自己実現とかいう言葉が過大評価されている。そもそも自己実現という言葉を目にするようになったのはいつ頃からなのか、と調べてみると、夢や目標を達成する、という意味で自己実現を使うのは、本来の定義から大切な視点が抜け落ちた誤用であることがわかった。(本来の意味ではない)自己実現、ますますもってうさんくさい。(2022.2)