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あの頃の自分

石田: 私にとって、いちばん大事な価値観。それは、10歳くらいの自分がどう思うか? なのです。その頃の私は水泳選手でした。(中略)10歳の自分がいつも私の中に、この丹田のあたりにいるのです。その子が元気でいることをとても大事に思っています・・・。

石田ゆり子×石井ゆかり特別対話(フィガロジャポン2021年8月号)

「頑張っていた頃の自分」を思い浮かべて、あるいはその頃を思い出させる物を見て頑張る、という話は珍しくない。しかしその「自分」が常に自分の中におり、「丹田のあたりにいる」と居場所まで言えるということに驚いた。さらに「その子が元気でいることを大事に思っている」である。実際にそう思ってこられたからこそすっと出てきた言葉だろう。この人の文章をもっと読みたい、と思った。

私は時々高校の頃の自分を呼び出そうとする。当時はまだ元気で、勢いがあり、○○(地名)の女王、と呼ばれることすらあった。それが10年後には「百貨店に自信売ってたらいいのに」というようになり、その後も自信をすり減らしてすっかりおとなしくなった。単なる見切り発車か切羽詰まった末かで思い切った行動をとることはあるが、本当に勇気が必要なことに直面すると、その頃の自分をどこからかひっぱり出して、今の自分を叱咤激励しなければならない。「元気でいること」を大事にするどころか、普段は忘れていて、いざという時にその勢いを借りるために呼び出す、というひどい扱いである。

今からでも高校の頃の自分を元気にできるだろうか。○○の女王は普段どこにいるのだろう。   (2021.7→2024改)

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